いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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9月の雨の日に

markrock2016-09-26




先日下北フラッシュ詣を久々に。雨が続いたりと嫌な季節だけれど、夢のような空間でしばし時を忘れてレコードに集中する。

今日の感動の1枚はやっぱりビートルズ『Help』、イエロー・パーロフォンのUK mono初回盤!51年前のレコードなのに、キズ盤とはいえ野口さん2枚というのはフラッシュならではだと思いました!そもそも以前フラッシュで手に入れたUSオリジナルの『Meet The BeatlesやUKのステレオ再発盤『A Hard Day’s Night』が、US および UK プレスのビートルズに改めて目覚めたキッカケだった。UK盤、US盤、モノ、ステレオ、さらにはマトリクスに着目して…と集め始めればキリがないけれど、フラッシュ椿さんのコメント「Plays good!!」が私にとっての指標になっている。

あとはジミー・ウェッブ・プロデュースのテルマ・ヒューストン『Sunshower』ダンヒル盤も買い直してしまった。コレ、レコードの方はモータウンからの再発盤しか持っていなかった。CDはボーナス・トラック入りの輸入盤も出ている。ジャケットも含めてトータルで完成されている盤。レッキングクルーの躍動感もココに極まれり、という。それにしてもこの時代のダンヒルものはやはり素晴らしい。一時期リチャード・ハリスとか好きすぎて何枚もダブって集めていたこともあったけれど、しばらく前に1枚を残して処分してしまった。

ええと、あとはメリリー・ラッシュのベル盤『Angel of the morning』を均一盤で発見。大好きな盤で嬉しかった!チップス・モーマン、マーク・ジェイムス、ゴーゴニ・マーティン&テイラーとか漁っていた時期に出会った盤だけれど、なぜかLPを持っていなかった。70年代の再演盤はもっていた気がするけれど…椿さんから、80年代にチップ・テイラー作の表題曲”Angel of the morning”をリヴァイヴァルさせたのは誰でしたっけという話になって、メアリー・マクレガーでしたっけ、いや違うな〜…なんていうことで、ずっと帰り道考えていたら、ジュース・ニュートンだった!と思い出せて感動してしまった。検索すればいいんでしょうけど、それもつまらないな、と思って朧気な記憶を辿って…カントリー系だけど、ポップ・ロック的なフィールドだったような…とかいう感じで思い出して。

あと残りは300棚でニール・ダイアモンドの『Love at the Greek』を。グリーク・シアターでのライブ盤でロビー・ロバートソンのプロデュース。大好きなニール・ダイアモンドなのにこの盤だけはなぜかスルーしていた。ベタな例で悪いけれど、日本の全盛期のアリスのやたら多いライブ盤みたいなイメージで、スルーしていたような。改めて通しで大音量で聴いてみて…死ぬほど良い!近作に至まで、これほどハズレのない人はいないと思う。そして、なぜ人気があったのか、は聴けば判るという。

あとはニュー・ライダース・オブ・パープル・セイジの『Brujo』。1974年のオリジナル盤だった。この頃はジョン・ドーソンと共にスキップ・バッティンがリードしていて。スキップ曲はキム・フォウリーとの共作で。これぞカントリー・ロック、というか、カントリーというにはイカレた感じでボーカルが最高。

あとはジャズ・ボーカルものでも集めているフランキー・レインの『Hell Bent For Leather!』はイギリス盤のペラジャケで。ローハイドやハイヌーンなんかが入っているカントリー作。初めて買ったのは60年代の日本盤だけれど、そちらもペラジャケだった。ジャズど真ん中のボーカル盤もとても上手いけれど、映画ブルースブラザーズでもコミカルにカバーされた”Rawhide”が笑っちゃうくらい良い。


そして最後はジョン・レノン没後1982年にリリースされた名ベスト盤『The John Lennon Collection』。これもUK盤と思われるブラック・パーロフォン・レーベルで。これは感慨深かった。そもそもジョンに初めて触れたのがこのベスト盤だったから。私の世代ぐらいまでは「レコードは高い」からゆえの、音源への飢餓感があった。私の兄が学校の先生に紹介され、コピーして貰ったカセットテープでこのベスト盤を聴いていたのだった。それを有り難く、何度聴いたか判らないくらい。レコードも、今聴くと決して音も良くはないんだけれど(キャリアを通じた音を同じレベルで並べるのは、この時代の技術では難しかったと思う)、何かタイムマシーンみたいな感じもして。ジャケの内側にウールワースのシールが貼ってあって、1982年12月16日なんて書いてあるから、オーストラリアかニュージーランドで誰かが当時買ったものかな?

"Happy Xmas"冒頭の「ハッピー・クリスマス・キョーコ」「ハッピー・クリスマス・ジュリアン」とジョン&ヨーコの前夫・前妻の子どもに囁きかけるシーンも、何か言ってるぞ、とかいう話になって、音の悪いカセットテープの音量を上げてですね、スピーカーに耳を近づけて聴いたという。まあ聴こえるわけないですよね(笑)。



しかし聴いていると心の中がヒリヒリしてくるのは何だろう。変な話だけれど、人間は大分遠いところまで来てしまったようにも思える。儒教でいうところの、分をわきまえなければいけないな、と申しますか。日本の伝統が大好きな人たちに限って中国思想である儒教が好き、というのは日本のねじれの一つだけれど、そんな人たちが経済発展が大好き、というのもまた分をわきまえていないな、と思うことがある。これもねじれの一つなのかもしれない。あの時ぼくがぼくの兄と一緒にスピーカーの奥から聴こうとしていたものは何だったのだろうか。

頬がこけた写真を見ているとジョンも亡くなる直前は結構なおじさんになっていたのだなと思う。とはいえこのジョンも、もし今生きていたら、戦争に賛成していたかもしれないし、その辺りは人間だからわからない。ぼくは40歳になっても、ベッドでギターを弾いていられるかな?