いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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The Rides(Stephen Stills Kenny Wayne Shepherd Barry Goldberg)

markrock2013-09-17

/ Can’t Get Enough ( 429Records / 2013 )

ティーヴン・スティルスの新バンド、ライズの作品がリリースされた。リリース前から既に429RECORDSのサイトで全曲視聴できたが現物が届いた(手元にあるのは10曲入りだが、CD+DVDで3曲追加のデラックス・エディションもあるようだ)。バンドのメンバーがまた凄くて、シカゴ・ホワイト・ブルーズ並びにスワンプ界で名を轟かせたキーボーディスト、バリー・ゴールドバーグ(マイク・ブルームフィールドと組んだエレクトリック・フラッグ、そしてボブ・ディランもプロデュースで参加した1974年の『Barry Goldberg』、さらにジェリー・ゴフィンと共作した名曲”It’s Not The Spotlight”でも有名)に、1995年に18歳で早熟なデビューを果たした若手ブルーズ・ギタリスト、ケニー・ウェイン・シェパード(現在36歳)の3人。スティルスとしては、同世代で盤石のバリーに、若手のケニーを加えることで、近年も再結成でツアーを演っているCSN(&Y)とはまた違ったブルーズ・ロックのドライヴ感みたいなものを求めたのではなかろうか。そうそう、バッファロー・スプリングフィールド解散後にマイク・ブルームフィールドの代役でスティルスが参加した、アル・クーパーとの『SUPER SESSION』(1968)にも、マイクのトラックでバリーが参加していたのだった。そんな意味では現代のスーパー・セッション(インプロヴァイゼーションはあまりないけど)といっても良いのかもしれない。


さて三人の強力な共作ブルーズ・ロック”Roadhouse”からスタートする本作。聴いてみるとかなりスティルス色が強くって。スティルスって人は、ヤングともぶつかったのがよく判るほど、我の強い人。ライバルが居ると「オマエは目立たせねえぞ」ってな感じで弾きまくり、歌いまくる人だから。ただ今回はそれが割と良い感じの刺激になっているように思える。ギター・テクニックではどう考えても上(とはいえスティルスの手癖丸出しのソロ、むちゃむちゃ愛してるんですが)であろうケニーと一緒だとさほどぶつかることもないのだろう。ただ、ケニーは大御所を前に一歩引いていて、自分の色を出せなかった感はありあり。もうちょっと3人のプレイが火花を散らす瞬間があっても良かった気がする。数少ないケニーが前に出たトラックではスティルスの存在感はほぼない感じだし。


しかしバリーって人は奥ゆかしい。全体的にあまり前に出ていない。クレジットを見ると、楽器のエンドースメント契約もバリーだけはないみたいだし。まあ60〜70年代の大活躍からすると、以後は自分の歩調で、地道に活動してきた人だから。スティルスがまた表舞台に引っ張り出した、みたいな側面もあるのだろう。


新曲の出来もなかなかだったけれど、気になるカバーもある。イギー&ザ・ストゥージズの”Search And Destroy”はケニーが前に出て。スティルスも好きそうな曲。マディ・ウォーターズの”Honey Bee”やエルモア・ジェイムスの”Talk To Me Baby”といったブルーズ定番も激渋だったが、こちらはバリーの十八番でしょう。そして極めつけはニール・ヤングの”Rockin’ In The Free World”。スティルスはいつか歌いたかったんだろうなぁ、この曲を。かつての『Illegal Stills』収録の”The Loner”なんかもそんなカバーだったんだと思う。ニールのカバーやる以上は、本家よりもっとカッコ良くキメてやろうってな。


ラストはスティルスの”Word Game”のロックな再演。なかなか痛快な作だった!


そうそう、ここいらで最近のCSN関係のリリースを取り上げておく。まず今年はCS&Nの名作4枚組ボックス『CSN』の再発、昔ブートレッグで出ていたクロスビー・ナッシュ&ヤング(スティルス不在)のライブ盤『The San Francisco Broadcast』(最近よくある半ブートみたいな盤だが)、そして、クロスビー版とナッシュ版は既にリリースされていたライノの3枚組ソロ・ベストのスティーヴン・スティルス『Carry On』(これはまた別途レビューしたい)がやっとリリースされたり。

昨年はというと、2012年の最新ツアーの模様を収めたDVDとCDがセットになった『CSN 2012』、さらに若手SSW中心のCSN&Yの2枚組トリビュート盤『MUSIC IS LOVE :A SINGER-SONGWRITERS' TRIBUTE TO THE MUSIC OF CROSBY, STILLS, NASH & YOUNG』も出た。このトリビュート盤、スティルスの娘ジェニファー・スティルスが歌う”Love The One You’re With”とか、青い眼のジュディことジュディ・コリンズの”Helplessly Hoping”、エリオット・マーフィーの”Birds”、カーラ・ボノフ、ジョン・コーワン(ニュー・グラス・リヴァイヴァル)、ミエテク・シジナック&ウェンディ・ウォルドマンによる”Guinnevere”など気になるトラックも。



さらに2011年にはクロスビー&ナッシュのツアーを収めたDVD『In Concert』が出ていた。そうそう、ノラ・ジョーンズカーリー・サイモンヴァシュティ・バニヤンベン・ハーパー、ボブ・ウェア、ベン・テイラー(ジェイムス・テイラーの息子)、デヴェンドラ・バンハート、ジュディ・コリンズ、ボニー・ブラムレット、ニック・ジョーンズ、ヴィンセント・ギャロポール・ブレイディ、マーティン・カーシーといったとんでもないメンツが新録でフォークを歌った『WRETCHES & JABBERERS』のサントラ(J.ラルフのプロデュース)でもスティーヴン・スティルスが” Low Barefoot Tolerance”を演っていた。CDも出ているが、CDそのものも同封された2枚組アナログで個人的には入手してみた。余り話題にならなかったけれど、近年では出色の盤だった。


http://www.429records.com/sites/429records/429details/d_therides.asp