いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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 Chad Mitchell / Chad ( BELL 6028 / 1969 )

markrock2014-10-06



台風に吹き飛ばされた一日。自然の猛威の前で人間は手出しができないもので。被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。


最近更新が滞っていた。音楽制作に熱中していた、というのもあるけれど、ネットや新聞、テレビとニュース・ソースを求めれば求めるほど、うんざりするような現実やとても美しくない暴力的な言論に触れることが多くて、鬱々とした気分になっていたことが大きい。時折、数年も放置されたままのどこかの音楽ブログなんかに辿りつくと、掲示板に微笑ましい、音楽マニアの語らいがあったりして。日付を見ると2004年だとか。まだ「インターネット」や「グローバリゼーション」という言葉に、世界中の人々が手を携えて…とでもいうような、疑いを知らぬ無垢な理想があった。


でもグローバリゼーションにしてもその実、先進国の多国籍企業の市場拡大=世界の均質化に過ぎず、個人商店は廃業を余儀なくされ、駅前の商店街はどこへいってもグローバル資本のチェーン店、なんてことになってしまった。新自由主義的政策は弱肉強食の格差社会を生み、右か左というよりも、伝統的な利権・カネを守りたい人達とそれを崩したい人達の単なる足の引っ張り合いに見えてきたり。衣食足りて礼節を知る、だとか、恒産なくして恒心なしという言葉も思い出す。近代のナショナリズム社会主義も、ちっぽけな人間ごときが社会を制御しようなどという大それた試みだったわけだから、同じ穴の狢なのかもしれません…


個人的にはこんな世の中をうまく生きていくのは難しそうだ。だいいち合理性とはほど遠い風情、いまどき6畳間に本とレコードだらけだし。音楽で言えば、昨今のアイドル元禄時代も、アベノミクスでバブルよもう一度みたいなAKB秋元康主義もピンと来ない。一時期熱心に収集したシティ・ポップも最近東京郊外のインディー・シーンで来てるだとか言われているけれど、素人が山下達郎歌ってるみたいな青臭さがピンと来ない。シティ・ポップはニッポンの経済的繁栄を背景とした、つかの間のリゾート逃避(80年代版エキゾティカ)だったと思っているから、80年代ならまだしも、このご時世でそんな脳天気な現実逃避じゃあ、個人的な興味関心からすると、あまりリアリティを感じなくなってきた。郊外でこんな音楽が生まれて来たってのも、山の手のシティ感覚が東京郊外に及んで来たということなのだろう。


とかなんとか、なんでこんなに、考え込んでいるか…それは昨日で30代半ばに達してしまったから!おっさんになっちゃったんですねー。いやだなー。誕生日が嬉しいだけの日では無くなっていくとはこのことなんですね!気付くの遅すぎかな。

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そんなことを思っていたら、小松崎健郎さんのブログで、レコード屋での素敵な出会いを書いた文章を読む。居ても立っても居られず、三鷹の貴重な名店パレードに行く。

結構探していたチャド・ミッチェルのソロ・アルバム『Chad』が入手できたのが嬉しかった。レッキングクルーのメンツがバックを務め、BELLからリリースされたこのアルバム、ディノ・ヴァレンティ〜ヤングブラッズの”Let’s Get Together”やジョニ・ミッチェルの”Both Sides Now”、そしてジェイク・ホルムズの”Genuine Imitation Life”なんていう選曲もひかれるボーカル名盤だった。チャド・ミッチェルというと、60年代に活躍したモダン・フォーク・トリオ、チャド・ミッチェル・トリオのリーダー。ソロ・デビュー前のジョン・デンヴァーや、チャド脱退後にはAORの世界でもヒットを飛ばすマイケル・ジョンソンが参加したりと、70年代に繋がる個性を惹き付けていたグループだ(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20090720)。


チャドのソロでは『Himself』(1966)や『Love, A Feeling Of』(1967)(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20060605)もオススメしたい所。

あとはクリスチャン・ミュージックの世界に入った、バリー”明日なき世界”マクガイアの盤『Have You Heard』(1977)、リー・スクラーやマイク・ディージーといったセッションマンが参加していた。『Lighten Up』(1973)という盤も以前買った記憶がある。それにFlo & Eddieの『Moving Targets』(1976)にロン・ネヴィソン(ハート、キッス、サヴァイヴァーあたりを手掛けた売れっ子)が関わっていたとは知らなかったし、日本では人気がイマイチのリー・マイケルズ『Nice Day For Something』(1973)はドゥービー・ブラザーズ加入直前のキース・ヌードセンとのデュオ・アルバムだった。そして、ビージーズ関連アルバムでも知られるザ・マーブルスのアメリカ盤『The Marbles』、これはレインボーのボーカルにもなるグラハム・ボネットがデビューしたグループだ。

最後はポコのファースト『Pickin’ Up The Pieces』(1969)。内袋からすると1973年の米プレスで、結構音が良かった。久々に聴いたけれど、このアルバムはフューレイ全開なだけに、バッファローを思い出してしまうが、とても良い。アクースティックとエレクトリックの分離の良さとか、音作りの面でも感心してしまった!