/ Constant Companion ( Reprise / 1969 )
しばらくお休みにしていたブログ、再始動致します。
60〜70年代の良質の音楽を再発してきたシリーズ「名盤探検隊」がCDデフレを反映した1200円で新たに生まれ変わって。個人的には学生時代の90年代後半、レア盤ショップの飾り物の常連だったレコードの数々がCD化されたと大興奮で聴き漁った有り難いシリーズ。ピーター・ゴールウェイ関係とか、エリック・カズ、忘れもしないポール・ウィリアムス『サムデイ・マン』、ジョー・ママ、ロジャー・ティリスン、ジェシ・デイヴィス、ドニー・フリッツ、フィル・コディ、ビリー・マーニットとかジミー・ウェッブもあったっけ…たぶんキャピトルズとかボブ・クリュー・ジェネレーション、ユージン・マクダニエルズなんかも含めて全部買ったんじゃないかな。
時は流れて、知らぬ間にLPを買い直して今に至っているものも多い。今回のラインアップはそんな意味でも新鮮味がないかな、と思いきやビックリ!新たにラインナップに入った盤も多い。女性シンガー、ヴィクトリアの盤なんて、LPで昔買ったけれど、まさか日本で再発されるとは思わなかった。レニー・ルブランのソロなんてのもLPで愛聴していた1枚。
そんな中で、今回食指が伸びたものはというと、ジーニー・グリーン、クラウディア・リニア、ラブ・ノークス『ネヴァー・トゥー・レイト』、そしてルーサン・フリードマン『コンスタント・コンパニオン』の4枚。
ルーサン・フリードマンはアソシエイションの”Windy”の作者として知られている幻の女性SSW。今回の再発盤が唯一作(リプリーズから1969年のリリース)だった人だが、ここの所、まさかの新作やら未発表レコーディング集『Windy:A Ruthan Friedman Songbook』(アコギのリフにはじまる"Windy"のデモ含む)までリリースが相次いでいる。何でも未発表レコーディング集のライナーによると、アメリカでチャート1位を獲得した単独女性作曲家(共作者ではなく)3人のうちの1人であるとのこと。ウーマン・リブに繋がる自立した女性像を作った時代の寵児だったというエピソードの一つとも言えるだろう。
さて、『Windy:A Ruthan Friedman Songbook』ではレッキング・クルーのメンツに加え、ヴァン・ダイク・パークスやランディ・ニューマンなどを配した音やカート・ベッチャーのプロデュースによる楽曲などが収録されていたのに対し、本作『コンスタント・コンパニオン』はルーサン自身の弾き語りを中心とした静謐な作。未発表レコーディング集でも客演していたジェファーソン・エアプレインのヨーマ・コウコネンの弟、ピーター・コウコネン(ルーサンと活動を共にしていた時期もあるようだ)がギターで加わった曲もある。ジョニ・ミッチェルやジュディ・シルと比較する向きもあるようだが、確かにメロディの自由さや穏やかさの中にあるサイケデリックなムードに共通するモノはある。でも曲の展開はジョニよりはもっと常識的というか、聴きやすさがあるかもしれない。かなり好感が持てる音。ただ、ルーサンにとっての”Windy”というのは、一世一代の名曲だったということも良くわかったり。
最近では60年代モノのリイシューも重箱の隅の隅にまで行き渡ってきている感じ。特に海外レーベルが元気だ。アソシエイションでいうと”Along Comes Mary”の作者タンディン・アルマーの未発表デモがサンデイズドから今年リリースされたり。ヒッピー・ガール的な女性ソングライターだと、数年前に出た、ティム・ローズらで知られる”Morning Dew”の作者ボニー・ドブソンの再発盤も実に60年代的で感動した記憶がある。3コードに調の違うコードを交えることがカウンター・カルチャーの反抗だったのだろう。