*[ソウル] Dianne Brooks / Back Stairs Of My Life ( Reprise /1976 )
オリンピック?という不穏な状況ですが。もはや皆の不満も爆発というか、オリンピックという言葉を発した方が負け、というほどの。コーネリアス小山田も厄介な所に足を突っ込んでしまったようだ。ゴシップとかあんまり興味がなかったけれど、あんなことやってたとは知らず、ショックでした。90年代に鬼畜系という露悪趣味のサブカルチャーがあったんですが、その文脈と思われる。現在だとコンプライアンス上、全てアウト。フリッパーズでいうと私はオザケン派だったのだが、2017年久々に新作『Mellow Waves』という素晴らしい作品を聴きまくって改めて彼のファンになった。音楽的には日本では珍しくワールド・スタンダード級ということは音楽ファンならわかっていると思うけれど、そもそも渋谷系全般が日本の和魂洋才的マジョリティにはアレルギー反応があるから、大衆の理解を得るのはそもそも難しかったのかもしれない(西洋の先端的文化に触れられる文化的距離の近さに対する、日本人特有のやっかみではないかと推理している)。結論、だめだこりゃ、ってことになります。闇に紛れて釣りにでも行って音楽を聴くに限る、今年の夏になりそうです。
んで、ダイアン・ブルックスというカナダのジャズ/ソウル・シンガー。ジャズ専門店でソウルやブルーズを掘る(時々フォークもあったりする)というのが大好きなのだけれど、そこで発見した一枚。エミルー・ハリスで当てたブライアン・アーンのプロデュース。同時期にブライアンがプロデュースしたピーター・プリングルの作品にもダイアンは参加している。ダイアンは1939年生まれで、1970年に初めてのアルバム『Some Other Kind Of Soul』をリリース。ドノヴァンの” Season Of The Witch”をカバーしたりしていて、結構レアみたい。その後もう1枚出せたのが本盤、1976年にリプリーズからリリースされた『Back Stairs Of My Life』。面白いと思ったのは選曲とメンバー。楽曲としてはA面だけでも、アルバート・ハモンドの”99 Miles From L.A.”(アート・ガーファンクルも歌っていた)、デイヴ・エリントンの”Kinky Love”、スティーヴィー・ワンダーの”Heaven Is 10 Zillion Light”、イーグルスの”Desperado”、そしてボビー・チャールズの”Small Town Talk”という。で、ミュージシャンがですね、”99 Miles From L.A.”からエイモス・ギャレットとワー・ワー・ワトソン、ウィリアム・D・スミス、ジェイムス・ギャドソン、ウィリー・ウィークスですよ。パキパキのエイモスのギターとグルーヴィーなバッキング、これぞクロスオーバーという感じ。アン・マレーが数曲でボーカル参加しているのは、ダイアンがアンのバックボーカルをやっていたから。他にもバリー・バケット、ロジャー・ホーキンス、デヴィッド・フッドというマッスルショールズ組やワディ・ワクテル、リトル・フィートのビル・ペイン、ファラガー・ブラザーズ(ブライアンがこの後ソロ・デビューさせるロドニー・クロウウェルの曲)、ボニー・レイットが参加。あとは、作者自身が参加したウィリアム・D・スミスの”Saved by the Grace of Your Love”…マイク・フィニガンやサンズ・オブ・チャンプリンの名演もありました。ナイス・プロダクションなフィーメイル・ソウルの好盤!