いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

f:id:markrock:20190212213710j:image
いしうらまさゆき へのお便り、ライブ・原稿のご依頼等はこちらへ↓
markfolky@yahoo.co.jp

[NEW!!]週刊ダイヤモンド2020年12月5日号の佐藤優さん(作家・元外務省主任分析官)のブックレビュー 知を磨く読書第372回 に『哲学するタネ 高校倫理が教える70章【西洋思想編①】』が取り上げられました。
f:id:markrock:20210318094556j:image

[NEW!!]「読者たちの夜会」(2021/1/14 LOFT9渋谷) 2020ベストビブリオバトル にて、哲学芸人マザーテラサワさんが『哲学するタネ―高校倫理が教える70章【西洋思想編1・2】』を取り上げてくれました。
f:id:markrock:20210318093652j:image

[NEW!!]評論家・映画監督の切通理作さんが店主を務める阿佐ヶ谷・ネオ書房の読書会を開催します。
哲学を学び直したい人のために ネオ書房【倫理教師・石浦昌之ライブ読書会】 12月20日(日) 18時半開場 19時開演 高校倫理1年間の授業をまとめた新刊『哲学するタネ 西洋思想編①』(明月堂書店)から、西洋哲学の祖、ソクラテスを取り上げます。 内容 ◆ フィロソフィア(愛知)とは? ◆「無知の知―汝自身を知れ」 ◆問答法はディアロゴス(対話)の実践 ◆「徳」とは何か? ◆プシュケー(魂)への配慮 ◆善く生きることとは? 入場料1200円 予約1000円  予約kirira@nifty.com
f:id:markrock:20210704101636j:image

[NEW!!]『哲学するタネ】――高校倫理が教える70章』【西洋思想編1】【西洋思想編2】が2020年10月20日に2冊同時刊行!!。
『哲学するタネ】――高校倫理が教える70章』【西洋思想編1】【西洋思想編2】2020年10月20日発売
●石浦昌之著
●定価:西洋思想編1 本体2000円+税(A5判 330頁)(明月堂書店)
注文はココをクリック
●西洋思想編2 本体1800円+税(A5判 300頁)(明月堂書店)
注文はココをクリック
f:id:markrock:20201004205325j:image

honto西洋哲学 1位・2位に2冊同時にランクインしました(2020/10/25付)

【書評掲載】
週刊ダイヤモンド2020年12月5日号 佐藤優さん(作家・元外務省主任分析官)のブックレビュー「知を磨く読書 第372回」

2020年7月31日発売『URCレコード読本』(シンコー・ミュージック・ムック)に寄稿しました(後世に残したいURCの50曲 なぎらけんいち「葛飾にバッタを見た」・加川良「教訓1」・赤い鳥「竹田の子守歌」、コラム「高田渡~永遠の「仕事さがし」」)。
詳細はココをクリック
購入はココをクリック
f:id:markrock:20210704102831j:image

ohno tomokiとダニエル・クオンによるデュオ「x-bijin」初のアルバム『x-bijin』(2020年6月26日発売)、リリースインフォにコメントを書かせてもらいました。
f:id:markrock:20210704102254j:image
「halfway to a hosono house?」 ohno tomokiとダニエル・クオンによるデュオ 「x-bijin」、ほぼ宅録による初のアルバムは、甘美なペダルスティールにのせてダニ エルが滑らかなボーカルで歌いこなす桃源郷ポップス。遠藤賢司に捧げた「グレープ フルーツ」からして初期松本隆を思わせる日本語の美しさが際立つのはなぜだろう? はっぴいえんどとポール(・マッカートニー)が産み落としたタネは、ジム(・オルーク )と出会ったペンシルヴァニアで果実となり、多摩産シティ・ポップのフレッシュジュ ースに姿を変えて、甘酸っぱい喉ごしと共に僕たちの前にある。(いしうらまさゆき)
詳細はココをクリック

