*[日本のフォーク・ロック] クレージー・パーティー / DO YOUR BEST, BUT TAKE IT EASY がんばれば愛(Kitty / 1980 )
スターダスト・レビュー結成前の根本要がシンガーとして参加した「クレージー・パーティー」のレコードと言えばナイアガラ~大滝詠一ファンならお馴染み。ただ、ジャケ背には「クレージー・パーティー」とも書かれておらず、『がんばれ!! タブチくん!! 激闘ペナントレース』の主題歌で大滝が曲とコーラスを手掛けた”がんばれば愛”がアルバム名として書かれているのみ。非常に匿名性が高いLP。ジャケにあるようにポパイ的サーフ文化からのアメリカニズム再来という時代のムードが、翌年の大滝詠一のアメリカン・ポップスの定石集『ロング・バケイション』のブレイクを生んだことも想起されられる。クレージー・パーティーの実体としては『がんばれ!! タブチくん!!』の音楽を担当していたカリオカの乾裕樹が手掛けたトラック(シングル楽曲含)を集めたものだろう。歌謡曲っぽいものもあるけれど、音像は80年代ナイアガラものとも共通するこの時代特有の弾むようなサウンドで悪くない。哀愁サンバ・ビートなんかは、デビューしたての当時のサザンとも重なるんじゃないかな、実に景気が良い。岡田冨美子・根本コンビの” がんばれ!! タブチくん!!”と根本作詞作曲の”WAOH!”、伊藤アキラ・大滝コンビの”がんばれば愛”と岡田・鈴木キサブローコンビの”涙の誘惑ストリート”はシングル盤のカップリング。同じく岡田・鈴木コンビの”哀しみのサマー・バタフライ”はシングル未収録だから、アルバム・オンリーだろうか。これらの楽曲と乾作曲のインスト(シティ・ポップ的な”Once In A Dream”もある)合わせて全8曲。根本のハイトーンは、2022年の今も変わらないから凄い。ちなみに1995年、高1の時に発売されたばかりの『大瀧詠一 SONGBOOK 2』を買いまして、”がんばれば愛”を聴いた時に、「聴いたことあるぞ」と思いました。小さいときに有線とかラジオとかで聴いたのかな? 無意識の大滝体験であり、根本体験だったのかも。