*[SSW] Dan Penn / Living On Mercy(Last Music / 2020)
ダン・ペンのなんと26年ぶり新作『Living On Mercy』、こちらもLPで購入。例のデモ・シリーズを思わせるジャケは携帯の写真を引き延ばしたような代物なんだけれど(例)、全13曲の中身は最高。ウェイン・カーソンとの共作のタイトル曲から、思わずリラックスした気分になってくる。慈悲の中に生きている…クリスチャニティを唄ったカントリー・ソウルだ。他にもゲイリー・ニコルソンやバズ・ケイソン、アーニー&アールのケイト兄弟など、カントリー~スワンプ好きにはお馴染みの面子との間違いない共作を収録。レコーディングは6曲が2019年4月のナッシュビル録音、7曲が2020年2月のアラバマ・マッスルショールズ録音。全編アメリカン・ミュージックの豊饒さに悶絶してしまう。それにしてもニュージーランドの友人に教えてもらって、最近聴いているジェイソン・イズベルとか、ビッグ・シーフ(エイドリアン・レンカー)、スターギル・シンプソンみたいな現行アメリカーナを聴いていると、ギター一本で勝負できるド級のミュージシャンが今もちゃんと育っていることに恐れ入る。比べて日本の音楽番組を見ていると、ジャニーズに代表される音楽なのか何なのかよくわからないものばかりで、60~70年代日本にはアメリカに憧れた時代が確かにあったわけだけれど、フォークにしてもロックにしても、それが真の意味で文化として定着することは残念ながら、なかったのだと思う。ジャニーズももはや、ジャニーさんが憧れたアメリカとは違う文脈に置かれてしまったということか。ダン・ペンがジャニーズを聴くことも、ジャニーズがダン・ペンを聴くことも、よもやないだろう。