11月15日発売のレコードコレクターズ12月号に加奈崎芳太郎『キッス・オブ・ライフ ジャパニーズ・ポップスの50年を囁く』(明月堂書店)の書評が載りました。
f:id:markrock:20210704102608j:image

編集・ライターを担当した加奈崎芳太郎著『キッス・オブ・ライフ ジャパニーズ・ポップスの50年を囁く』(エルシーブイFM「加奈崎芳太郎のDIG IT!!」書籍化)が2019年8月に発売されました。
●加奈崎芳太郎著・桑畑恒一郎写真
●定価:本体3000円+税
●A5判(上製)416頁(明月堂書店)
詳細はココをクリック
注文はココをクリック
f:id:markrock:20200521020444j:image

【メディア掲載】
『毎日新聞』2019年10月3日掲載 「元「古井戸」加奈崎芳太郎さんが本出版 音楽活動50周年の集大成」
詳細はココをクリック
『長野日報』2019年9月25日掲載 「音楽文化で伝える戦後 パーソナリティのFM番組まとめ 加奈崎さん書籍刊行」

極北ラジオ石浦昌之の「哲学するタネ」が書籍化されました。
『哲学するタネ【東洋思想編】――高校倫理が教える70章』(石浦昌之 著)2018年10月10日発売
●石浦昌之著
●定価:本体2500円+税
●A5判(並製)384頁(明月堂書店)
詳細はココをクリック
注文はココをクリック
f:id:markrock:20201004211116j:image

【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
ココをクリック
【ブックガイドに掲載されました】
斎藤哲也『もっと試験に出る哲学――「入試問題」で東洋思想に入門する』(2020年、NHK出版新書)

アナログのノイズ(雑音)

*[コラム] アナログのノイズ(雑音)

 

毎日ハシゴしながらレコード屋に通っている人は一定数いるに違いない。というのも、(ここ20年来、私もほぼ2日と空けずそういう生活をしてきたわけだけれど)お客さんを観察していると、新しく継ぎ足されたレコだけをジャンルごと巧みに見ている人が常にいるから。とはいえ、全ジャンル満遍なく好きな人、というのはとても少ないような。私自身、今まで様々な音楽愛好家に出会う機会はあったけれど、オールジャンルの音楽ファンに出会ったことは手のひらの数より少ない。忘れずにその人を覚えているくらいだし。ロックだけ、ジャズだけ、ソウルだけ、クラシックだけ、昭和歌謡だけ…なんてのがほとんど。で、最近レコ屋に行って思うのは、やっぱりアナログが地道に踏ん張っているということ。盛り返している、とはいいませんが、間違いなく踏ん張っている。オークションなんかでも、ロックやソウルの名作がアメリカ/イギリス/日本のオリジナル盤で結構良い値が付くようになっているし、巣ごもり需要もあってか飛ぶように売れている。巣ごもりだとレコードで聴きたくなりますもんね。和モノだと一部のシティ・ポップ名盤ですね。

 

一方、フォークやGSあたりは昭和歌謡に取り込まれて以来、信じられないくらい安くなってきていて、往時の10分の1くらいですかね。数がないものはまだまだ高いですが。とはいえオムニバス含め、持っていなかったレア盤の類はここ1、2年の価格破壊でほとんど手に入ってしまった。あと、レコ屋では最近20代と思しきお客さんが普通にアナログを買っていたりもする。ソウル・R&Bヒップホップ系にちょっと多い印象。この風景には、90年代から00年代初頭までのクラブカルチャー全開な渋谷をちょっと思い出したりも。しばらく若いお客さんは店から消えていたんですが。デジタルなサブスク・Bluetoothイヤホン聴きの対極として、アンプ・スピーカーでアナログ・レコードという古色蒼然としたリスニング・スタイルを理解する、真の音楽好きがいるのかも。とはいえアナログ購買者のメインは40代以上で、私の少し下ぐらいの世代が下限なのかな。

 

