/ Cold Spring Harbor ( Family Productions FPS2700 / 1972 )
毎週立ち寄る三鷹パレードで発見!ビリー・ジョエルの何の変哲もないファーストなのだが、シュリンク付きオリジナルのファミリー・プロダクションのDJ COPY盤ではないですか。いつもの良心的価格にて、いやはや感無量。
このファーストはとてつもなく愛聴してきた一枚。ビリー自身は、回転数を変えられてしまい、声が高くなってしまっているこのファーストの仕上がりを余り気に入っていないようだけれど、収録曲を楽曲として愛して続けていることは、後のライブで度々収録曲が披露されていることからも判る。
さてさて、問題はオリジナル盤の音そのものだったわけだが、針を落としてみると…ハンパなし!アメリカで40ドル超えしているのが判りました。アッティラやハッスルズといったハードなロック・バンド出身だったことを伺わせる、太い音とシャウト!これだけはCDの音とは全然別物でした。”You Can Make Me Free”の後奏とか、音のウネリに飲み込まれそうになり。コレを聴くと、オリジナル盤至上主義になりそうになる自分がいて…。ホンモノはオリジナルLPでしか聴けないということかもしれない。以前ブートまがいでCD化された音とは全く違ったから驚いてしまう。曲によってはアレンジや長さもコロンビアからの再リリース盤とは違っている模様。ジミー・ハスケルのアレンジ&弦、ベースにはジョー・オズボーンとラリー・ネクテル。レッキング・クルーの参加だけでソフト・ロック的な弾むフィーリングが出てくる。
ファミリー・プロダクションといえば、バブルガム・ポップで知られるカーマ・スートラの社長だったアーティ・リップのレーベル。カーマ・スートラ時代から作品をリリースしていたソングライター・コンビ、アンダース&ポンシアのピーター・アンダースのソロ・アルバムはその縁からファミリー・プロダクションからのリリースとなっていて。その盤に無名時代のビリー・ジョエルが参加していることはファンの間では有名だ。
ビリー・ジョエル、ソロ・キャリアの船出を告げたこのファーストをかつて初めて聴いたとき、ポール・マッカートニーの”Maybe I’m Amazed”みたいだな、と思ったことが忘れられない。ビートルズの偉大さは色んな所で語られているけれど、ポール・マッカートニーが、エルトン・ジョンとも共通するポップ・ロックのイディオムを持ったピアノ・マンのルーツにもなっていたことは見逃せない事実。エルトンのレッグ・ドワイト時代の音とソロ・エルトンを比べても判るけれど。具体的には『Let It Be』の衝撃ですね。
とにかく、繊細な感性に彩られた、駄曲皆無の素晴らしい盤!