『サイモン&ガーファンクル完全版』に参加しました
ブログの更新はしばらくぶりになります!
昨年オールデイズ レコードよりリリースされた、2枚組CD『ルーツ・オブ・サイモン&ガーファンクル』の選曲・解説を担当させて頂きました。個人的にもS&G好きの皆様から反響頂けてとても嬉しかったです。
続きまして、和久井光司さん責任編集で河出書房新社から刊行される『サイモン&ガーファンクル完全版』にも参加させて頂きました。こちらもマニア納得、大充実の素晴らしい内容になっております!執筆陣の皆さんとよりよい本を作るための意見交換も出来て、楽しかったです。
「さまざまな音楽ジャンルを渉猟したポールの音楽性」
「アメリカーナとして位置づけられたポールの音楽」
「不世出のシンガー、アートが選んだソングライター」
「アート・ガーファンクル アルバム未収録作品、参加作品など」
「ポールの弟、エディ・サイモンの音楽キャリア」
1972~2018年までのポール・サイモンの17枚のアルバム・レビュー
と色々書かせて頂きました。どこにも取り上げられたことのない、アートが某日本企業のために歌った非売品CDもやっと紹介できました。今週末には書店に並ぶようですので、ぜひ手に取っていただければ幸いです!
サイモン&ガーファンクル、デビュー60周年記念。メロウな歌声と練り上げられたサウンドに支えられ、アメリカン・ポップスの輝ける星となった偉大なデュオのすべてを網羅した世界初のディスクガイド、『サイモン&ガーファンクル完全版』(和久井光司 責任編集)が河出書房新社から7月29日発売予定
■『サイモン&ガーファンクル完全版』
和久井 光司 責任編集
単行本 A5 / 240ページ
ISBN:978-4-309-25761-7 / Cコード:0073
発売日:2024.07.29(予定)
予価2,860円(本体2,600円)
「アナログ鑑賞会〜サイモンとガーファンクル特集〜」にゲスト出演します。
来る12月22日(金)には、大岡山のライブハウス、GOODSTOCK TOKYO グッドストック トーキョーで行われる、夜のアナログレコード鑑賞会 野口淳コレクション、何卒よろしくお願いいたします!!
「アナログ鑑賞会〜サイモンとガーファンクル特集〜」
ビートルズ博物館を運営されていたこともあるというレコード・コレクター、野口淳さんの定例イベントに、元CBSソニーでポール・サイモンの『ひとりごと』を担当されたディレクター磯田秀人さんとともに、ゲストに呼んで頂きました。
日時:12月22日(金) 19時開演、21時終了予定
入場料:予約2,000円 当日2000円(ドリンク代別)
ゲスト:石浦昌之 磯田秀人
場所:大岡山 グッドストック東京 (東急目黒線大岡山駅から徒歩6分)
内容:①トム&ジェリー時代のレコード
②S&G前のポールとアートのソロ·レコード
③サイモンとガーファンクル時代のレコード(USプロモ盤を中心に)
④S&G解散後、70年代のソロ·レコード
※それ以外にもレアな音源を用意しております。
『ディスカヴァー・はっぴいえんど』発売記念・トーク・イベント
監修させて頂いた『ディスカヴァー・はっぴいえんど』発売記念、トーク・イベントを芽瑠璃堂川越店で11/25開催します! ワンドリンクはありますが、チャージはなんと無料!15名限定なので、リンクからお早目のご予約お待ちしております!収録できなかったルーツ楽曲も沢山流す予定でおります!
