いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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[NEW!!]2022年2月24日発売、ビッグ・ボッパー『シャンティリー・レース』、フィル・フィリップス『シー・オブ・ラブ:ベスト・オブ・アーリー・イヤーズ』、チャド・アンド・ジェレミー『遠くの海岸 + キャベツと王様』の3枚のライナーノーツ寄稿しました。
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[NEW!!]2022年12月23日発売、バディ・ホリー・アンド・ザ・クリケッツ 『ザ・バディ・ホリー・ストーリー』(オールデイズレコード)のライナーノーツ寄稿しました。
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古井戸を見た!

*[日本のフォーク・ロック] 古井戸を見た!

 

またしても久々の更新。ここのところ魂の抜け殻のような感じでもあり。何しろここ1年は加奈崎芳太郎『キッス・オブ・ライフ ジャパニーズ・ポップスの50年を囁く』明月堂書店)に関わる制作作業で怒涛の日々だった。この本、先月26日に札幌・共済ホールで行われた加奈崎芳太郎50周年記念コンサートに合わせて世に出すことを目標としていたわけで、とりあえずそれが叶ったことを嬉しく思っている。

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 発売前はアマゾンからも300ほどのオーダーがあり、まずまず順調な滑り出し。9月にはLCV-FM加奈崎芳太郎Digit!」プロデューサーPコバさんの尽力もあり、諏訪で記者会見が。残念ながら仕事の関係で同席できなかったのだけれど、毎日新聞信濃市民新聞に記事を載せていただけた。毎日の方は全国区でヤフーニュースなどにも出たから、多くの人の目に情報を届けることができたと思う。そして発売後は各所から反響が届き、ひとまずホッと胸を撫で下ろしている。私の尊敬する音楽評論家の小川真一さん、よしだたくろう・古井戸・泉谷しげるをはじめとしたエレックレコードのプロデューサー/ディレクターとして知られる伊藤明夫さん(広島フォーク村初代村長)、ギタリストの安田裕美さん、私が20年前に一緒に対バンライブをやらせて頂いたサスケの大垣カツさん、そして古井戸2000のギタリスト橋本はじめさんからも嬉しいご感想を頂けて…本当に感謝感激。

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 それにしてもチャボ(仲井戸麗市)さん、新バンドの今池アクシデンツ、札幌在住のジャズ・ピアニスト豊口健さんを交えた50周年・札幌ライブは凄かった!2015年の古井戸再会ライブは東京&諏訪の開催だったから、チャボさんと加奈崎さんの二人きりの古井戸のステージを楽しみにしていた北海道ファンの熱気を客席にビリビリ感じまくる。もちろん全国からもファンが詰め掛けていた。そのステージは、加奈崎さんの古井戸以来のキャリアを丁寧に辿りつつ、その音楽性の幅広さを全て魅せてくれたように思う。物販も大大盛況で、サイン会も長蛇の列。加奈崎さんが味わってほしいとおっしゃっていた、対面手売りの有難みや嬉しさを思い知った。これこそが、伊藤明夫さんがレコード50枚背負ってレコード屋を回ったというエレックイズムなのか!と。

 

 

どのシーンも忘れられないけれど、ステージを楽しんでいることが伝わった冒頭今池アクシデンツのロッキンなステージ(お別れの時のアクシデンツ・ヴァージョンを再び聴けた!)、ステージの空気を一瞬で変えてしまった豊口健さんとのPiano-Forte(ピアノ・フォルテ)』2009年に加奈崎さんが中西康晴さんと作ったピアノ・アルバム)モードなセッションにおけるさらば東京の名演は心に残った。そして、チャボさんとの古井戸は4年前の再会ライブよりもさらにリラックスした演奏で、会場が途端に一つになったことがステージの一番後ろからでもわかった。客席のリクエストに応えてチャボさんがインスタントラーメンのさわりを演ったり、四季の詩でチャボさんが歌うのを忘れて演り直したり、そしてなんとチャボさんが加奈崎さんのために作った新曲遠いシャララまでもが披露されたり!全ての古井戸にまつわる浮き沈みの物語がこの必然にたどり着いたことを思うと…サビをあえて言葉でなく「シャララ」に託したチャボさんのメッセージは、個人的な感想だけれど、グラス・ルーツの「シャーラーララララ リヴ・フォー・トゥデイ」…そう、つまり「今を生きよう」というメッセージだと受け止めた。加奈崎さんもそれをしかと受け止めて歌っているように思えたのだった。そしてまさかのアンコールでは'ポスターカラー'に'何とかなれ'…その日はスタッフ打ち上げからの、豊口健さんのお店でジャズ・ライブを堪能しつつ、3次会でも全国の加奈崎さんファンの熱いトークに話は尽きず…札幌の夜は更けていったのでした。