*[日本のフォーク・ロック] 茂忠(しげちゅう/小坂忠・鈴木茂)/ まだ夢の途中(Columbia / 2020)
コロナの自粛期間中でしたか、フォローしている小坂忠さんのツイッターでこのリリースを知りまして。オンライン注文限定のCDシングルでサイン付という。しかし!気が付いた時が〆切日の日付をちょうど回った所で(笑)…とはいえ聴いてみたい一心でクリスチャンレーベルのミクタムにひとまず注文しますと、アガペーの愛ですね…すぐにサイン付で送って頂けました。ただただ感謝。
いま闘病中のセンチメンタル・シティ・ロマンスの中野督夫さん、そして鈴木茂さんとの還暦トリオのステージで拝見したときから、新曲を聴いてみたいと思っていた。忠さんも大病をされて復帰されたところ。年を重ね、時代はこんなに変わってしまったけれど、理想主義の火を消してはいけない、まだ夢の途中…という忠さんのメッセージが胸に残った。決して明るいムードの曲調ではないのだけれど。2006年に出た『まだ夢の続き』という自伝のタイトルとも地続きなのだと思う。この本における感動的なエピソード(クリスチャンになったきっかけ)にも揺さぶられてしまっていて、今秋に明月堂書店より刊行予定の『哲学するタネ―西洋思想編①』の中でも取り上げさせて頂いた。バンドは小坂忠、鈴木茂、小原礼、Dr.KyOn、西海孝という安定の布陣。NHKラジオ深夜便の今年2~3月「深夜便のうた」に選ばれている。
そういえば、4月に2001年のポピュラー復帰作・細野晴臣プロデュースの大名盤『People』がクリア・ヴァイナルでリイシューされた(バーニー・グランドマンによるカッティング)。アナログで聴く『People』も文句ナシでした。新たなインタビューも封入。忠さんの円熟のボーカルに聴けるコク、旨味を堪能するとともに、細野さんの時代を超えた音選びがいかに優れているか、ということも思い知らされた。