いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

f:id:markrock:20190212213710j:image
いしうらまさゆき へのお便り、ライブ・原稿のご依頼等はこちらへ↓
markfolky@yahoo.co.jp

[NEW!!]2022年2月24日発売、ビッグ・ボッパー『シャンティリー・レース』、フィル・フィリップス『シー・オブ・ラブ:ベスト・オブ・アーリー・イヤーズ』、チャド・アンド・ジェレミー『遠くの海岸 + キャベツと王様』の3枚のライナーノーツ寄稿しました。
購入はココをクリック
f:id:markrock:20230129183945j:image
[NEW!!]2022年12月23日発売、バディ・ホリー・アンド・ザ・クリケッツ 『ザ・バディ・ホリー・ストーリー』(オールデイズレコード)のライナーノーツ寄稿しました。
購入はココをクリック
f:id:markrock:20221230235618j:image

Dan Penn

markrock2012-11-12

/ The Fame Recordings ( ace / 2012 )


ダン・ペンのフェイム録音集。買って二度ほど聴いてそのままになっていたけれど、改めて聴いてみるとやっぱり良かった。黒と白の間にいた歌手に昔から興味があるけれど、このダン・ペンなんてたまたま白人に生まれただけで、明らかにソウル・フィールを持っていたんだと確信した。"Skin"なんて曲もあったけれど。


驚くのは24曲中、1965年のシングル"Take Me (Just As I Am)"を除いて未発表テイクである、ということ。こんな音源がまだまだ埋もれているとは。殆どがスプーナ・オールダムとの共作。ただ、いわゆるデモのような試行錯誤的なテイクでもあるから、同時代的なサウンドに色目を使っていることに驚かされる。何しろ、スプーナ・オールダムとのデュオ・ライヴ・レコーディングで初めてダン・ペンに触れたっていう遅れたファンなもので。バリバリ南部のサザン・ソウルばかりを手がけてきたような印象があったけれど、それは単に1970年前後にたどり着いた場所であっただけのようだ。モータウン調だったり、ノーザン・ソウルのテイストだったり、バリー・マン作でアニマルズでヒットした"We Gotta Get Outta This Place"にソックリな曲(これはダンとマーリーン・グリーンの共作)や"My Girl"そのものみたいな曲もあったし。


まあ、なんといってもドニー・フリッツとの共作"Rainbow Road"に"The Puppet(I'm Your Puppet)"、"It Tears Me Up"という代表曲の往時のダン・ペン・ヴァージョンが聴き物かな。"Rainbow Road"はドニーの自演やアーサー・アレキサンダーの噛みしめるようなヴァージョンが印象的だけれど、ここではドリフターズの"Up On The Roof"みたいなアレンジでありまして。"It Tears Me Up"は予想を裏切らない仕上がりで、ベタだけれどイチバン良かった。これだけ聴くと、ダン・ペンの断片…と吐き捨てるほどのデモ集ではないかな。


ちなみにディスク・ユニオン・オリジナル特典で下記のバカでかいポスターが付いてきたけど、このヴィジュアルで誰が飾るんだろう、という珍品!