*[SSW] Richie Havens / Common Ground (Connexion / 1983)
1969年、伝説のウッドストックにて、次の出演者が飛行機で到着する「場つなぎ」で即興で演じられたという”Freedom”で知られる黒人フォーク・シンガー、リッチー・ヘイヴンス。修行僧のようないで立ちにターコイズの指輪で、ギルドのアコギを抱え込んで歌うラヴ&ピース世代の象徴のような人でもあった。ギターのリズム感が尋常じゃないんですよね。オープン・チューニングのギターでパーカッシブに倍速リズムのカッティングを刻みながら、ディープ・ヴォイスの歌はバラードのノリという唯一無二の音。カバーを全て自分の世界に引き込んでしまうから、あのボブ・ディランも30周年記念コンサートに彼を呼んで”Just Like A Woman”を歌わせていた。同じディランの”All Along The Watchtower”と、ジェイムス・テイラーの”Fire And Rain”、ジョージ・ハリスンの”Here Comes The Sun”が稀代の名演でした。
60年代フォークやロックの人たちは80年代に作品を出せず苦労した人も多いが、リッチーもその例にもれず。ただ、彼のディープ・ボイスはソウル風味のAORサウンドとの親和性は結構高く、1983年にイタリアでこんなアルバムを作っていた。アレンジ・プロデュースに加わっているのはイタリアの大御所ピノ・ダネリ。ピノとの共作によるファンキーな”This Is The Hour”をはじめ、トータルで聴き所が多い。ザクザク刻むアコギはないけれど、ボーカリストとしての魅力が確かめられる作品だ。同じくボーカリストとしては1991年にEpicからリリースされた『Now』という大傑作も残している。
ちなみに内ジャケの姿はまるでアイザック・ヘイズのような!