*[ロック] AC/DC / Power Up(Columbia / 2020)
先日CSN&Yのことを書いたら、なんと加奈崎芳太郎さんのLCV-FMのラジオDIG IT!の新年一発目の特集もCSN&Yの『Déjà vu』でありまして。なんというシンクロ!加奈崎さんもそのことを書いてくれていたけれど(https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=840060866778953&id=100023251419779)、縁起が良いな~と嬉しくなった次第。
ところで短い正月の隙間時間に、買い貯めていたライブDVDやらブルーレイやらを観まくっていたら、ライブに行きたくて仕方が無くなった。コロナ禍でも行けるライブはそれなりに足を運んでいるのだけれど(どこも感染対策に相当気を遣っているから、混雑電車より安全だと思った)、デカい箱で会場が揺れる密なやつなんかを、何としても再び。友川カズキさんがコロナ禍にあって、(自分は)飛沫歌手だから、とおっしゃっていたけれど、それでしか聴衆が満たされない何かがある。客席を限り、同時並行でオンラインとか、無観客とか、YouTube配信とか…色々な手法で存続するライブだけれど、むしろ家で観れて便利ですと、それだけで満たされる人もいるのだろうけれど、やっぱり一寸違う。万障繰り合わせて、仕事をかなぐり捨てて会場まで走って駆け付け、かぶりつきで音のシャワーに浸る…っていうのがなくなっている今は、狂っちゃうくらい音楽好きな人にとっては結構辛い。パフォーマーやそのスタッフだけではなく、ライブハウスやホール、音響スタッフ、チケット販売、呼び屋、あるいはハコの近くの飲み屋もそうですよね…ライブ音楽の総体としての文化そのものが緊急事態になっている。しかしこの国の政治家のリーダーシップの無さも緊急事態になっていますから、やるせなさ、が、ゆるせなさ、に変わってしまうような所もある。
マルコム・ヤングが認知症公表の後、2017年に亡くなり、ドラマーのフィル・ラッドは殺人教唆で逮捕、ボーカルのブライアン・ジョンソンは聴覚障害でツアーから戦線離脱、クリフ・ウィリアムズは引退表明…ってとうとう歴史は終わったかと思ったAC/DCが昨年末に新作『Power Up』を奇跡のリリース。コロナ禍を励ますがごとく、英米でアルバムチャート1位を記録した。思えばボン・スコットの死からも不死鳥のように蘇ったバンドだったわけで。ブレンダン・オブライエン・プロデュースのスッキリとしたハード・ロック・サウンドは2008年の『Black Ice』、2014年の『Rock or Bust』に続く三部作のような感覚。楽曲はアンガスと故マルコムのクレジットになっているように、アウトテイクを録り直したもの。図抜けた曲がない、と思ったとするならば、それが理由だろう。とはいえ、そもそも個人的にはこのバンド、フリーのボーカルがロバート・プラントになったかのような、(ブライアン時代の)重たいロック・サウンドに魅了されたことが、大好きになるキッカケでもあったから、この金太郎飴ぶりがむしろツボにハマる。アナログ需要を見込んでか、輸入盤アナログにもソニーの日本盤の帯が付いていた。しつこいようだけれど、無性にライブに行きたくなってきた。