いしうらまさゆき の 愛すべき音楽よ。

音楽雑文家・SSWのブログ

いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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いしうらまさゆき へのお便り、ライブ・原稿のご依頼等はこちらへ↓
markfolky@yahoo.co.jp

2024年5月31日発売、V.A.『シティポップ・トライアングル・フロム・ レディース ー翼の向こう側にー』の選曲・監修・解説を担当しました。
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[NEW!!]2024年3月29日発売、モビー・グレープ『ワウ』、ジェントル・ソウル『ザ・ジェントル・ソウル』の解説を寄稿しました。

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2024年2月23日発売、セイリブ・ピープル『タニエット』の解説を寄稿しました。
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2023年12月22日発売、ロニー・マック『ワム・オブ・ザット・メンフィス・マン!』、ゴリウォッグス『プレ・CCR ハヴ・ユー・エヴァー...?』、グリーンウッド・カウンティ・シンガーズ『ハヴ・ユー・ハード+ティア・ダウン・ザ・ウォールズ』の解説を寄稿しました。
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2023年12月22日(金)に大岡山のライブハウス、GOODSTOCK TOKYO グッドストック トーキョーで行われる、夜のアナログレコード鑑賞会 野口淳コレクションに、元CBSソニーでポール・サイモンの『ひとりごと』を担当されたディレクター磯田秀人さんとともにゲスト出演します。
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「アナログ鑑賞会〜サイモンとガーファンクル特集〜」 日時:12月22日(金) 19時開演、21時終了予定 入場料:予約2,000円 当日2000円(ドリンク代別) ゲスト:石浦昌之 磯田秀人 場所:大岡山 グッドストック東京 (東急目黒線大岡山駅から徒歩6分) 内容:①トム&ジェリー時代のレコード    ②S&G前のポールとアートのソロ·レコード    ③サイモンとガーファンクル時代のレコード(USプロモ盤を中心に)    ④S&G解散後、70年代のソロ·レコード ※それ以外にもレアな音源を用意しております。
2023年11月25日(土)に『ディスカヴァー・はっぴいえんど』の発売を記念して、芽瑠璃堂music connection at KAWAGOE vol.5 『日本語ロックが生まれた場所、シティポップ前夜の記憶』を語る。 と題したイベントをやります。
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2023年9月19日、9月26日にTHE ALFEE坂崎幸之助さんの『「坂崎さんの番組」という番組』「坂崎音楽堂」で、『ルーツ・オブ・サイモン&ガーファンクル』を2週にわたって特集して頂きました。
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坂崎さんから
「聞きなれたS&Gがカバーしていた曲の本家、オリジナルの音源特集でしたが、なかなか興味深い回でしたね。やはりビートルズ同様に彼らもカバー曲が多かったと思うと、人の曲を演奏したり歌ったりすることも大事なのだと再確認です。」
2023年10月27日発売、『ディスカヴァー・はっぴいえんど: 日本語ロックが生まれた場所、シティポップ前夜の記憶』の監修・解説、ノエル・ハリスン『ノエル・ハリスン + コラージュ』の解説を寄稿しました。
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2023年9月29日発売、『風に吹かれて:ルーツ・オブ・ジャパニーズ・フォーク』の監修・解説、ビッグ・ブラザー・アンド・ザ・ホールディング・カンパニー『ビッグ・ブラザー・アンド・ザ・ホールディング・カンパニー』の解説を寄稿しました。
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2023年7月28日発売、リッチー・ヘヴンス『ミックスド・バッグ』(オールデイズレコード)の解説を寄稿しました。
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2023年8月26日(土)に『ルーツ・オブ・サイモン&ガーファンクル』の発売を記念して、西荻窪の素敵なお店「MJG」でイベントをやります。
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2023年6月30日発売、ルーツ・オブ・サイモン&ガーファンクルの監修・解説、ジャッキー・デシャノン『ブレイキン・イット・アップ・ザ・ビートルズ・ツアー!』(オールデイズレコード)の解説を寄稿しました。
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2023年3月31日発売、スコッティ・ムーア『ザ・ギター・ザット・チェンジド・ザ・ワールド』、オールデイズ音庫『あの音にこの職人1:スコッティ・ムーア編』、ザ・キャッツ『キャッツ・アズ・キャッツ・キャン』の3枚の解説を寄稿しました。
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2023年2月24日発売、ビッグ・ボッパー『シャンティリー・レース』、フィル・フィリップス『シー・オブ・ラブ:ベスト・オブ・アーリー・イヤーズ』、チャド・アンド・ジェレミー『遠くの海岸 + キャベツと王様』の3枚の解説を寄稿しました。
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2022年12月23日発売、バディ・ホリー・アンド・ザ・クリケッツ 『ザ・バディ・ホリー・ストーリー』(オールデイズレコード)の解説を寄稿しました。
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Roger Miller / A Trip In The Country

