いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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Larry Weiss / Black & Blue Suite ( 20TH CENTURY / 1974 )

markrock2016-08-14




グレン・キャンベル最大のヒット曲といえば”By The Time I Get To Phoenix(恋はフェニックス)”…ではなくて”Rhinestone Cowboy(ラインストーン・カウボーイ)”!恋はフェニックスは初めての大きなヒットとは言え最高24位、と曲は抜群に良いのだけれど…チャート・アクション的にはそこまででもない。それに対してラインストーン・カウボーイは1975年に初めての1位、23週ランクインされている。1970年代に入って落ち目だったグレンにとって、起死回生の1曲となった。

さて、作者はというとニュー・ジャージー出身のSSW、ラリー・ワイス。実はラリーの自演の方が先にシングルを切っていて、1974年のアダルト・コンテンポラリー・チャートで24位を記録している。これをグレンが気に入ってレコーディングした、というわけ。グレン版のランバート&ポッターのアレンジはラリー版に倣っている印象だ。



さて、このラリー・ワイスだが実はソングライターとしてはなかなかのキャリアの持ち主。あのバブルガム風味のポップ作品を量産したウェス・ファレルの元でソングライターとしての腕を磨いた。1963年にナット・キング・コールに” Mr. Wishing Well”を書いたのを皮切りにチャック・ジャクソンやシュレルズに曲を書き下ろし、その後も作詞家のスコット・イングリッシュ(後にリチャード・カーとのコンビでバリー・マニロウに"Mandy"を書いている)とのコンビでアメリカン・ブリードやエイメン・コーナーが取り上げた”Bend Me, Shape Me”、ジェフ・ベックの”Hi Ho Silver Lining”などがヒットする。ブリル・ビルディングのライターとしては相当な提供曲数だ(リストは→http://rhinestonecowboy.com/?page_id=6)。スプーキー・トゥースの”Evil Woman”もそうですね。

その後ロスに移住してリリースした、ソングライターのショウケースの様な『Black & Blue Suite』からは、前述の”Rhinestone Cowboy(ラインストーン・カウボーイ)”や、グレン・キャンベルと共にバリー・マニロウが取り上げた”Lay Me Down(Roll Me Out To Sea)”のようなスタンダードの雰囲気を持つ名曲が生まれている。”Sheldon”なんてのも、全盛期の歌謡曲みたいな音だし。土臭くも都会的な”She’s Everything She Doesn’t Want To Be”は苦み走ったAORみたいな風情で。ブロードウェイやブリル・ビルディングの伝統を感じさせる”Lead Me On”や明らかにレオン・ラッセルの”Song For You”にインスパイアされた”Anytime Babe”もある。それにしてもかなり間口の広いソングライターだと感じられる。ソウルフルな”Evil Woman”の自演も収録。バックはリー・スクラー、リック・マロッタ、ヒュー・マックラケン、ジミー・ハスケル、ジェイムス・ヘンドリクス、ジム・ケルトナー、ディーン・パークスといった腕利きが参加。冒頭の”Rhinestone Cowboy(ラインストーン・カウボーイ)”の凄まじい完成度を聴くと…当時のギョーカイ人は金の匂いを感じたんだろうな…と想像する。ナッシュビルに遷り、ソングライターとして活動する中で2008年には34年ぶりの2枚目となるオリジナル・アルバム『CUTS & SCRATCHES』をリリース。エリック・バードン&ジ・アニマルズがヒットさせた”Help Me Girl”のセルフカバーを含んでいる。

http://rhinestonecowboy.com/