いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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Doris Troy / Just One Look (1963)

markrock2013-02-23

VA / Apollo Saturday Night (1964)
Darrell Banks / Darrell Banks Is Here (1967)
Howard Tate / Same (1972)
Johnnie Taylor / Wanted: One Soul Singer (1967)
The Sweet Inspirations / What The World Needs Now Is Love (1968)


アトランティックの再発R&B盤1000円のシリーズ、CD叩き売り時代の産物とはいえ、今までCD化されていなかった作品も含めて、それが簡単に手に取れるというのは素晴らしい。ジャケットの復元も結構丁寧だと思う。音も結構良くって、良いヴィニール使ってるな、というアトランティックLP独特のハリのある安定した音がCDでも再現されている気が。


今度はサザン・ソウルのファンにはレアさばかり語られていた気もするサム・ディーズまで出るわけで。サム・ディーズ盤はこれまたアトランティックの叩き売りボックスの中の1枚になにげなく入っていてびっくりしたもの。今回が単体日本初CD化。ただしシングル曲も聴きたい向きにはボーナス・トラック収録の輸入盤の購入をお勧めする。


さて、いくつか買ったのはまだ聴き逃していたアルバム。うーん、これだけ素晴らしいとLPも欲しくなるな…


まずはビートルズのアップルでの作品も有名なドリス・トロイの『JUST ONE LOOK』(1963年)。そのビートルズやタイトル曲をカバーしヒットさせたホリーズをはじめ、60年代前半のイギリスの若者が独自のブリティッシュ・ロック・サウンドを創るヒントになった音だと思う。ドリス・ペイン名義での自作曲は素晴らしいの一言。ゴスペルでならした歌声は聴き応え十分だった。

次はAPOLLO SATURDAY NIGHT』(1964年)。黒人音楽の殿堂NYアポロ・シアターでのライブの模様。観客とのコール&レスポンスまで収録されている最高の内容。ウィルソン・ピケットの抜けたファルコンズにはじまり、ドリス・トロイ、オーティス・レディング、ルーファス・トーマス、コースターズ、ベン・E・キングという最強の布陣。最後はレイ・チャールズの”What’d I Say”を全員で歌って締める。一番感動したのは、昨年も来日したり、東日本大震災救援のアルバムまで作ってくれたベン・E・キングかな。あのジョン・レノンも歌った名曲”Stand By Me”をシャウトが出た往時の音で。

あとは、これもレアさが語られていた気もするダレル・バンクスの『DARRELL BANKS IS HERE!』(1967年)。ジャケが既に良い唯一作。”Here Comes The Tears”で既に涙がチョチョ切れるでしょう。なにげに本作唯一の自作の”Open The Door To Your Heart”をリピートしてみる。続く”Angel Baby(Don’t You Ever Leave Me)”もアップで良かったなあ。

『HOWARD TATE』(1972年)。ジャケを見てもなんと堂々たるアルバム。殆どの曲を手がけるジェリー・ラガヴォイとがっぷり四つで作った1972年のアルバム。多くの曲のアレンジをデヴィッド・スピノザが手がけるニューヨーク録音。2000年代に復活したときには余りにも老いていて泣きそうになったけれど。ファンキーなトラックもあったり、ニュー・ソウル的な音として聴けた。ディラン(”Girl of The North Country”)やザ・バンド(”Jemima Surrender”)を取り上げているのもニュー・ソウルな時代の盤。何と言ってもハイトーンのシャウトを駆使した歌力に圧倒されたかな。ジェリー・ラガヴォイとジーン・ピスティリ(キャッシュマン・ピスティリ&ウェスト〜マンハッタン・トランスファー)が書いた”It’s Heavy”なんてトラックも。

これも聴きたかったジョニー・テイラー『WANTED ONE SOUL SINGER』(1967年)。サム・クックの跡を継いでソウル・スターラーズに参加したソウル・シンガー。後の”Disco Lady”のヒットも有名だが、このスタックスからのファーストは、ブルーズ風味も含むソウル・サウンドを期待するがまさに、な音で満足する。特にスティーヴ・クロッパーやエディ・フロイドらの書いた”Just The One I’ve Been Looking For”がゴキゲンだった。サム&デイヴの曲でも知られるアイザック・ヘイズ/デヴィッド・ポーターの共作も5曲あって。ハービー・ハンコックの”Watermelon Man”も堪らない。マール・トラヴィスのカントリー”16 Tons”のファンキー・ヴァージョンも南部のミクスチャー感覚がよろしい。

最後はスウィート・インスピレーションズの『What The World Needs Now Is Love』(1968年)。バート・バカラックのタイトル曲や”Alfie”が美しすぎるシシー・ヒューストン在籍の女性ボーカル・グループ。さすがホイットニー・ヒューストンのお母さん、と感心してしまう伸びやかなゴスペル・ボーカル。ビージーズのオーティス風バラード”To Love Somebody”とかライチャス・ブラザーズで有名な”Unchained Melody”を取り上げるなど、比較的ポップよりの作品でありながら、むき出しのゴスペル感覚が本作を平凡な作品にさせていない。なんだか胸のつかえをはき出してくれるような見事な作品だった。