*[SSW] Roger Miller / A Trip In The Country (Mercury / 1970)

カントリーの大御所ロジャー・ミラー。シンガー・ソングライターの草分けとしての足跡もある。1992年に惜しくも亡くなっておりますが。こちらは1970年にマーキュリーから出たアルバム『A Trip In The Country』。マーキュリーからはこの1枚だけ。タイトル『A Trip In The Country』と聞けば、カントリーのスタジオ・ミュージシャンが超絶テクを披露したあのArea Code 615の傑作セカンド『Trip In The Country』を思い出すけれど、同じ1970年リリース。ロジャー・ミラー盤には、Area Code 615に参加したチャーリー・マッコイやバディ・スパイサーがいる。

 

ロジャー・ミラーの『A Trip In The Country』が興味深いのは、大滝詠一が1997年のナイアガラ・リハビリ・セッションで取り上げた”Tall, Tall Trees”と”Nothing Can Stop My Love”が収録されていること(2016年の大滝のアルバム『DEBUT AGAIN』(デビュー・アゲン)の初回ボーナスCDに収録)。

”Tall, Tall Trees”はジョージ・ジョーンズ(1957年にシングル・リリース)とロジャー・ミラーの共作で、アラン・ジャクソンが1995年にカバーし、USカントリー・チャートで1位を記録している(プロモ映像がYouTubeで観られますが結構いい感じ)。大滝が直接興味を持ったきっかけはリアルタイムできっとそこだろう。ロジャーのヴァージョンもバディ・エモンズの痛快なスティールギター・ソロを含め、最高です。

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大滝さんの濃密なラジオからはルイジアナ・ヘイライドのこととか、色々教わったのだけれど、エルヴィスの産湯を浸かったという彼が、アメリカン・ポップス探究の途上にて、日本人があまり関心を持ってこなかった部分のカントリー・ミュージックを当時一つのキーワードとしていたことは間違いないと思う。私自身も特にアメリカの音楽を熱心に聴いてきたわけだけれども、カントリーはあきれるほどに奥が深い。カントリーそのものな50年代のロックンロールはもちろんだけれど、大滝が惹かれていた60年代前半のアメリカン・ポップス(リッキー・ネルスンあたりがわかりやすい)、そして70年代の一般的なアメリカン・ロックやAORなどと言われる音楽、さらにある種のソウル・ミュージックだって、その実はカントリーだということに気が付く。え?と思う人がいるかもしれないけれど、雑食の音楽ファンならわかってもらえると思う。大滝のとぼけたユーモア感覚や言葉遊びやオチのセンス、いわゆる「ノリ」の部分にカントリー仕込みの感性がみられるような。しかも、『A Trip In The Country』がリリースされた1970年は、はっぴいえんどがデビュー・アルバムはっぴいえんど(ゆでめん)をリリースした年でもあったわけで。この辺りの円環とリハビリ・セッションの選曲を深読みしてみるのも面白い。

