いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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ジェフ・ベックのこと

*[コラム] ジェフ・ベックのこと

 

ジェフ・ベックが亡くなったとのこと…新年早々本当に動揺。そして幸宏さんのことはすぐには受け入れられそうもない。ジェフの追悼記事、いつものことながら昔話ばかりが多くて何とも言えなかったけれど、昨年リリースのジョニー・デップとの共演作『18』に至るまで近作も素晴らしい出来だった。

『LOUD HAILER』リリースに合わせた2017年の東京ライブも素晴らしく、あの指弾きを生で見られてよかったと今にして思う。ちなみに3曲目に演じられたのは世界で最も過小評価されているギタリスト、ロニー・マックのカバー"Lonnie on the move"(原曲はボビー・ブランドの"Turn on your love light")。ライブ前年の2016年にロニーが亡くなっていたので、特別な意味が感じられた(YouTubeにある"Lonnie on the move"の中には、ジェフによる同じくロニーのカバー"Wham"を載せているものもあるから要注意)。リンク・レイ、スコッティ・ムーア、ジミ・ヘンドリクス、ロニー・マック…産声を上げたばかりのロックン・ロールとその音楽的発展をふまえ、ルーツを大切に咀嚼しながらも唯一無二・孤高のギター・プレイを作りあげたジェフのことを想いながら。

 

「こんなロックは知らない 要らない 聴かない君が 上手に世間を渡っていくけど」(GLIM SPANKY ”大人になったら”)を安直にパクって「ロックなんか聴かない」とか歌ってヒットさせてる人もいましたけれども(ファンの方、ごめんなさい…)。真の音楽愛を持ってルーツを継承する若手ミュージシャンが大方この国では雲散霧消してしまったことにも、何とも言えない気持ちになってしまった。例えばアメリカやイギリスでそうした音楽が継承されているように今も思えるのは、それぞれの文化にしっかりとルーツが根付いているからだろう。そう考えると、日本におけるロックなるものは、ある種のアメリカニズムの一環として戦後日本の一時期に定着した流行にすぎなかったのかもしれない。とはいえ、世界平和の共通言語として、一つの反骨の思想として、ロックを聴き、伝えていく意味はあるのではないだろうか。改めてジェフの残した音楽を聴きながら。

R.I.P.


2017年の来日公演の際に書いたレビューを!
https://merurido.jp/magazine.php?magid=00023&date=2017%2F02%2F