私は20年以上レコードを集めてますけれども、昔は高かったから余計ですが、結構レコ屋でバトルの様相を呈することも多かったような。10年くらい前までは特にアメリカやカナダのフォークやシンガー・ソングライター系を集めていたので、セールなんかになりますと、人口が多かった団塊前後のオヤジ達(ちょうど私の親世代)がですね、その競争意識むき出しで、体当たりとかよくされました。汗まみれの二の腕を押し付けて「どけや」とか何度も言われましたし(笑)私も負けじと無言で押し返したり、買うレコ50枚積んで追い返したり…本当に大人げないですよね…今思い返しても恥ずかしいけれど、音楽を聴くために必死だった時代が確かにあったのだとは思う。でも客層が若返るにつれて、そういうお客さんも少なくなってきたのだけれど(今はソーシャル・ディスタンス…)、世間の音楽に対する飢餓感も同時に薄くなっていったという。飢餓感がときに流行や文化を創りますので、良し悪しと思いつつ。

f:id:markrock:20210816232311j:plain

あとこれは自戒をこめて、のお話。職業柄、10代と接する機会も多いけれど、彼らが古い音楽に接するチャンネルは年々極めて少なくなっているということ。ビートルズの神通力もなくなってきて、せいぜいクイーンとかボン・ジョビとか。だって、私ぐらいの世代が親になってきてるわけだから。エリック・クラプトンもロック世代にとってのロバート・ジョンソンぐらい古い、といいますか、エレキを弾く10代でもクラプトンやジェフ・ベックという名前すら知らないという事実。そもそもギターよりダンスが人気、というのもあるし(個人主義的なバンド音楽に対して、ほっとくと集団主義に傾く日本文化との親和性はダンスの方が実は高い…ダンスでもヒップホップはちょっとバンドに近い気もするけれど…)。てなことで、常識を再度説明し直さないと、「わかるかな~わかんねぇだろうな~」式になってしまうということ。だからそうである限り、ロックもジャズ化する可能性があると思う。あと、基本J-POPしか聴かない、というドメスティック感覚も今の日本を覆っている(主観だけれど、今洋楽を聴いている珍しい10代は、英語が達者だったり、フラットな国際感覚をもった人が多いような気も)。そもそもJ-POPはJリーグ同様、日本回帰の保守ムーブメントだった、ということが、オリンピックの一連の騒動からもよく理解できたわけで(オリパラ組織委員会の会長、森の後任にJリーグ初代チェアマンの川淵が推挙されたりもしたし、渋谷系はやはりマジョリティに排除された…ただし渋谷系はリアルタイムでは鼻につく感じがした記憶もある)。J-POPを好んで聴いている人にそんな自覚は当然ないのだろうけれど、そうした文脈から生まれた消費構造に飲み込まれていることは確かだろう。

 

でも現代ならプレイリストがあるでしょ!という人もいるだろう。けれどもデジタルにはそもそも、基本欲しい情報しかアクセスしなくなる、という欠点がある。SNSでも好きな情報をフォローしていれば、そうした情報しか目に触れなくなってしまう。対してアナログは、デジタルの価値観で見ると無駄が多いけれど、自分の価値を広げるノイズ(雑音)を含んでいる。アナログ・レコードにはそもそもノイズ(雑音)や一回性(アウラ)があるし、良くない曲も耳にせざるを得ない(いちいち針を置き換えるのは面倒だし)。簡単に試聴もできないから、ジャケ買いして失敗することもある。でもそのような、良い曲に到達するための無駄な時間が、無駄ではなかったことに気付くこともある(何度か聴くとその良さに気付いたり、想像を膨らませてやっと手に入れた音楽に喜びを感じたり…)。

 

話を戻すけれど、アナログが踏ん張っている、というのは、人間が踏ん張っている、ということでもあり、時代に逆行しているようで、実は時代の半歩先を行っているような、なかなか尊いことだとも思えてくる。その価値を、「わかるかな~わかんねぇだろうな~」式ではなく、コスト感覚の思考でも腑に落ちる様に伝えていくこと…そこにいまは関心が向いている…てなことを、注射を2度打って、気分は朦朧としつつ書いてみた次第。