いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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【書評掲載】
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『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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堺正章 / サウンド・ナウ!(Columbia / 1972)

markrock2018-04-14


もはや司会者マチャアキ、という印象しかないかもしれないけれど、元スパイダース、コメディアン堺駿二の息子…と色々枕詞は出てくる。個人的にはボーカリストとしての堺正章に魅力を感じている。高校生の時に観たNHKの公録で代表曲”街の灯り”を歌ってくれて。グッときましたね。もちろんGSオタクでしたんで、スパイダース関連は一通り聴きまくって、ムッシュの次は堺さんのソロを集め出した。


『恋人時代 堺正章フォーク・アルバム』『ひとりぼっちのマチャアキは70年代前半という時代を反映して、日本のフォークのカバーも入っているけれど、堂々と歌い上げる堺さんのシンガーとしての色を活かし、今聴いても実にスタンダードな仕上がり。そして最高傑作とされるのが筒美京平書き下ろしのサウンド・ナウ!』。リアルタイムでは間違いなく売れなかったと思うけれど(LPの数は少ない)、これが90年代以降のフリー・ソウルソフト・ロック再評価のムーブメントの中で掘り返されて。「モータウンサウンドと歌謡曲の結合」とLPの解説にもあるけれど、具体的にはモータウンのプロデューサー・チームだったホランド=ドジャー= ホランドが設立したホットワックスからデビューした女性版ジャクソン・ファイヴ、ハニー・コーンを直接のサウンドの下敷きにしている。”運がよければいいことあるさ”は”The Day I Found Myself”だったり。キラーは”ベイビー、勇気をだして”かな。コレを初めて聴いたときはビビりました。ハニー・コーンの"WANT ADs"もちょっと入っている。

で、このサウンド・ナウ!』のLPは20代の頃にやっとのことで手に入れたものだったけれど…ちょうどその頃私は斜陽になる前のテレビ業界、とある制作会社に勤めておりまして。手がけていた番組のひとつに堺さん司会の、確か『発掘!あるある大事典』があった。で、放送作家のタマゴをやっていた友人にこのレコード聴かせたら、「堺さんってカッコイイじゃん!」ってなりまして。その友人にLPを渡したら、「(番組の)収録のあとサインもらってきたよ〜」となって、そのままLPは友人の持ち物になってしまったのでした。そんな因縁の(?!)LPを最近たまたま見つけて、再び買ってみた。やっぱりいいよね。


ちなみにAOR時代のキザな雰囲気満載の『二十三夜』というベストセレクション、佐藤隆が手がけたタイトル曲に加え、芳野藤丸楽曲、そして大滝詠一”空飛ぶくじら”のレアなカバー(難波弘之[ex.山下達郎]編曲)も収録。


”さらば恋人”の現代版のようなナイアガラ・サウンド風味の”忘れもの”(2008年のシングル)を収録した『時の忘れもの』や、クレイジーケンバンドと共演したマキシシングル『そんなこと言わないで』(2011年)も佳作だった。