いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

f:id:markrock:20190212213710j:image
いしうらまさゆき へのお便り、ライブ・原稿のご依頼等はこちらへ↓
markfolky@yahoo.co.jp

f:id:markrock:20201004210812j:image'>
[NEW!!]「読者たちの夜会」(2021/1/14 LOFT9渋谷) 2020ベストビブリオバトル にて、哲学芸人マザーテラサワさんが『哲学するタネ―高校倫理が教える70章【西洋思想編1・2】』を取り上げてくれました。
[NEW!!]評論家・映画監督の切通理作さんが店主を務める阿佐ヶ谷・ネオ書房の読書会を開催します。
哲学を学び直したい人のために ネオ書房【倫理教師・石浦昌之ライブ読書会】 12月20日(日) 18時半開場 19時開演 高校倫理1年間の授業をまとめた新刊『哲学するタネ 西洋思想編①』(明月堂書店)から、西洋哲学の祖、ソクラテスを取り上げます。 内容 ◆ フィロソフィア(愛知)とは? ◆「無知の知―汝自身を知れ」 ◆問答法はディアロゴス(対話)の実践 ◆「徳」とは何か? ◆プシュケー(魂)への配慮 ◆善く生きることとは? 入場料1200円 予約1000円  予約kirira@nifty.com
f:id:markrock:20201220114218j:image
[NEW!!]『哲学するタネ】――高校倫理が教える70章』【西洋思想編1】【西洋思想編2】が2020年10月20日に2冊同時刊行!!。
『哲学するタネ】――高校倫理が教える70章』【西洋思想編1】【西洋思想編2】2020年10月20日発売
●石浦昌之著
●定価:西洋思想編1 本体2000円+税(A5判 330頁)(明月堂書店)
注文はココをクリック
●西洋思想編2 本体1800円+税(A5判 300頁)(明月堂書店)
注文はココをクリック
f:id:markrock:20201004205325j:image

honto西洋哲学 1位・2位に2冊同時にランクインしました(2020/10/25付)
2020年7月31日発売『URCレコード読本』(シンコー・ミュージック・ムック)に寄稿しました(後世に残したいURCの50曲 なぎらけんいち「葛飾にバッタを見た」・加川良「教訓1」・赤い鳥「竹田の子守歌」、コラム「高田渡~永遠の「仕事さがし」」)。
詳細はココをクリック
購入はココをクリック
f:id:markrock:20200802143148j:image
ohno tomokiとダニエル・クオンによるデュオ「x-bijin」初のアルバム『x-bijin』(2020年6月26日発売)、リリースインフォにコメントを書かせてもらいました。
詳細はココをクリック
11月15日発売のレコードコレクターズ12月号に加奈崎芳太郎『キッス・オブ・ライフ ジャパニーズ・ポップスの50年を囁く』(明月堂書店)の書評が載りました。
f:id:markrock:20200521021219j:image
編集・ライターを担当した加奈崎芳太郎著『キッス・オブ・ライフ ジャパニーズ・ポップスの50年を囁く』(エルシーブイFM「加奈崎芳太郎のDIG IT!!」書籍化)が2019年8月に発売されました。
●加奈崎芳太郎著・桑畑恒一郎写真
●定価:本体3000円+税
●A5判(上製)416頁(明月堂書店)
詳細はココをクリック
注文はココをクリック
f:id:markrock:20200521020444j:image

【メディア掲載】
『毎日新聞』2019年10月3日掲載 「元「古井戸」加奈崎芳太郎さんが本出版 音楽活動50周年の集大成」
詳細はココをクリック
『長野日報』2019年9月25日掲載 「音楽文化で伝える戦後 パーソナリティのFM番組まとめ 加奈崎さん書籍刊行」
極北ラジオ石浦昌之の「哲学するタネ」が書籍化されました。
『哲学するタネ【東洋思想編】――高校倫理が教える70章』(石浦昌之 著)2018年10月10日発売
●石浦昌之著
●定価:本体2500円+税
●A5判(並製)384頁(明月堂書店)
詳細はココをクリック
注文はココをクリック
f:id:markrock:20201004211116j:image

【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
ココをクリック
【ブックガイドに掲載されました】
斎藤哲也『もっと試験に出る哲学――「入試問題」で東洋思想に入門する』(2020年、NHK出版新書)

 ポール・カントナーを乗せた船

markrock2016-02-14


ジェファーソン・エアプレインのポール・カントナーが去る1月28日に74歳で亡くなった。サンフランシスコ・サウンド、ドラッグ・カルチャー、サマー・オブ・ラブ、ヒッピー・ムーブメント…早逝したジャニス・ジョプリンより2歳年上(1941年生)だったから、60年代ロックのサバイバーの一人だったのかもしれない。

エアプレインとかシカゴのようなアメリカの大所帯バンドが時代の変遷と共に分裂やソロ活動を繰り返しながら時代の趨勢に合わせて生き延びている様は圧巻だ。産業ロック化しいたシカゴを悪く言う人もいるけれど、ぼくはどの時代のシカゴも好きだし、エアプレインで言えばミッキー・トーマスのスターシップもジェファーソン・スターシップも、MOR化したマーティ・バリンの音楽も愛している。かつての面影がないような言われ方もしたスターシップの”We Built This City(シスコはロック・シティ)”(コレは学生時代、ラジオで一日一回くらいかかっていたのでは?)にだって「俺たちがこの街を作ったんだ!」なんていう、ラジオ・デイズや肥大化する音楽産業をくぐり抜けてきた60年代からのロック・サヴァイヴァー、シスコ・サウンドの立役者達による、誇らしげな自負が見て取れたし。これはバーニー・トウピンの詩かな。曲はマーティン・ペイジやデニス・ランバート、ピーター・ウルフによるもの。あと、先日来日したアルバートハモンドがダイアン・ウォーレンと共作した” Nothing's Gonna Stop Us Now(愛はとまらない)”(アルバートの自演版もあった。)も本当によくラジオで聴いた。エアプレインのことなんてちっとも知らずに聴いていた時はグレイス・スリックの芝居がかったタメのあるどうにもシックスティーズなボーカルが、なんだか不思議な印象だったのだけれど。

