久々の更新を。大滝詠一のニュー・アルバムが出たりしますしね。そろそろ起き出して。
・DISC1
1.熱き心に
2.うれしい予感
3.快盗ルビイ
4.星空のサーカス
5.Tシャツに口紅
6.すこしだけやさしく
7.探偵物語
8.夏のリビエラ
9.風立ちぬ
10.夢で逢えたら(ストリングス・ミックス)
・DISC 2(初回限定ボーナスディスク)
1.私の天竺
2.陽気に行こうぜ〜恋にしびれて(2015 村松2世登場!version)
3.Tall Tall Trees 〜Nothing Can Stop Me
4.針切じいさんのロケン・ロール
それにしても提供曲のデモやライブ音源で構成されたという大滝の『Debut Again』。当初はジミヘン商法だとか思っていたけれど、今は、関係者の思いが篭められた作品なのかな、と思っている。アナログも出ますね。でも、こんな風にニュー・アルバムをどきどきしながら待つ、というのもある種最後になってしまうのかもしれないな、と思っている自分がちょっと恐くもあって。パッケージ化されたフィジカルなCDなりレコードなり、を享受する一つの時代の終わり、と言うか。もちろんこんなことを言うと、リアルな音楽シーンに対面している現役世代なら、冗談じゃないと怒る人もいるだろうけれど、長年のポップス・リスナーの方々ならなんとなくその感覚を理解して貰えるのではないだろうか。
とはいえ音楽は続いていく、そんな信念もある。ある種のルネサンス、過去の音楽に光を当てながら、新しい今の音楽を切り開く、そんなムーブメントが再び訪れると思っている。この道しかない、なんていう多様性を許容しない時代が過ぎ去れば…
訃報でその音楽に再び触れるのは申し訳ないな、と思うけれど。E,W&Fのモーリス・ホワイト。2月に74歳で亡くなった。チェス・レコードのお抱えドラマーからラムゼイ・ルイス・トリオのメンバーに。1974年のラムゼイ・ルイスの”Sun Goddess”で再び共演するわけですが。インタビューでは声が聴き取れないくらい声が小さく、寡黙で思索的な雰囲気をもっていたとのことだけれど、その一歩引いたような立ち位置はその音楽にも現れている。とはいえ、音楽的土壌の広さやバンドに篭めたスピリットは、誰しもがリーダーと認める才能だったと思う。アースの諸作も語り出したらキリがないけれど、モーリスの訃報を聞いて真っ先に思い出したのが1985年のソロ『Stand By Me』だ。個人的には大好きなアルバム。ソウルにもデジタルな色が出てくる時代なので、音作りには好みがあるけれど、モーリスの伸びやかな歌声が楽しめる名ブラコン盤だと思う。ベン・E・キングの定番”Stand By Me”のカバーを聴いていたら、なんだか泣けてきた。R&Bチャートで30位まで上昇したバラード”I Need You”(ウィリアム・スミッティ・スミスとプリシラ・クーリッジらの共作)もとても良くって。
そして、村田和人の若すぎる死。いまだに亡くなったとは、にわかに信じがたい。”電話しても”のフレッシュなバンド・サウンドや”一本の音楽”のスケール感は今の時代にも明るく響いてくる。山下達郎がプロデュースを手掛けたこの2曲から、近年の『ずーーっと夏。』3部作などに至るまで、クオリティの高い作品を残してくれた。杉真理とアロハ・ブラザーズを結成した頃に、ライブで拝見したけれど、穏やかで包容力のある人柄と歌声が魅力的だった。
山本圭右、平松愛理、西司と結成した1987年のHoney & B-Boysはシュガー・ベイブ愛に満ちたトリビュート作のような趣きだった。ラストのシュガー”雨は手のひらにいっぱい”のカバーがとっても眩しくて。
ジョージ・マーティン、キース・エマーソン、フランク・シナトラJr.まで…それでも一歩ずつ。音楽は続いていく。