*[コラム] レコ屋のある日常
緊急事態宣言が全面解除に。それにしてもここまで、なかなかしんどい期間だった。経済と健康…保健大臣が目立った諸外国と比較すると日本は厚労大臣より経産大臣が指揮していたから、あくまでそっち優先だったという話になる。が、やはりこれ以上人々の生活を支え切れないということなのだろう。フライング感があったのは支持率回復と来年のオリンピック実施の判断が10月にあることも関係しているように思われる。しかしコロナ以後を演出するのは拙速で、少なくともワクチン実用化後の話だろうし、日本は打ち勝ったとかいう狭い了見では、既に私たちを取り巻くグローバル経済構造の展延を見誤ることになる。
とはいえこの期間、経済とは人々の生活を互いに支えることだと改めて実感できた。例えば毎日目の前でキラキラ輝いているように見えた自分のレコード棚が、なぜか死んだように見えたんですよね。友人が遊びに来て色んなレコードを聴いたり、レコ屋で久々に好きなアーティストのレコを買って、それを機にもう一度アーティストのレコを全部出してそのキャリアを辿ってみる…とか。つまり棚もストックするだけでなく、フローさせないとやっぱり血液循環が悪くなるんですね。不思議と。
そんなわけで中古レコ屋のネット通販とか、ライブハウス援助とか、やれる限りのことはやったわけだけれど、西荻窪の名店ファンレコードの閉店はまぢで痛かった。まあいつかそのタイミングを狙ってたのかもしれないけれど、こんな最中に37年間の歴史を閉じてしまうとは…音楽仲間がみんな西荻近辺に住んでいたころは、無茶苦茶狭いのにレコードギュウ詰めなあの店行くと必ず誰かに会えたもんな…しかも店のオジサンの一人がむちゃくちゃ怖い(笑)閉店時間近くに行くと「閉めるよ」とか言って追い出されるとか、お金払っても毎回無言で釣りを突っ返されるとか、伝説になっている。思えば20年近く通って会話したのは二回。はっぴいえんど『風街ろまん』オリジがナント税込2000円で売っていて、思わず「オリジナルですか?」と聞いたら「だと思う」って。あとは買いすぎて商品が袋ごと下に落下したときだけ「スマン」って。その2回(笑)でも、安かったなあ。例えばフリートウッド・マックとかCCRとかジェフ・ベックとか、そういったロック・クラシックを一通り全部集めたい時はまず初めに行くと、1枚500円くらいで大体揃うっていう。ああいうオールジャンルの店って通ってくうちに家のレコ棚も似てくるんですよね。とっても残念でした。
だから、わが町三鷹の名店パレードが今日営業再開したのは嬉しかった!やっと日常が戻った感じ。久しぶりに店長さんと長話をしてしまう。今日はこんな感じ!
ちなみにユニオンは先週から始めてましたが、店内のお客さんの背中にはレコ掘れる嬉しさが滲み出てました。