いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

f:id:markrock:20190212213710j:image
いしうらまさゆき へのお便り、ライブ・原稿のご依頼等はこちらへ↓
markfolky@yahoo.co.jp

f:id:markrock:20190212212337j:image
[NEW!!]極北ラジオ石浦昌之の「哲学するタネ」が書籍化されました。 『哲学するタネ【東洋思想編】――高校倫理が教える70章』(石浦昌之 著)2018年9月発売!! ●石浦昌之著 ●定価:本体2500円+税 ●A5判(並製)384頁
詳細はココをクリック
注文はココをクリック

【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
ココをクリック

 Natural Records / Assembly ( NRMC 000-1 / 2014 )

markrock2014-05-05


まさかコレが最後のアルバムになるなんて(http://www.mona-records.com/shop/item/natural_recordsassembly.php)…ギタリスト加藤ケンタ脱退・無期限活動休止という衝撃をまだ消化しきれずにいるけれど。先日念願の4thアルバム(ミニアルバムから数えて)を入手。むちゃくちゃ作り込まれたそのアルバムの音を聴くにつけ、もったいない!なんて気持ちにもなってしまった。本作がバンド8年の歴史のエンドロールに流れている、なんて思いたくないというか。



Natural Recordsは4人のメンバーが固定してからというもの、都内の大型ライブハウスをどんどん埋めていく動員力を誇り、数々のフェスにも参加。地方でのライブも重ねて、8年の活動で4枚のアルバムをリリース。とにかく各人の卓越した演奏力を叩き付けた圧倒的なライブ・パフォーマンスでファンを魅了してきたバンドだ。一方でレコーディングに関していえば、毎回このバンド・アンサンブルをいかにして音盤に刻み込むのか、という難しさに直面してきたバンドでもあった。しかし前作のタイトル『Going Up』が予告した通り、さらに一歩上を目指した本作『Assembly』では2人のプロデューサー(曽我淳一、坂本竜太)が3曲でメンバー(宮 武弘、加藤ケンタ、千田大介、越智祐介)を生演奏の限界点にまで連れて行った。まさにファンをも巻き込んだ集合体(Assembly)でしか為し得ない、大充実の濃縮全7曲!バンドのリーダーであり、ピアノ・ボーカル担当の宮 武弘の楽曲だけでなく、メンバーの共作(”空=オアシス”、”EARTH BEAT”)が収められているのも注目したい所。

冒頭“自由への逃亡”、”POP&DEEP”にまず打ちのめされてしまう。一昔前ならココがシングルカット・両A面でしょう。ポップで完成された踊れるロック・サウンドに予定調和を崩すような歌詞が滑り込む。「世界は痛くて気持ちいい」「言い訳ばかりが口の中を 埋め尽くして死んでしまいそうだった」「誰かのせいにしてしまう気持ちを 毎日毎日殺していくのです」…そしてそして、スガシカオ・バンドのミュージカル・ディレクターを務める坂本竜太プロデュースの”空=オアシス”はディスコとエレクトロ・ポップを繋ぐようなダンス・ビートが懐かしくも新しくて。バンドの新境地ともいえる1曲に仕上がった。



さらに後半、宮のハイトーンが映える”ウソとホント”やライブでの演奏も印象的な”綺麗事”では宮の社会に対するホンネが吐露される。「進学コースの階段はエンドレス 登り続けても 止められない放射能」「「いいね!」って言ってるだけじゃ この船は沈んじゃうんだよ ゆっくり傾いているって 気づいた」…もう説明は要らないでしょう。



そう考えると、”奇跡”に歌われる従来の社会への猜疑心(「おすすめのランキングにも 大人の事情が見え隠れ」「ウソっぽい言葉はもう聞きたくない」)も、最後は我々の1人ひとりの人間らしい感性に委ねられていく…(「磨かれてきたのは 選び取るチカラ」「放っていく衝動が むかっていくその方向に 分かっている人たちが 集まってくるこの奇跡」)ラストの”EARTH BEAT”にあった「切り捨てるよりも 抱きしめる 出会えた数だけ」、なんてフレーズを聴いていると、経済至上主義な昨今の社会へのオルタナティブを模索している30代の実感とピッタリ重なり合って、グッと来てしまう。



そんなナチュラルな宮の感性は2012年に発売されたソロアルバム『Life』http://d.hatena.ne.jp/markrock/20121010)でも十分に味わえる。今後はピアノ、ウクレレを携えた宮のソロ・ツアーにも期待したい所。来る5月11日には下北沢SEED SHIPでバースデイ・ワンマンが開かれる(http://seed-ship.com/schedule.php)。ピアノはもちろん、ウクレレ一本でグルーブを作り出し、伸びやかな歌声を聴かせるソロ・ステージには是非足を運んでもらいたい。


さらに各メンバーのソロ活動も紹介しておこう。ベースの千田大介はこれまでにも羊毛とおはなヨースケ@HOME、K、青谷明日香、国分勇、HaLeBaLe、クブクリンなどのサポートを続けている。ドラムスの越智祐介も感傷ベクトル、じんプラットホーム、クブクリン、ロクセンチ、青谷明日香のサポートを。ギターの加藤ケンタは弾き語りのほか、ジャンクフジヤマのPV「To The Sky」にも登場するなど活躍している。今後の活動にもますます期待したい!



・Natural Records Official Web Site
http://naturalrecords.net/

・『Assembly』全曲試聴
http://www.youtube.com/watch?v=lDYa-wUixjY&feature=youtu.be

1.自由への逃亡
2.POP&DEEP
3.空=オアシス
4.ウソとホント
5.綺麗事
6.奇跡
7.EARTH BEAT