https://merurido.jp/magazine.php?msgid=00011-1699771141
【芽瑠璃堂music connection at KAWAGOE vol.5】
かつて、日本にもビートルズがいた。はっぴいえんどとその周辺、50の断片を探す旅。
『日本語ロックが生まれた場所、シティポップ前夜の記憶』 を語る。
日時:2023年11月25日(土)
14時開場 / 15時開演~17時30分頃終演予定(途中休憩あり)
定員15名(予約先着順)
チャージフリー(1drinkオーダー必須)
場所:芽瑠璃堂川越店3F
進行:藤沢隆行(クリンクレコード)
ゲスト:いしうらまさゆき
はっぴいえんどの深淵なる音楽ルーツに迫ったコンピレーション『DISCOVER HAPPY END』の発売を記念して、同タイトルの監修を務めたいしうらまさゆき氏が彼らのルーツと周辺を語ります。
森羅万象の素晴らしい音楽を聴きながら、午後のひとときをゆったりとお過ごしくださいませ。
『ルーツ・オブ・サイモン&ガーファンクル』発売記念イベント
8月26日(土)に『ルーツ・オブ・サイモン&ガーファンクル』の発売を記念して、西荻窪の素敵なお店「MJG」でイベントをやります。参加無料ですが、席が限られておりますので、予約の際はお店に直接(03-5941-7821 / 090-1406-2058) or 私のメッセンジャーまでご連絡ください。CDの物販もあります!
ジェフ・ベックのこと
*[コラム] ジェフ・ベックのこと
ジェフ・ベックが亡くなったとのこと…新年早々本当に動揺。そして幸宏さんのことはすぐには受け入れられそうもない。ジェフの追悼記事、いつものことながら昔話ばかりが多くて何とも言えなかったけれど、昨年リリースのジョニー・デップとの共演作『18』に至るまで近作も素晴らしい出来だった。
『LOUD HAILER』リリースに合わせた2017年の東京ライブも素晴らしく、あの指弾きを生で見られてよかったと今にして思う。ちなみに3曲目に演じられたのは世界で最も過小評価されているギタリスト、ロニー・マックのカバー"Lonnie on the move"(原曲はボビー・ブランドの"Turn on your love light")。ライブ前年の2016年にロニーが亡くなっていたので、特別な意味が感じられた(YouTubeにある"Lonnie on the move"の中には、ジェフによる同じくロニーのカバー"Wham"を載せているものもあるから要注意)。リンク・レイ、スコッティ・ムーア、ジミ・ヘンドリクス、ロニー・マック…産声を上げたばかりのロックン・ロールとその音楽的発展をふまえ、ルーツを大切に咀嚼しながらも唯一無二・孤高のギター・プレイを作りあげたジェフのことを想いながら。
「こんなロックは知らない 要らない 聴かない君が 上手に世間を渡っていくけど」(GLIM SPANKY ”大人になったら”)を安直にパクって「ロックなんか聴かない」とか歌ってヒットさせてる人もいましたけれども(ファンの方、ごめんなさい…)。真の音楽愛を持ってルーツを継承する若手ミュージシャンが大方この国では雲散霧消してしまったことにも、何とも言えない気持ちになってしまった。例えばアメリカやイギリスでそうした音楽が継承されているように今も思えるのは、それぞれの文化にしっかりとルーツが根付いているからだろう。そう考えると、日本におけるロックなるものは、ある種のアメリカニズムの一環として戦後日本の一時期に定着した流行にすぎなかったのかもしれない。とはいえ、世界平和の共通言語として、一つの反骨の思想として、ロックを聴き、伝えていく意味はあるのではないだろうか。改めてジェフの残した音楽を聴きながら。
2017年の来日公演の際に書いたレビューを!
