*[ソウル] Lani Groves & Darlene Love / Bringing It Home (Shanachie / 1987)
これは気持ち良いアルバム!ラニ・グローブスとダーレン・ラヴの共演作『Bringing It Home』。ポップス・ファンにおなじみブロッサムズのダーレン・ラヴはフィル・スペクターが信頼を置いていたシンガー。クリスタルズの全米No.1”He's A Rebel”も実はダーレンが歌っていました。”The Boy I'm Gonna Marry”や” Wait Til My Bobby Gets Home”、” Why Do Lovers Break Each Other's Hearts?”とか良い曲ばっかり。妹さんは女性版ジャクソン・ファイヴのようなサウンドだったハニーコーンのエドナ・ライトでした。で、ラニ・グローブスの方は、70年代を中心にソウルからポップスまで様々なジャンルでほぼソウルフルな女性コーラス隊が入ってまして、その一角を構成していたお方。一番有名なのはスティーヴィー・ワンダーのバックボーカルを務めていたこと。参加作は多すぎて書けません(笑)あと、ソングライターとしても、デニース・ウィリアムズなどで知られる” That's What Friends Are For”やフランキー・ヴァリ、イモーションズで知られる “How'd I Know That Love Would Slip Away”なんかを書いている。ただ、ソロ名義もいくつかあるダーレンに比べて、ラニのリーダー作はニュージャージーのインディ・レーベルShanachieからリリースされたコレしかない。
とにかく選曲が素晴らしくて、インプレッションズ(カーティス・メイフィールド)の”Its Alright”、タイロン・デイヴィスの” If I Could Turn Back The Hands Of Time”、ビートルズの”Let It Be”、ビル・ウィザースの”Use Me”、ジェイムス・ブラウンの”It’s A Man’s World”、フォンテラ・バスの”Rescue Me”、ジャクソン・ファイヴの”I’ll Be There”…タイトル曲はサム・クックですね。グイグイ来る生バンドの音も、リリース年にしては80年代っぽさはなく、むしろ60年代に近い普遍性がある。この辺がインディー・レーベルから出たブルーズと同じで、売り気が無くて良い。そして何よりゴスペル仕込みの圧倒的な二人の声が◎。