いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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[NEW!!]『哲学するタネ】――高校倫理が教える70章』【西洋思想編1】【西洋思想編2】が2020年10月20日に2冊同時刊行!!。
『哲学するタネ】――高校倫理が教える70章』【西洋思想編1】【西洋思想編2】2020年10月20日発売
●石浦昌之著
●定価:西洋思想編1 本体2000円+税(A5判 330頁)(明月堂書店)
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●西洋思想編2 本体1800円+税(A5判 300頁)(明月堂書店)
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[NEW!!]2020年7月31日発売『URCレコード読本』(シンコー・ミュージック・ムック)に寄稿しました(後世に残したいURCの50曲 なぎらけんいち「葛飾にバッタを見た」・加川良「教訓1」・赤い鳥「竹田の子守歌」、コラム「高田渡~永遠の「仕事さがし」」)。
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ohno tomokiとダニエル・クオンによるデュオ「x-bijin」初のアルバム『x-bijin』(2020年6月26日発売)、リリースインフォにコメントを書かせてもらいました。
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11月15日発売のレコードコレクターズ12月号に加奈崎芳太郎『キッス・オブ・ライフ ジャパニーズ・ポップスの50年を囁く』(明月堂書店)の書評が載りました。
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編集・ライターを担当した加奈崎芳太郎著『キッス・オブ・ライフ ジャパニーズ・ポップスの50年を囁く』(エルシーブイFM「加奈崎芳太郎のDIG IT!!」書籍化)が2019年8月に発売されました。
●加奈崎芳太郎著・桑畑恒一郎写真
●定価:本体3000円+税
●A5判(上製)416頁(明月堂書店)
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【メディア掲載】
『毎日新聞』2019年10月3日掲載 「元「古井戸」加奈崎芳太郎さんが本出版 音楽活動50周年の集大成」
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『長野日報』2019年9月25日掲載 「音楽文化で伝える戦後 パーソナリティのFM番組まとめ 加奈崎さん書籍刊行」
極北ラジオ石浦昌之の「哲学するタネ」が書籍化されました。
『哲学するタネ【東洋思想編】――高校倫理が教える70章』(石浦昌之 著)2018年10月10日発売
●石浦昌之著
●定価:本体2500円+税
●A5判(並製)384頁(明月堂書店)
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【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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【ブックガイド掲載】
斎藤哲也『もっと試験に出る哲学――「入試問題」で東洋思想に入門する』(2020年、NHK出版新書)

PIZZICATO ONE / 前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン

*[日本のフォーク・ロック] PIZZICATO ONE / 前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン (Verve / 2020)

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いつか聴いてみたいと思った夢が叶ったシンガー・ソングライター自演盤。ピチカート・ファイヴ小西康陽ソロ・プロジェクトであるピチカート・ワン(PIZZICATO ONE)名義、2019年10月の台風前夜のビルボードライブ東京&大阪でのライブ録音『前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン』小西康陽自身ライナーで、「いまごろになってようやく作者が自ら歌う、という趣向のアルバムを作るのは、無邪気で幸福なことなのか、あるいは愚かしく哀れなことなのか」と語っているけれど、シンガー・ソングライター好きの小西にとっても、長年温めてきた夢が叶ったアルバムなのではないかと想像する。渋谷系の象徴のようなピチカート・ファイヴが動のイメージだとするならば、前園直樹グループ参加以来の流れを汲む静のイメージ。ドラムス、ウッドべ-ス、ギター、ピアノ(矢舟テツロー)、そしてビブラフォンが実にいい味を出していて(なんと『TIM HARDIN 3』が本盤のモデル!)、観客の拍手までもが演奏のサムシングを形作っている。

 

しかしこうしたシンプルな演奏で聴くと、削ぎ落されて残った楽曲の素朴な魅力に気づかされる。「めざめ」は、はっぴいえんどの未発表・松本―細野曲(バーンズ時代の楽曲)と同タイトルだけれど、ドラムスの入りが、松本―細野による「夏なんです」を思わせるものだったり、「東京の街に雪が降る日、ふたりの恋は終わった。」には、大貫妙子「突然の贈りもの」やラングストン・ヒューズ+ボリス・ヴィアンによる高田渡加藤和彦フォーク・クルセダーズ)などで知られる「おなじみの短い手紙(大統領様)」の残り香を感じ取ったりと、発見も多かった。「メッセージ・ソング」のボーカルには小西康陽の本気を見たし、「テーブルにひとびんのワイン」の弾むような演奏にも魅了された。かつてアンニュイという言葉の意味を理解できたような気がした「また恋におちてしまった」も素晴らしかった。

 

リアルタイムでピチカート・ファイヴを聴いていた90~00年代初頭、音楽業界はまだまだバブリーでとても気が付かなかったが、パーソナルな小西康陽の消せない喪失感や「このまま続くわけがない」という刹那を、野宮真貴のフラットなボーカルでなぞってみせていたのかもしれない。