いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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Graham Nash / Over The Years… ( Atlantic/Rhino / 2018 )

markrock2018-08-04


なぜこのタイミングになったのか、と思ったけれど、グレアム・ナッシュがホリーズを脱退した1968年から今年で50年だった!まさに長きに亘る”Over The Years”なキャリアを総括した2枚組ベスト盤。しかし既に2009年、Atlantic/Rhinoから未発表テイク・ミックス・曲を含む3枚組の決定的アンソロジーホリーズ時代含む)が出ていた(『Reflections』)。


今回の2枚組は、そのアンソロジーからは除かれていた(別で出すつもりだったのだろう)CSN・ソロ初期・クロスビー&ナッシュ時代(1968〜80年)のデモを収めたDisc Two「THE DEMOS」(3曲除く12曲が初出)が目玉になっている。とはいえ、基本的にはホリーズ以降のキャリアを総括するナッシュ曲のベストDisc One「The Songs」を楽しみたい。何といっても曲がキャッチーで良い。CSNで一番初めに好きになったのはナッシュだったりする(そこからスティルスに行き、最後はクロスビーに行った)。ジェリー・ガルシアのペダルスティールが印象的な”I Used To Be A King ”は、オリジナルのグリン・ジョンズ・ミックスでも、『Reflections』収録のナサニエル・カンケルの2002年ミックスでもない、1971年にナッシュとラリー・コックスによる生のままのミックスを採用するという微妙なこだわりも(もう1曲"Better Days"が未発表ミックス)。リタ・クーリッジらのソウルフルなコーラス隊を強調させるミックスのテイクもあって、なにやら今っぽい。音の粒を揃えていて、ラスト2016年(録音は2014年)の”Myself At last”まで通して聴いて全く違和感がない。80年代のシンセ多用のトラックを意識的に取り除いているからかも(本人も余り気に入っていない??)。

そしてDisc Two「THE DEMOS」はホリーズで拒否された”Marrakesh Express”のロンドンのアパートメントでのラフなデモからスタート。このデモの出来にガッカリしている人もいるようだけれど、そもそも一般的にデモには色んな種類がある。自宅のテレコで録ったようなラフな弾き語り(詩も出来ていないような)に始まり、スタジオで録音前に仕上がりを確かめる(あるいは参加ミュージシャンを吟味する)、それなりにカチっとしたデモもある。これは前者。ワタシはむしろこういうのが聴きたかった。かつて聴きまくったCSNの4枚組ボックスが初出の未発表曲”Horses Through A Rainstorm”(テリー・リードとの共作)もロンドンでの弾き語りヴァージョンで。”Teach Your Children”やOur House”もあるけれど、ビートルズ・アンソロジーというよりはジョン・レノン・アンソロジーような仕上がりかと。”Pre-Road Downs”は結構いい(よーく聴くとクリック音が聴こえる)。”個人的に嬉しかったのは、ドラッグでデヴィッド・クロスビーが機能しなかった時代の”Wasted On The Way”のギター弾き語りデモ。ここでは、CSNのオリジナルにも参加しているポコ〜イーグルスのティモシー・B・シュミットが参加した、ティモシー、スティルス&ナッシュの3声ハモが楽しめる。最高!