先日告知いたしました、不肖私がパーソナリティを務める明月堂書店プレゼンツ、極北ラジオの新番組「石浦昌之の哲学するタネ」ですが、リアルタイムで300人を超える方にお聞き頂くことができました。お便りも沢山頂き、本当にありがたい限りです…弾き語りコーナーも交えつつ、哲学のイントロダクションから始めたところです。私が今まで拘ってきたフォーク・ミュージックと哲学はカナリ親和性が高いと思うのですが、いかがでしたでしょうか?!アーカイブ+テキストは下記のリンクからも確認できます。
http://meigetu.net/?p=6311
(第2回は11月10日(金)24:00配信開始です!)
さて、本日は仲井戸麗市・チャボさんのセルフカバー・45回転シングル盤「雨あがりの夜空に」を!HMVレコード・ショップが関わったシングル盤だけれど、私は芽瑠璃堂さんで予約して購入。オリジナルのジャケット・デザインを流用。うーん、感無量といいますか、最大限のキヨシロー・レスペクトを感じる、ライブ感溢れる、それでいてオリジナルに忠実なカバー。チャボさんはライブで聴く以上にキヨシローの歌い回しを結構再現している箇所もあり、泣けてくる。無限リピートしてます。結構何度も針を落とすのは大変だけど、それがまた久々で、いい。そういえば今年6月、キヨシローと交流のあったワタナベイビー&小宮山雄飛のホフ・ディランもチャボさんをゲストに加えて「雨あがり〜」をレコーディングし、45回転シングル盤でリリースしていた。それもとても良かったけれど、マサカの真打登場という感じで。
ディレクターの求めで直した歌詞「ジンライムのようなお月様」(「お月サマー!!」と絶叫するチャボさん最高…)とオリジナルの歌詞「早く来いよと俺達を呼んでる」…どちらも歌われているのも感慨深い。私が生まれた数か月後、1980年1月のリリースですから、37年ぶりのカバーということになる。このシングル盤はチャボさん67歳(もうそんな御歳に!)の誕生日を祝した10月の野音ライブで早速売られたようだ。
「雨あがり〜」は古井戸にケリをつける解散ライブを承諾したチャボさんが、RCサクセションでブレイクするキッカケにもなった曲。モット・ザ・フープルなんて今さら持ち出すべくも無く、もはや日本のロック・クラシックですよね。1980年というのがフォークとロックの分水嶺。フォークのチャボさんがロックのビートを得ることができた、というのは、今にして思えばなんてことないのかもしれないけれど、革命的なことだった。私は1979年生まれだから、まだフォークの域を出られないのかも(笑)。「下ネタ」などと野暮なことを言う人がいるけれど、ブルーズの性的隠喩伝統をちゃんと咀嚼できていた日本のロックは多いようで少なかったことを思い出してみる必要があります。今回も鉄壁のチャボ・バンドのメンバー+梅津和時&片山広明という付け入る隙のない布陣。ちょっともたったようなキースばりのストローク・リフにバンドがついて来るスリリングさといったら…ゴキゲンすぎるロック・サウンド!B面はインスト(カラオケ)なんですが、コーラスにチャボさんの声も聞こえますし、セーノのライブ感があるようで、緻密に録られているのかな(当たり前か)。Dr.Kyonのロールするピアノもいいです。
忌野清志郎というと、チャボのかつての相棒・古井戸の加奈崎芳太郎との対バンライブの打ち上げで握手してもらった…というのが今思えば私の信じられない思い出。あの時は清志郎さんも加奈崎さんも、隣同士でずっと談笑していた。1995年、竹中直人主演の映画『119』のサントラも彼ら二人で作ったのだった。何だか色んなことを思い出しつつ、「雨あがり〜」を聴いている。