*[コラム] MAZEはすばらしい
今年も7月に入ってしまい…なんだか早いですね。昨年から有難いことに音楽とはまた別の原稿仕事を各所で頂き、その〆切に追われる毎日でもあり。最後の最後はギックリ腰ならぬギックリ背中というもの(2日立てなくなりました…)を初経験する中で仕上がりました。ちと年取ったなとか色んなことを思って悲しくなりましたが。ここ数日やっとつかの間の余裕ができたような。ちなみにここ半年のレコード探索の旅は、というと、ソウルの落穂拾いを始めております。およそ5作以上出しているような有名どころのアーティストは、とりあえず「ほぼ」全作アナログで集める、という所を目標に。「ほぼ」というのは売れなくなった時期のマイナーレーベルものとかは、すぐには見つからないことが多いから。しかもなるべくレコード屋を足で稼いで回る、という。オークションとかdiscogsとかで探せばあることはあるんですが、店で見つける方が楽しいんですね(笑)魚屋で買うよりも釣った方が楽しいとかありますよね。あるいはそもそも食べることより釣ることの方が楽しいというのもあるから困ったもので(笑)ここ数年で60~70年代ロックはその作業を一通りやって、あまり興味がなかったアーティストも、全部アナログで聴いてみて、やっぱり凄!とぶっ飛んだことが何度もあった。それに大好きなアーティストでも、再び聴き直す機会になるから、いいですね。
MAZEとか、どちらかといえば完成度重視の寡作アーティストだと、アナログで地道に探せばすぐ見つかるから最高。それにしても、フランキー・ビヴァリーを中心とするソウル・バンドMAZE。世界的な人気と比して、なぜ日本ではアース・ウィンド&ファイアーほど売れなかったんだろう。わかりやすいディスコ・ヒットみたいなやつがないとダメなのか。腰を揺らすある種のダンス・ミュージックとしてのストーンズや黒人ブルーズの良さが、どこまで本当に理解されているのか…というのとちょっと似ている。フランキー・ビヴァリーが心酔するマーヴィン・ゲイには結構ファンがいる気もしますが、それもまた不思議。
いやしかしMAZE、まさにアメージングですよ。ソウル・ミュージックの高揚するパワーと前向きなエネルギーが、精神的な部分で染みわたってくる。この多幸感をどう説明すればよいのだろう。長岡秀星の手掛けた迷路(MAZE)をモチーフにしたジャケのインパクトも◎。そういえばシティ・ポップのムーブメントのキーマンは山下達郎なわけですが、そのムーブメントの中でも彼のソウル・ミュージックの音楽的ルーツに遡って聴こうとする向きがそう多くはないのも、なぜだろう。スタジオミュージシャンのクレジット買いみたいなところに注目するファンは多いのだけれど、きっとそれは記号的消費なのではないかと邪推している。そんな当の達郎さん本人は長寿ラジオ番組サンデーソングブックで、彼のファンにはオミトオシなんでしょうけれど、ルーツの種明かし、という名の啓蒙をやり続けてくれている。先週は寺内タケシ追悼、となるといずれ土岐英史追悼となるのだろうか。あぁ土岐さん、rest in peace…