Julian Lennon / Jude

*[ロック] Julian Lennon / Jude (BMG / 2022)

 

気付けば肌寒い季節になってきまして。頂いた原稿のお仕事色々やっていたら1年ぐらい、暇になる隙間がなかった。暇があろうとなかろうと釣りには行ってしまうから、更新は遅れるという悪循環にはまっていた。しばらく前に疲れ切ったところでコロナにもなりましたね~こちらは思った以上結構しんどく出てしまい、風邪じゃないということを体感しました。

さて、積まれている新譜の中から、あのジュリアン・レノンの11年ぶりの新作Judeを。レコード原理主義者の私はもちろんLPで入手。ビートルズ、ジョン…おそらく亡霊のような幼年期の想い出と戦うジュリアンも59歳といういい年齢になられて。父ジョンと瓜二つの(先妻シンシアとの)息子ジュリアンはジョンの死後1984年にデビュー。デビュー盤でフィル・ラモーンがプロデュースするなど相当お金をかけてもらったのだと思うけれど、結構売れた。こちらはサイン入りLPという家宝のひとつ。

ただしその後、人気は凋落して、レコード会社との契約は切れる。きっと苦労もしたはずだ。大学生になりたての頃だったか、1998年に『Photograph Smile』というパーソナルな作品が久々にリリースされて、Avexの日本盤が新譜レコ屋でも結構プッシュされており、買いました。それを聴いてビックリ!これは天才だと思いました。ジョンで言うところのプライマル・スクリーム療法ではないけれど、父に捨てられた自身の不幸な出自と隠し切れないビートルズの幻影と戦う内省的な作風に、一気にファンになってしまった。”Day After Day”がとにかく素晴らしい曲!2世ミュージシャンの括りでいまだに語られるのは不幸だとも思う。2世で首相補佐官になったどっかの人とはデビュー時に持つ資質は違っているものと想像されます。知らんけど(笑)

2000年代以降の作品。2009年のEP『Lucy』と、2011年のアルバム『Everything Changes』

新作に話を戻すと、プロデュースはジュリアン自身と彼のバンドのギタリスト、ジャスティン・クレイトン。10曲の内すでに4曲はYouTubeで先行配信されていた。冒頭”Save Me”、”Freedom”や”Stay”あたりはジュリアンの真骨頂かと。”Love Don’t Let Me Down”なんていうビートルズ引用もあるから、すでに吹っ切れてる部分はあるのかも。ポール・マッカートニーが哀れなジュリアンのために作った”Hey Jude”をアルバム・タイトルに持ってきているくらいだし。メロディで言うと、”Not One Night”やOasisっぽいブリット・ポップ風味を現代的に展開させた”Lucky Ones”が印象的だった。ラストの”Gaia”はジュリアンと同時期に世に出たブルー・ナイルのポール・ブキャナンがゲスト参加している。LPは、針飛びを恐れてかわからないけれど、少々音圧低めの印象もあったが、ジャケのトータルの雰囲気はデビューから3作目までのモノクロを踏襲しており、とてもよい。

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最後に、ウクライナ戦争の最中の今年4月にアップされた、Extremeのヌーノ・ベッテンコートと演奏した”Imagine”を。

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10吋(インチ)レコードを聴きながら

*[コラム] 10吋(インチ)レコードを聴きながら

 

10吋(インチ)はいいですね。ポツポツとレコ屋に出たところを見つけて集めている。10インチは78回転のSPと同じサイズ。でも、重たくて割れやすいSPとは違い、ヴィニールで軽く割れにくい。日本盤だと1950年代後半から60年代初頭くらいまでのものをよく見かける。薄型のコーティング仕様で独特の着色のジャケがレトロ感満載な感じ。12インチのお馴染みのアルバムサイズのLPレコードが出るまでは、LP(ロング・プレイング)といえば10インチだった。

 

