*[SSW] Buzz Rabin / Cross Country Cowboy (Elektra / 1974)
リンゴ・スターのカントリー好きは有名だけれど、それというのも、ロカビリーの中にふんだんに含まれているカントリー/ヒルビリー成分に感化されていたということだろう。リンゴ同様、カール・パーキンスをレスペクトしていたジョージ・ハリスンだって同じだった。とはいえ、ビートルズ解散後のある種の全盛期(1970年)にナッシュビル録音のカントリー・アルバムをリリースしたというのは結構挑戦だと思うし、道楽性があったのかもしれない。そのアルバム『Beaucoups of Blues』のタイトル曲を作ったのがこのバズ・レビンという人。ルイジアナ生まれのロデオ・ライダーでDJ、そしてヒット・ソングライターだと紹介されている。その”Beaucoups of Blues”のセルフカバーを含む本作はエレクトラからリリースされた彼の唯一作。リンゴのアルバム・タイトル曲を提供したことは彼にとって嬉しいことだったはず。プロデュースはリンゴ同様、ピート・ドレイク。クレジットを眺めるとウォッシュ・ボード(スクラブ・ボード)にリンダ・ハーグローヴの名が見える。音はむちゃくちゃ鄙びている。ブルーグラスっぽいのもあったり。ジム・エド・ブラウンに提供した”Man And Wife Time”もある。タイトル曲の"Cross Country Cowboy "のイントロは"Mr.Bojangles"を髣髴とさせて。ウィスキーと葉巻を手に持つ酒場のバズはヒッピー世代のカントリー・ミュージシャンとしてかなりリアルな姿だったんじゃないだろうか。