/ Introducing ( Epic BN26499 / 1969 )
バット・マグラス&ドン・ポッターが韓国Big Pinkから再発されたようだ。なんだか未CD化の盤を探す、なんていう流行も一段落した感がある昨今だが、この盤は探した記憶があるからか、そのCD化にはちょっとした感慨はあった。
バット・マグラスとの出会いは大学生の頃、毎日通っていた高田馬場の中古レコード店DISC FUN。ジャズ中心の店だったから、とにかくロックとかシンガー・ソングライターものが安かった。水辺でたたずむジャケットの『From The Blue Eagle』(1976)という盤。確か400円とかだった気がする。何と言っても、ジミー・ウェッブをきっかけにお気に入りになっていたプロデューサー・コンビ、フレッド・モーリン&マシュー・マッコリーの二人がプロデュースを務めているというのが買う決め手だった。聴いてみると素晴らしいアコースティック・ギターの音色。お気に入りの一枚となったことは言うまでもない。
それから、ちょっとAORっぽくなった『The Spy』を西新宿の名店レコードコレクターズの店頭で見つけて買った。これは980円、とかだったはず(なんかレコードを手にすると思い出すものだ)。そしてこんどはインターネットでレコ探し、の時代が到来し、アメリカのとんでもない在庫のレコ屋Last Vestige(レコード最後の墓場、っていう店名です!)から買うようになり、数度目にダメもとでオーダーして探して貰ったのが、このBat McGrath & Don Potterの『Introducing』だった。こちらは美盤とは言い難いが20ドルくらいした気がする。ドン・ポッターのソロ『Over The Raibow』も一緒に買ってこちらは8ドルだった。当時日本で『Introducing』は6000円とか7000円なんて値が付いていたレコード。アメリカらからだと送料もかかるから、10枚くらい合わせて買った上で船便でコストを抑えて、2ヶ月くらい届くのをじっと待ったのだった。
レコードの内容はというと…それはそれは素晴らしいモノだった!アクースティックなフォーク・ジャズとも言える洗練されたサウンド。エピックだし、S&Gっぽいかと言うと、ロックに接近していったS&Gよりはもっとフォーク寄りというか。ジャケットもギタロンという珍しい楽器を抱えたバット・マグラスとD-28(たぶん)を抱えたドン・ポッターが実にいい感じ。殆どの曲が二人の共作で、ポール・クレイトンの曲が1曲入っていたのが、彼らのフォーク気質を思わせた。タイトルも、高田渡の『ごあいさつ』みたいな感じでいいでしょう?
こんな想い出のあるレコードだから、CDの方は買わなくていいかな、と思っている。今回この「CD」を手に入れた人は、またこんな想い出を作るのだろうか。
最後にオマケ。マグラス&ポッターはアルバム未収録のシングルもリリースしている。キャロル・キングの”Song Of Long Ago”のカバー。私はモノ/ステレオのラジオ・ステーション・コピーを持っている。そちらもプレ・AOR風味もある素晴らしい出来だ。下でも聴けた。
http://www.youtube.com/watch?v=eK0r04f5Pfs