ここのところ、往年のミュージシャンの新譜CDを買うと、「でかジャケ」などと称して拡大サイズのジャケが特典で付いてくるけれど、このサイズが大抵10インチなんですよね。12インチよりコストが安いからだと思うけれど、中途半端なサイズだと思っている人もいるかもしれない。

昨日買った10インチ3枚。1枚目は1959年にコロムビアからリリースされたマイトガイ小林旭大いに歌う』。「銀座旋風児」と書いて「ギンザマイトガイ」と読ませる。最高です。主演映画のタイトル曲”ギターを持った渡り鳥”を改めて聴くと、田端義夫風の生エレキの音色とか、ドゥ・ワップから来ているんだろうけれど、後のムード歌謡でもお馴染みとなる「ドゥー・ワー」なんてコーラスといい、良いですよね。そもそも股旅+西部劇っていう文化的折衷も面白い。

2枚目はTAKESHI TERAUCHI AND HIS BLUE JEANS『SCREEN MOOD ON THE ROCK(スクリーン・ムード・オン・ザ・ロック)』。コレ、調べてみると1963年に東京・キングレコードからリリースされた、寺内タケシとブルー・ジーンズ(ジャケ裏の解説では「寺内タケシとブルー・ジンズ」と表記)初のLPとのこと。背表紙に寺内やブルー・ジーンズの表記はないから、お店なんかでBGMとして使われた、ロックで映画音楽を演奏するムードものの一つだったのだろう(選曲は出演していたジャズ喫茶のお客さんのリクエストらしい)。ヴェンチャーズの”Walk Don’t Run”(ジャズ・ギターのジョニー・スミスの曲ですね)、そして”Jailhouse Rock(カンゴク・ロック)”に始まり、“High Noon(ハイ・ヌーン)”(『真昼の決斗』)、”Mack The Knife(匕首マック)”(『三文オペラ』)、”The Third Man Theme(第三の男)”などを収録。解説のメンバーに含まれていないけれど、ジャケットの演奏写真(日劇ウェスタン・カーニバルか?)にはボーカルの ほりまさゆき と、後にワイルドワンズを結成する加瀬邦彦も写っている。

そして3枚目は『スリー・キャッツのセクシイ・ムード 桃色の風』コロムビアから1960年にリリースされた2枚目のLP。浜口庫之助が手がけた”黄色いサクランボ”に代表されるお色気路線で知られる女性ボーカル・トリオ。結構タイトルは露骨なんですが、見た目的には女性ジャズ・ボーカルものの線だったことがわかる。そもそも女性ジャズ・ボーカルものの一部は、マイクロフォンを効果的に使って吐息を耳元のように聴かせるジャンルだった。ここには収録されていない”黄色いサクランボ”は、ゴールデン・ハーフが1970年にカバーして大ヒットした。そういえば、大正生まれの私の祖父が亡くなる前に、当時大学生だった私がレコードを集め始めていることを知って、突然「スリー・キャッツの黄色いサクランボのCDを探してもらえんか」と電話がかかってきたことを思い出す。ゴールデン・ハーフではない、もう一度聞きたい、と何度も念を押されて。今ならすぐ探せたと思うし、YouTubeの時代なら何でもないことなんだけれど、当時の私の力では難しくて。あの頃おそらく単体のCDは出ていなかったんじゃないだろうか(その後アルバムがCD化された)。結構中古レコード屋さんなんかも回ったけれど、見つからないままになってしまったことが今でも悔やまれる。

大滝詠一 / 夢で逢えたら / FUN×4

*[日本のフォーク・ロック] 大滝詠一 / 夢で逢えたら/ FUN×4 Sony / 2022 )

 

