*[ブルーズ] Luther Allison / Luther’s Blues (Motown/Gordy / 1974 )
ブルーな時ほど沁みますね…憂さが晴れると言いますか。ブルーズは憂さ晴らしだと改めて思いつつ大音量で聴いている。ブルーズって言うと、オリジナル盤はむちゃくちゃ高くて、ジャケが安っぽい再発で買うしかないイメージ。そこで留飲を下げるのがVIVIDやP-Vineの良質邦盤リリース、というパターン。でも狭く深い世界だから、どこの中古屋でも余り入荷がなかったんですよね。それが最近ブルーズの米盤レコがたまに格安でドンと出るようになりました。コテコテのその世代の方々がとうとう手放しているのかも。往々にしてシールドやコンディション違いの複数盤もあったりして、予備用に買ったりしてたのかな?
こちらのルーサー・アリソン『Luther’s Blues』もシールドで発見。46年の時を経て開封しましたが、ホコリでムセました…1974年のモータウン/ゴーディ移籍後の2枚目。モータウンに来る前はデルマークから1969年に1枚出している。
個人的に男性の演者によるブルーズはフォークへの関心からカントリー・ブルーズ経由で入り、クラプトン界隈のルーツ探訪で興味が広がった。ロバジョン、ブラインド・ウィリー・マクテルの類からBBキング、マディ・ウォーターズ、バディ・ガイ、ハウリン・ウルフ、ジョン・リー・フッカーとか行きまして(ライトニン・ホプキンスだけは沢山聴いたけどなぜかハマらず…)、大先輩から教えてもらったジョニー・ウィンターやスティーヴィー・レイ・ヴォーンからのロニー・マックで弾きまくりのギターものに本気で開眼した感じ。金太郎飴のエルモア・ジェイムズも飽きることがなくなって(笑)マジック・サムとかアルバート・コリンズも最高だったし、ギター・プレイヤーではないけれど、ジェイムズ・コットンの名盤にもしびれた。でもその辺の世界を聴き進めていくと、ギターの音がクリアで迷いがなく、歌うように弾けるプレイヤーはそんなに多くないような気がしてきた。だからこのルーサー・アリソンに出会ったときには、思わず、待ってました!って感じ。1939年生まれということでマジック・サム(1937年生まれ)やバディ・ガイ(1936年生まれ)なんかと同世代ということになるんだけど、ロック世代の柔軟な感性やリズム感覚を持っていた。モータウンが契約したのもそうした先見の明だろう。
だから、ファンキーな感覚を取り入れて大変身した1976年の次作『Night Life』(表題曲はウィリー・ネルソンの代表曲)は当然の帰結。メロウな時代のムードを捉えつつ、全体的にギターが後景に退いた感があるものの、リチャード・ティー、スティーヴ・カーン、ドクター・ジョン、ブレッカー・ブラザーズらが参加したモダンで都会的なニューヨーク的センスは曲によってはソウルと呼んでも良い音だけれど、ガナリはブルーズそのもの。今聴いても新鮮だ。