https://merurido.jp/magazine.php?magid=00023&date=2017%2F02%2F
Art Garfunkel Jr. / Wie Du-Hommage an meinen Vater
*['60-'70 ロック] Art Garfunkel Jr. / Wie Du-Hommage an meinen Vater ( TELAMO / 2021 )
どんな音楽通でも、名前を見ない限り、このスキンヘッドおじさんを特定するのは困難だろう。本名ジェイムス・ガーファンクル、サイモン&ガーファンクルのアート・ガーファンクルの息子、アート・ガーファンクル・ジュニアである。父アートとデュエットした親友ジェイムス・テイラーと同じファーストネームを名付けてもらったということになる。アート・ガーファンクルは3本の指に入る大好きなミュージシャンだけれど、この盤は手に入れるのに時間がかかった割にちょっとキツ目の盤だった。発売からしばらく経ってやっと冷静に聴けました。
アートの90年代後半から00年代の公演には妻キムと共に帯同し、”The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)”では家族3人、ジェイムスは父と同じ衣装と髪型で天使の歌声を聴かせてくれたものだったが(渋谷のオーチャードあたりで何度か見ました)、時の経つのは早いもので。
ちなみに大きく成長してからもアートの公演では時折デュエットを披露。ボーカリストとしては、正直親の七光りが無ければ特徴もなく厳しいものがある中での今作、初のアルバムとなるわけだけれど、移住地のドイツ語で、S&Gおよびアートの代表曲をゲストを交えて歌うというところに落ち着いたようだ。アルバムタイトルは、『あなたのように―父へのオマージュ』といったところ。
割と面白いなと思ったのは、アートが子ども(ジェイムス)のために作った1997年のアルバム『Songs from a Parent to a Child』に収められているキャット・スティーブンスのカバー”Morning Has Broken”とか、1993年の『Up 'Til Now』(このジャケにも息子ジェイムスが映っている)から、キャロル・キング作でエヴァリー・ブラザーズが歌った”Crying In The Rain”が収録されていたこと。家族で一緒にツアーを回っていた頃、おそらく知らぬ間に覚えていた楽曲を収録したと思われる。なんだか心動くものがあった。何より、父アートが”Der Condor zieht (El Condor Pasa)”と”Raum des Schweigens (The Sound Of Silence)”、そしてCDにはクレジットがなかったけれど、”Geh mit mir durch den Regenbogen (Bridge Over Troubled Water)”の3曲で息子の一人立ちに華を添えている。アートのレコーディングは、2013年にジミー・ウェッブのセルフ・カバー・アルバムで歌った”Shattered”以来ではなかろうか。ゾクっとするアートの歌声は流石と思い知らされた。
さらに5曲追加の拡大盤も出ている。
Buddy Guy / The Blues Don’t Lie
*[ブルーズ] Buddy Guy / The Blues Don’t Lie ( Sony Music / 2022 )
ブルーズの新譜をこうして聴くのはなんとも新鮮な気分。バディ・ガイ御年86歳(!)のニュー・アルバム『The Blues Don’t Lie』。日本盤発売直前だけれど、サンプルを聴くことができた(日本盤は”Leave Your Troubles Outside”をボーナス収録)。
恐ろしくパワフルなギターとボーカル。ジャケの表情にみなぎる充実感、これで伝わりますよね。「ブルーズは嘘をつかない」ってなタイトルも最高。60年前にルイジアナを出て、ワン・ウェイ・チケットでシカゴへ…喋るのは苦手だからギターに喋らせよう…なんていう冒頭”I Let My Guitar Do The Talking”。自伝的作品だけれど、これはバディが話す人生を今作の白人プロデューサー、トム・ハムブリッジが曲に仕立てたもの。続くタイトル曲”Blues Don’t Lie”はそのトムの単独作だけれど、BBを思い出すような素晴らしいマイナー・ブルーズだった。ビートルズの"I've Got A Feeling"のカバーもあったり飽きさせない作り。クラプトンもストーンズもジミヘンも、バディに憧れて…というところがあったわけだけれど、クラプトンですら共演すると気張っているお子ちゃまに見えてしまうという。今回の共演者はキング牧師の暗殺を決して忘れないという”We Go Back”を共に歌ったメイヴィス・ステイプルズはじめ、エルヴィス・コステロ、ちょっと意外にも思えたジェイムス・テイラー、同じく齢80を超えても達者なファンキー・ブルーズ爺さんボビー・ラッシュ、21世紀のアメリカーナの雄ジェイソン・イズベル、そしてウェンディ・モートンという顔ぶれ。本編ラストは同郷ルイジアナのスリム・ハーポの名曲”King Bee”をアコギで弾き語る。BBともどもコマーシャルなブルーズ良作を生んできた彼のプリミティブな肉声に参りましたの一言。