相当ご無沙汰しておりました。毎日暑いですがいかがお過ごしでしょうか。昨日は音楽仲間と西荻窪で旧交を温めて。ゴドリー&クリームの60年代のコンピレーションが~とか、デル・シャノンがプロデュースしたブライアン・ハイランドのシングルが~とか、家族に言ってもまずは理解されない話をし続けてエネルギーをもらえたような。毎日続けているレコード探究だけれども、意外と孤独な作業だから、こういうのがやっぱり楽しい。最近だと今まで食指が動かなかったミートローフの全アルバムをアナログとCDで聴いてみよう、とか、何の意味があるのかわからない作業を続けておりますもので。ところで西荻窪というと、アルバムを作っていた7、8年前ですと毎週のように飲みに行ったりしていたわけで、その頃のことを懐かしく思い出したり。しかしコロナで大分世間は様変わりしてしまったような。個人のお店に何軒か入ってみたところ、たまたまかもしれないし、深読みしすぎかもしれないけれど、割とドメスティックで排他的な雰囲気のお店が増えている感じもあった。コロナで海外からの人の移動も減り、内輪ノリになっている日本の縮図のような気もした。

 

そんな中で、久々にお邪魔したロック・カフェMJGはオープンマインドな雰囲気で本当に素晴らしかった!

ロックの訳詩家でいらっしゃる武内邦愛(Kuni Takeuchi)さんに連れて行って頂いたのが3年前のこと。レコードを7万枚!も持っていらっしゃるというマスターの植村さんのお人柄も含めて魅了されてしまった。私も毎日レコードをごそごそ買ってますけれども、2万枚もないくらいじゃないかと思いますので、ただただ感服いたします。。なんとお客様の中に私と同世代の古井戸ファンの方もいらっしゃって、私が関わった加奈崎さんの本『キッス・オブ・ライフ ジャパニーズ・ポップスの50年を囁く』を読んでくださっていたとか…感激してしまいました。何年たっても変わらない、音楽ファンのイデアがそこにはありました。

さて、そんなわけで、注文していたことを忘れていた大滝詠一の7インチシングル夢で逢えたら / FUN×4 』を。アナログ化ってことで言うと、2018年の『EIICHI OHTAKI Song Book III 大瀧詠一作品集Vol.3「夢で逢えたら」』が先行。こちらは4枚組まで出たCDから、5曲を抜粋したものだった。

今回のシングルは大滝自身の”夢で逢えたら”とロンバケの”FUN×4”をカップリング。”FUN×4”の面には大好評だった江口寿史ロンバケイラストという魅惑的な仕様、爽やかなクリアヴァイナルで…誰もが聴きたかった”夢で逢えたら”の自演、このテイクにおける大滝さんのボーカルの艶といったら!

話は変わると、鈴木茂さんのファンクラブから届いた直筆のハガキには、松本隆さんとの共作の新曲をライブで演るという嬉しいお知らせが!茂さんのニュー・アルバムではっぴいえんどのマジックに再び触れてみたいものだ。

宮 武弘 / アウトドアとビール

*[日本のフォーク・ロック] 宮 武弘 / アウトドアとビール(LIFE CARAVAN MUSIC / 2021)

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このタイトルですよ、『アウトドアとビール』。コロナが明けたら本格的に「アウトドアとビール」、ここから始めるのがいいんじゃないかな、と…去る3月12日は、渋谷のセルリアンタワーにある素敵なライブスポットJZ Bratにて、アウトドア、サッカー、クラフトビールを愛するウクレレシンガー宮 武弘(miya takehiro)が昨年11月にリリースしたNew Album『アウトドアとビール』のリリースパーティー!へ。久々に聴く生演奏、素晴らしかったし元気をもらえた。感染対策もバッチリ、朝の混雑列車の100倍安全でした。