ぼくの場合、エアプレインとの出会いはちょっと不純で、TOTOの大ファンだった高校生の頃、TOTOスティーブ・ポーカロデヴィッド・ペイチが提供した1曲を聴きたいがために、1989年の奇跡の再結成アルバム『Jefferson Airplane』(グレイス・スリック、ポール・カントナー、マーティ・バリン、ヨーマ・コウコネン、ジャック・キャサディという布陣)を手に入れたのが最初だった。

その1曲は売れ線の産業ロックの色を出すための選曲だったのだと思う。元々TOTOとはカリフォルニア・シーンという括りでの繋がりもあったのかもしれない(エアプレインの出自はLAじゃなくてサンフランシスコだけど)。今聴くと、反体制の思想がすっかり抜け落ちたマーティ作の”Summer of Love”なんていうウッドストックの夏をうっとり懐古する感傷的なバラードがあったりして、当時の彼らが歌う目的を失っていたようにも思えるのだけれど、全盛期のジェファーソン・エアプレインのサウンドを蘇らせようとした意図はとてもよくわかる。元タートルズのエディ&フロー(ポール・カントナーの作品とはかつてより関わりがある)の参加も60年代なるものを感じさせるし。中でも当時気に入ったのがCSNを思わせる分厚いコーラスとロック・サウンドを聴かせるポール・カントナー作の”Planes”なのだった。後々エアプレインの音を聴いた時ぶっ飛んだ”Volunteers”のダイナミズムと同様のものを感じたりもしたし、カントナーが愛しのデヴィッド・クロスビーと”Wooden Ships”を共作したことにも大いに頷けたのだった(クロスビーのファーストは同じ精神性を共有していた時代に産み落とされた傑作だと思う。"Triad"も外せない。)。

ポール・カントナーは、時代やエアプレインのメンバーが変われども、グループの思想の核であり続けた。60年代のフォークやロックが持っていた反骨精神や理想主義、その行き着く先だったニューエイジのスペーシーな精神性を愚直なまでに維持していたのではなかったか。

2000年代の作品ではポール・カントナーとデヴィッド・フライバーグ(クイック・シルヴァー・メッセンジャー・サービス、ジェファーソン・スターシップ)らによる2008年の『Jefferson’s Tree of Liberty』(ジェファーソン・スターシップ名義)が印象的だった(グレイスの代役はダイアナ・マンガーナに代わり、キャシー・リチャードソンが務めている)。ちょっと直截的すぎるくらいの選曲ではあるけれど、ウィーバーズの複数のレパートリーからディノ・ヴァレンティ、ディランの”Chimes of Freedom”やフィル・オクスの”I Ain’t Marching Anymore”、ウディ・ガスリーの”Pastures of Plenty”、ジョン・レノンボブ・マーリーのメドレー”Imagine Redemption”のカバーまでをも含んだアメリカーナ色強いアルバムだった。マーティ・バリンやジャック・キャサディ、デヴィッド・グリスマンにデヴィッド・ラフレイム!(イッツ・ア・ビューティフル・デイ)までもが参加し、彼が時代のリアルタイムに投げかけようとしたメッセージが痛いほど伝わってきた。



思えば「ジェファーソン」はアメリカ第3代大統領トマス・ジェファーソンから取られたものだろう。彼は個人の自由を守るには暴力を用いてでも政府を拘束して良い、と説き「The tree of liberty must be refreshed from time to time with the blood of patriots and tyrants. (自由の木は愛国者専制君主の血により、その時々に新たにされなければならない)」と書いたのだった。先述のアルバムタイトルがそこから取られたことはジャケットからも明らかだ。しかしそこにはアメリカの矛盾が無きにしもあらず、だ。自由を旗印にイギリスからの独立を目指す愛国者としてのジェファーソン、インディアン(ネイティブ・アメリカン)の文化を尊重しつつも強制移住を促したジェファーソン、奴隷制に反対しながらも奴隷を所有していたジェファーソン、女性参政権を認めたくなかったジェファーソン…60年代のカウンターカルチャーの思想性を背負いつつも、ジャニスのビッグ・ブラザー・ホールディング・カンパニー同様、エアプレインも赤一点のボーカルを据えていた。

そう、1998年のWindows of Heaven』なんていうのもリアルタイムで手に入れていた盤だ。ポール・カントナーやマーティ・バリン、ジェシ・バリッシュらの作品に混じってオフコースの”Yes Yes Yes”が日本盤ボーナス・トラックとして収録されているのは衝撃だったけれど。Aメロのアレンジや全体のコーラスなんかはポール・カントナー仕込みのエアプレイン・サウンドで。マーティが稲垣潤一など日本のAORのカバー盤を出しているから、その辺りの縁だろうと思う。この辺りのいなたい商業主義とのバランスも含めても嫌いになれない。グレイト・ソサエティとかプラネット・アース・ロックンロール・オーケストラとか、ホット・ツナとかGrunt Recordsもの(ピーター・コウコネン、パパ・ジョン・クリーチ、ジャック・ボーナス…)も正直言って久々に…ごちゃごちゃ取り出して聴いている。