いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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Cheryl Ernst / Always Beginning ( Bell /1973 )

markrock2016-06-30


ベル・レコードから1973年にリリースされた女性SSWシェリル・アーンストの唯一作。プロデュースとアレンジはボーンズ・ハウ。シェリルは60年代後半からハウの音楽出版社Hello There Musicに雇われていた。何と言っても冒頭の組曲”Fantasia Suite/Long And Sleepless Nights”が一人フィフス・ディメンションの様相で素晴らしい。ボブ・アルシヴァーのオーケストラ・アレンジがソフト・ロックのお手本のようで。日本の赤い鳥のソフトロック作にもアルシヴァーのアレンジがあった。



弾むような演奏を聴かせるのは、ルイ・シェルトンやハル・ブレインといった面子。ヒッピーガールの雰囲気だけれど、曲はそこまでダウナー&サイケデリックではなく、その辺りの明るいポップ・センスがボーンズ・ハウに好まれたのだろう。2曲はハウの元でやはりソングライターとしての腕を磨いていたジェフリー・コマナーの曲。今にすれば、全てシェリルのオリジナルで揃えても良かった気がするけれど。ちなみにジェフリーの曲はフィフス・ディメンションのアルバムなどに取り上げられたのだが、シェリルは、というと、ソングライターとしての才能を嘱望されていた割には、他アーティストへの提供曲は少なく、むしろSSWとしてリリースしたこの作品が唯一作となってしまったのは残念だ。もちろん、キャロル・キングジョニ・ミッチェルローラ・ニーロにしろ、時代は職業作曲家というより、シンガー・ソングライターにシフトしていたからなのだろうけれど。1970年にはダイアナ・ロス初のソロ・アルバムのセッションで”The Interim”が取り上げられるも、アウトテイクになってしまったみたい。エクスパンデッドCDに入っているけれど、一聴の価値がある。

とはいえ、ハウの手引きで紹介されたジャズ・ピアニスト、ジミー・ロウルズとの共作があった。ジミーと言えば、シンガーのバックではカーメン・マクレエとの『The Great American Songbook』やホーギー・カーマイケルの『Hoagy Sings Carmichael』などで知られている。シェリルは作詞家として呼ばれ、ジミーと”Looking Back”を作った。手元には1978年のキャロル・ストーンのレコーディングがある。

ボーンズ・ハウのプロデュース作の棚を漁っていたら、女優ケリー・ガレットの1976年のアルバムに"He Moves Me"というシェリルの曲があった。なかなかファンキーな感じの曲。このアルバムにはハル・ブレインやマイク・メルヴォインなどが参加していた。