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宮 武弘(vo,ukulele,p)、脇山広介(ds)[ウカスカジー]、齋藤純一(g)、加藤雄一郎(sax)、MAKOTO[JABBERLOOP](tp)、やまはき玲(cho)、森田晃平(b)という豪華フルメンバーで繰り広げられるキャリアを総括するようなステージは、なんと2ステージで21曲!!普段ならビール片手にお客さん同士でカンパーイなんてシーンがあるけれど、コレばかりはコロナ明けまでお預け。開演前の客席には「待ってました」というライブ・ミュージックへの渇望が渦巻いていたけれど、それに十二分応えてくれたステージだったと思う。バンドNatural Records時代にピアノを弾いていた、宮 武弘というミュージシャンの音楽に含まれる哀しみ成分が、ウクレレをメイン楽器にしたソロのある時期から、ハッピー成分へと変わり、新たなファンを獲得していった…そんな20年来の劇的な音楽キャリアも、新旧入り混じったセットリストを通じて振り返ることができた。

 

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発売後から聴いてきたゴキゲンなニューアルバム『アウトドアとビール』。軽快なウクレレから繰り出されるポップでナチュラルな心地よい音楽に包まれる。タイトルに偽りなし、でありまして、クルマに荷物を積んでいよいよキャンプに出発したくなる”キャンプドライブ”(FMヨコハマThe Burnで聴いたウクレレ弾き語りもよかった!)や”バンザイWEEKEND”、そして、よなよなエール「超宴」に出演する彼ならではの「よなよな賛歌」”ヤッホー!ビール”、そして、まずは飲まなきゃ始まらないってなビール愛が注がれる”ビールのおかげ”(飲んでるかどうかを確かめる「アルコールチェック」もあり(笑))などなど、腰が浮いて太陽を浴びたくなる全8曲。個人的にはLITTLE CREATURES鈴木正人が1曲だけプロデュースを手がけた”森と歌う”が新境地だな、と。野外フェスだと3連のビートと呼応して蝉の音量が最大になるのだそう、スゴイ!

youtu.be

仕事だけじゃなく、子育てしながら、飲んだり歌ったり、楽しいことをみんなでやりたい…物騒なことより、音楽がもたらす平和の方が好き…自分で育てた野菜をそのままかじることの幸せとか、それはうわべじゃなく、本当の意味での持続可能な世界をつくることになる…そんな前向きで新たな価値を、音楽を通じて表現しているように思える前作『アウトドア日和』と今作『アウトドアとビール』。次作でぜひとも、アウトドア三部作を完成させてほしいと思っております(笑)

 

HP: http://miyatakehiro.com/

 

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ミュージシャン”宮 武弘”とリフティングパフォーマー”インディ鈴木”が中心となり「サッカーと音楽で遊ぼう!」開催!

会場は、2021年に新しくできた吉川美南のSOLumコミュニティフィールド!

スポーツを通じた身体の健康と、音楽を通じた心の健康を!

子供だけでなく、親子で楽しく遊びながら体感しよう!大人のみの参加もOK!

【日時】4月10日(日)13:00 - 17:00

【会場】SOLumコミュニティフィールド(イオンタウン吉川美南 東街区3F)https://www.solum-sports.co.jp/

【題名&内容】「サッカーと音楽で遊ぼう!」

◆ライブ!

◆リフティング教室

ウクレレ教室

◆アイスブレイクゲーム

◆フットサル

◆飲食店の出店

【料金】大人 3000円 / 子供 2000円

(リフティング教室、ウクレレ教室のみの参加は、どなたでも1500円。付き添い無料。)

団体割引:お子さんが5人以上で参加の場合は、子供一人1500円でOK。

少年団、クラブチーム、お友達同士でお申し込みください。

【申込】https://forms.gle/LPf6N6osuWsGJZwd7

【詳細&問合】http://miyatakehiro.com/contact/

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【発表!4/30「ビールのおかげ vol.3」with BLACK TIDE BREWING !】

クラフトビールを愛するウクレレシンガー宮 武弘の楽曲「ビールのおかげ」。ジャケットをイラストレーターのイソガイヒトヒサが担当。そこから始まった新プロジェクト「”ビールのおかげ”」第3回は、宮城気仙沼の大人気ブルワリー「BLACK TIDE BREWING(以下 BTB)」が登場です!!!

