とうとう出ました。スティーヴン・スティルスとかつての恋人「青い眼のジュディ」ことジュディ・コリンズとの共演盤、Stills & Collinsの『Everybody Knows』(https://www.stephenstillsjudycollins.com/)。驚くほど素晴らしい出来でした。初期スティルスを思わせるフォーキーでシックスティーズな音が詰まっている。近年は歳のせいか粗さも目立ったスティルスだけれど、グラミーへのノミネートなど円熟の極みを迎えているジュディの滑らかな美声とミックスされて、悪いわけが無い。
私はPledge Musicで購入。このPledge Music(https://www.pledgemusic.com/)、いわゆるクラウド・ファウンディングの手法で、発売前から購入希望者を募り、数が集まったら配送するというスタイル。アメリカやイギリスなんかではLPはともかくCDはほとんど売れませんから、サイン入やグッズ、ダウンロード・コードをバンドルする形でフィジカルなブツを売るんですね。Pledge Musicはここのところベテランだとマイケル・マクドナルド、マーク・コーン、ボブ・ディラン、クリス・クリストファーソン、チープ・トリック、日本のエックス・ジャパン、ルシンダ・ウィリアムス、シャナイア・トウェイン、ブラック・サバス、ヤードバーズ…なんかが参入。ヤードバーズなんかはステージでの共演権、ホーム・コンサート権なんかも売っている。15万以上しますが…
私は送料のこともあるのでLPはやめてサイン入CDにしたけれど(ちなみに通常版はアマゾンなどでも普通に買えます)、余りに完成度が高かったので、LPにすればよかったな、と激しく後悔。楽曲は新曲で構成されているわけではなく、二人にちなんだ旧曲やフォーク・クラシックで構成。別々のキャリアを歩んだ二人が急に共演しよう、と言いましてもムズカシイでしょうから、これがやりやすかったんだと思う。1曲目がトラベリング・ウィルベリーズの”Handle With Care”だったのが、何だかトム・ペティ・トリビュートのようで、タイムリーに聴こえてしまって。この1曲はミーハーにスティルスが演りたかったんだろうな。どうせならウィルベリーズに入れて欲しかった、くらい当時思ってたんじゃないかと。想像だけれど。
他にはCSN時代からの楽曲でマナサスでレコーディングされた”So Begins The Task”(スティルスとジュディの別れの歌…)、レナード・コーエンの”Everybody Knows”、ティム・ハーディンの”Reason To Believe“、スティルスがライブで取り上げていたボブ・ディランの”Girl From The North Country”、そしてスティルスが参加した1968年のジュディ・コリンズのアルバム(このアルバムのプロデューサー、故デビッド・アンダーレに本盤は捧げられている)のタイトル曲でもあったサンディ・デニーの”Who Knows Where The Time Goes”。そのコリンズの『Who Knows Where The Time Goes』にもレナード・コーエンやディランが取り上げられていたことからすると、共演第2弾、という位置づけなのかな。さらに、ジュディのオリジナル新曲”River Of Gold”も見事な出来だった。
そして、グッときたのはスティルスの未発表デモ集『Just Roll Tape: April 26th 1968』に入っていた”Judy”。なんだかバッファローとCSNの狭間の、あの時代のスティルスに戻ったようで。さらにはバッファロー・スプリングフィールド時代の”Questions”まで演っちゃうんだから。CSN&Yでは”Carry On”とメドレーで料理されていました。
ジャケの雰囲気は”Who Knows Where The Time Goes”に引きずられてかブリティッシュ・トラッド風でもあり。全曲視聴はコリンズのsoundcloudにて可能!スティルスが唄とエレキだけでアコギはなしだったのがちょっと残念だったけれど、近年の傾向を見る限り致し方なし。2人のツアーもあるようなので、観て見たいなぁ。なんとCSNのステージでは高音がキツイためオミットされている"Suite: Judy Blue Eyes(青い眼のジュディ)"も二人で演っているみたい。
https://soundcloud.com/judy-collins-music/sets/everybody-knows-stills-collins