イングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリーのヒット「秋風の恋(I’d Really Love To See You Tonight)」。この曲が死ぬほど好きでして。余りに好き過ぎて、昨年作ったアルバムのボーナス・ディスクでカバーしてしまった位…
もちろん、曲を作ったパーカー・マッギーが大好きで。パーカー・マッギーの唯一のソロは日本のAORファンにはとても人気がある。音のマイルドで暖かいオレンジ色の雰囲気が、出せそうで出せない色で。
日本でもCD化されたマーカス・ジョセフに始まり、ディアドルフ&ジョセフだとか、CCM臭が相当するけれどジーン・コットン、もちろんマイケル・ジョンソンだとか、レイフ・ヴァン・ホイ、ジョッシュ・レオ…などとポップ・カントリーを集めまくったのは、第二の「秋風の恋」に出会いたかったからかも知れない。でもそれを超えるクオリティの作品には正直出会えず、ここ5年くらいはあきらめかけていた次第。
…てなわけで今日何気に手に取ったジム・グレイサー1983年の『The Man In The Mirror』。曲目に”You Got Me Running”とあり、もしやパーカー・マッギー曲では?と当たりを付けて。さらに”I’d Love To See You Again”という「秋風の恋(I’d Really Love To See You Tonight)」にそっくりの曲名を発見し、まさか…と思って買ってみると、パーカー・マッギーのソロに匹敵する素晴らしいクオリティの作品だった。これはびっくり。さすがに”I’d Love To See You Again”は「秋風の恋」とは異なる曲だったけれど、”You Got Me Running”はやはりパーカー・マッギーのカバーで。何しろ音や声の処理も含めて、完璧なパーカー・マッギー〜イングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリー路線だったので驚いてしまった。
ちょっと調べてみるとジム・グレイサーはベテラン・カントリー・シンガーで現在78歳。初期のキャリアではマーティ・ロビンスのバック・ボーカルをやったり、スキーター・デイヴィスに曲を書いたりしていた模様。60年代後半からシングルを多数リリースしていたけれど、アルバムの方は意外にもこの1983年の本作『The Man In The Mirror』が初めてだったみたい。しかもコレ、かなり売れたみたいです。6曲がシングルで切られ、なんとトップ30に全て入ってしまったという(カントリー・チャートで"You're Gettin' to Me Again"が1位、"If I Could Only Dance with You"は10位、"Let Me Down Easy"と"When You're Not a Lady"は16位、タイトル曲は17位、"You Got Me Running"は28位…)。余りにも曲が良かったわけだ、と思ってしまう。しかも、ゲイリー・パケット&ユニオン・ギャップの名曲”Woman,Woman”をカントリー・ポップにカバーしたヴァージョンも(すでに1975年に一度シングルでカバーしていた)。私のようなノン・リアルタイム派からすると、まだまだ知らない作品が埋もれていることを思い知らされる。