会場は前回に続いて、東京練馬の関町セラー!

宮、イソガイ、そして、BTBから丹治による、トーク&ライブ&BTBタップテイクオーバー!

お見逃し&飲み逃しなく!!!

4月30日(土)

「ビールのおかげ vol.3」

会場:関町セラー(東京都練馬区関町東1-1-8)

時間:(1)13:00 - 14:30、(2)16:00 - 17:30 (イベントは90分。完全入れ替え制)

イベント参加費:¥2000(tax in)※飲食代別

定員:各回 20名(通常定員の50%以下)

予約:お名前、ご希望の時間(13時 / 16時)、人数を添えて、下記よりご予約ください。お支払いは当日受付にてお願い致します。

http://miyatakehiro.com/contact/

カセットデッキ再び

*[カセットテープ]  カセットデッキ再び

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音楽に興味を持つようになった小学生から高校生ぐらいまで、一番親しんだ音楽メディアはカセットテープだった。ベスト選曲のカセットとか作りましたよね。あの作業も今思えばある種の編集力だったような。プレイリスト作りよりも時間の制約があるのが面白かった。ノーマル、ハイポジ、メタルとかもありました。最近そんなカセットの魅力をまたまた追求している所。中目黒のカセット専門店ワルツとか、BEAMSでのレストアされたカセットデッキ(ラッパーが肩で担いでいるみたいなやつ)販売とか、しばらく話題にもなってましたが。

 

しかし、本当の意味でのカセットのアナログな真価を体感するには、ちゃんとしたデッキを買う必要がある。デッキで再生したカセットテープの音は結構ビビります。「デジタルは音が良い、アナログは音が悪い」というのは進歩主義・資本主義的差別化に踊らされた一つの思い込みだったとわかる。カセットはレコードの音とは似たものがあるけれど、デジタルとはまた別次元。しかし国内メーカーの新品カセットデッキはもはや手ごろなものがないから、音質というよりも若い世代にはちょっと面白いガジェットといった体で消費されているのが少々残念。アナログ保全の雄、TEACTASCAMが辛うじて新品を扱ってはいるけれど、もはや需要が少ない今では高利薄売4~7万と高価だし、モデルによっては在庫処分の趣もあって、もはや風前の灯火。海外で作ったおもちゃみたいなウォークマンまがいの簡易プレイヤーはアマゾンで売ってますが、すぐ壊れます。音も「再生できました」という程度。

 

そうなるとヤフオクなどで、取り扱っているリペア業者から買うというのが一般的な入手方法になる。ジャンクを買って、トータルでリペアして出品する個人や業者が大勢いる。評価の数で判断してほしいけれど、良い仕事をしている人がいる。カセットやCDプレイヤーは特にゴムベルトが必ず経年でダメになるから、トレイや再生の不具合で必ずいつか壊れてしまう。あまりに古いとモーターの回転数も狂う。先日、5年前に買った愛用のONKYOのデッキ(これもリペア品だったけど)が壊れて買い直したから、手元にあるのは3代目のデッキになる(ちなみに壊れたものはジャンク出品すれば一瞬で売れる)。リペア業者からは1980~90年代の日本のオーディオ全盛期の高品質のものが1~2万円前後で入手可能。基盤や重さ、素材をみるだけでわかるけれど、工場が海外移転してマレーシアとか中国メイドになる90年代後半から質が落ちていき、カセットの時代も終わっていくという。もちろん以後は日本と海外の技術力・生産力は逆転していく。悲しいけれど、日本のモノづくりの栄枯盛衰を見るような。

