いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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Kurt Edelhagen

markrock2013-08-03

/ Plays Jim Webb ( Polydor / 1970 )

ポール・マッカートニー来日!「アウト・ゼアー・ジャパン・ツアー」ということで、11月15日(金)の福岡ヤフオク!ドーム公演を皮切りに11月18日(月)・19日(火)・21日(木)に平日3日間で東京ドーム公演が。チケットの方もドーム最高では?という額につり上げてきた。万を軽く超えてきたストーンズの時にまずはびっくりしたけれど、そのあと前回2002年のポールもS席14000円でしたっけ?で今回はさらに高いS席16500円と…天下のビートルズだぞ、って足元を見られているような気もするけれど…今回も行かないわけにはいかないでしょう!昨年のロンドン・オリンピックの閉会式だとか、エリザベス女王在位60周年記念式典ライブでのトリ(そこでは”Magical Mystery Tour”、”All My Loving”、”Live And Let Die”、” Ob-La-Di, Ob-La-Da”を演奏)などを見た限りでは、かなり老いた姿ではあるけれど、ビートルズ・ナンバーをこれでもか、と惜しげもなく披露するサーヴィス精神に感服した。世界遺産級のステージになることでしょう!

さらに来日と言えば、二人になってしまった、生けるザ・バンドのうち、ガース・ハドソンのライブ。昨日、客席に来ていた佐野元春氏が飛び入りでステージに呼ばれ、”I Shall Be Released”を歌ったという…なんて感動的な。。コレは正直観たかった!ジョン・サイモンが手がけた佐野元春and The Hobo King Bandの『THE BARN』はいまだに良く聴くウッドストック産の名盤だ。


そして、クインシー・ジョーンズ。これも80歳だというクインシーがとても元気で素晴らしかったらしい。これも含めことごとく観に行けてませんがね…ジェイムス・イングラムなんて、あのWe Are The Worldの時は大トリを務めていた新進気鋭のシンガーだったわけだけれど、いまじゃ懐メロ・シンガーになっているのかな…。そのジェイムスにパティ・オースティン、サイーダ・ギャレットだなんて、実はカナリよく聴いていたので観てみたかった。ただ日本人アーティストによるトリビュート・パートはさほど興味は湧かなかったな。


そんなことで最近入手したクインシー関係は何かないかな、と思っていたら、あった。『Kurt Edelhagen / Plays Jim Webb』という盤。これはドイツのビッグ・バンドを率いたクルト・エデルハーゲンが当時一世を風靡していたジム・ウェッブを全編取り上げたインストゥルメンタルの1枚。クインシー・ジョーンズが編曲を担当している。


1920年にドイツ・ヘルネで生まれたクルト・エデルハーゲンは戦前から活動を行っていた演奏家。戦後は日本もそうだったけれど、敵国だったアメリカニズムの象徴・ジャズが流入していくわけで、クルトもジャズ・コンボを組織する。そこでドラムスを担当していたのが、ポリドールのプロデューサーとしてコニー・フランシスブレンダ・リーのドイツ盤を手がけたボビー・シュミット、後に本作のプロデューサーとなる。さらに、ジャズ・ファンにはお馴染みのアレンジャー、クラウス・オガーマンだが、彼も1950年代にクルトのバンドに籍を置いていた一人で、クルトにジミー・ウェッブを紹介した張本人であるようだ。


1993年の『Suspending Disbelief』や1996年の『Ten Easy Pieces』がリアルタイム、という私のような世代には、シンガー・ソングライター時代から名乗るようになった「ジミー・ウェブ(ウェッブ)」の表記がお馴染みだが、60年代のフィフス・ディメンショングレン・キャンベルの一連のヒット曲に親しみがある世代には「ジム・ウェッブ」という60年代的表記の方がしっくりくるだろう。バッファロー・スプリングフィールド『Again』スペシャルサンクス欄になぞらえた、はっぴいえんど(通称ゆでめん)のサンクス欄にも「Jim Webb」とあったように記憶している。細野さんの趣味だろう(後年ジミー・ウェッブの来日公演の会場で松本隆氏をお見かけした!)。


さて、この盤、凡百のイージー・リスニング作品と思われるかもしれないが、そこはクインシー、只者ではなく、非常にソフト・ロック的なダイナミズムで料理しているのが面白い。歌が入ればマイク・カーブ・コングリゲーションやステージ101になりそうな。聴きたい曲はたいてい入っている。”Up. Up And Away”、”By The Time I Get To Phoenix”、”Didn’t We”、”Galveston”、”Where’s The Playground, Susie”、”MacArthur Park”、”Wichita Lineman”、”Honey Come Back”…テルマ・ヒューストンの名盤のタイトル曲”Sunshower”は冒頭バカラック風のアレンジを取り入れたりもしていた。中ではジョニー・マシスらがレコーディングした”Evie”が余り聞かない曲だ。


ちなみに今年8月にはグレン・キャンベルの新作『See You There』の発売が予定されている。グレンはアルツハイマー発症をカミングアウトし、前作『Ghost On The Canvasのリリースをもって最後、と謳われていたが、その時のセッション音源が残されていたようで。ジミー・ウェッブの楽曲では”By The Time I Get To Phoenix”、”Galveston”、”Wichita Lineman”のセルフカバーに加え、ジョン・デンヴァーがレコーディングしていた”Postcard From Paris”が収録されている模様。


そしてジミー・ウェッブはといえば、9月にeOne Musicから新作『Still Within the Sound of My Voice』のリリースが予定されている。リリースインフォを信じれば、アート・ガーファンクルカーリー・サイモンジョー・コッカー、クロスビー&ナッシュ、近年”P.F.Sloan”をカバーしたパキスタン出身の新鋭女性歌手ルーマー、クリス・クリストオファスン、キース・アーバンエイミー・グラント、ライル・ラヴェット、エルヴィス・プレスリーのコーラスで有名なジョーダネイヤーズ、マーク・コーン、アメリカ、そしてそしてブライアン・ウィルソン!が参加しているとのこと。関係者ばかりとはいえ、凄すぎます…