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先日入手したのはリペア済みのSONY最後のカセットデッキTC-WE475(2001年から2011年まで生産)。2つ壊れるまで使えるという見込みでダブルデッキを選ぶ。しかし手に取ると、思った以上に軽い、、、やっぱり天下のSONYも最後は中味スカスカなデッキになってしまっていた。音も水平トレイ式シングルデッキの方が流石に良かったけれど、それでもドルビー再生可能、安定した再生がなされて、一定のクオリティはちゃんと保たれていてホッとする。何より頑丈そうなのが良い。ガチャッと手動でトレイを閉めるのも懐かしい感覚。

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1997年に日本先行リリースが決まったエリック・カルメン(当時、1984年以来13年ぶりのニュー・アルバムだった)のサンプル・カセットを聴いている。曲順や曲数は異なっている。音はCDからテープに落とした時の、あの柔らく心地よいカセットの音。高校生の頃、高田馬場の中古盤屋タイムにて、CDのサンプル盤中古もお金が無くて買えず、サンプル・カセットをよく買っていた。

 

思い返せば、エリック・カルメンと同じくビーチ・ボーイズの影響色濃い大滝詠一も、1984年の『イーチ・タイム』以来リリースは沈黙し、1997年の”幸せな結末”で奇跡の復活を遂げていたことを思い出す。ラズベリーズとはっぴいえんど、というバンドマン出身だったのも似ていたような。

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The Manhattan Transfer / Same

*[ジャズ] The Manhattan Transfer / Same ( Atlantic / 1975 )

f:id:markrock:20220221192627j:plain邦題は『デビュー!』と銘打たれているけれど、アトランティック移籍後のマンハッタン・トランスファーの「再」デビュー作。アダム・ミッチェルがプロデュースした1971年のデビュー盤からメンバーは3人変わって、ティム・ハウザーだけが残った。ところで1971年盤『Jukin’』はキャッシュマン、ピスティリ&ウェストのジーン・ピスティリが加わって、The Manhattan Transfer And Gene Pistilli名義でのリリースだった。ちなみにキャッシュマン&ウェストはジム・クロウチのプロデュースで名をあげ、Cashwestプロダクション、Lifesongレーベルを立ち上げ、自らのデュオのレコードはもちろん、ディオン、ヘンリー・グロス、ジム・ドーソン、ディーン・フリードマンなどのプロデュースで一世を風靡した。

 

話を戻してマンハッタン・トランスファーの「再」デビュー、レコードは良音ですね。両面それぞれ”Tuxedo Junction”と”That Cat Is High”に始まる正統派の男女×2のジャズ・コーラスものなんだけれど、ロック世代にもアピールする作りになっている。ジャズのみならずドゥ・ワップ”Gloria”、”Heart’s desire ”を演る幅広さがあるのが、ママス&ザ・パパスがジャズを演ってみたような世代感覚。ジャズにありがちな原理主義を廃した感性は、後年ジェイ・グレイドンのプロデュースで大化けする下地にもなっている。90年代はフランキー・ヴァリともデュエットしてたっけ。日本で言うと1年先んじた1974年にデビューしたハイ・ファイ・セットとか、サーカスあたりが同じ感覚を持っていたような。セッションマンではジェイムス・テイラーのバックでも後に活躍するドン・グロルニックや、リチャード・ティーフィフス・アヴェニュー・バンドのマレー・ワインストック、マイケル・ブレッカーズート・シムズらが参加。ギタリストとして大活躍しているアイラ・ニューボンとメンバーが共作した”Clap Your Hands”のソウル感覚も堪らない。あとは”Candy”のノスタルジックな感じも最高。日本のシティ・ポップものにも、必ずこういうノスタルジック路線が入ってますよね。

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ノスタルジックといえば、裏ジャケのモノクロが本作のそうした擬古調コンセプトを物語っている。先日近所のレコ屋で見つけたこの日本盤、ジャケの白が黄色く褪せているのもそれっぽかったし、左上には今は亡き永田町のナイトクラブ、ニュー・ラテン・クオーターのシールが違和感なく貼ってあった。レコードも流れ流れて。力道山の刺殺事件が起きた店でした。

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