いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

f:id:markrock:20190212213710j:image
いしうらまさゆき へのお便り、ライブ・原稿のご依頼等はこちらへ↓
markfolky@yahoo.co.jp

[NEW!!]2022年2月24日発売、ビッグ・ボッパー『シャンティリー・レース』、フィル・フィリップス『シー・オブ・ラブ:ベスト・オブ・アーリー・イヤーズ』、チャド・アンド・ジェレミー『遠くの海岸 + キャベツと王様』の3枚のライナーノーツ寄稿しました。
購入はココをクリック
f:id:markrock:20230129183945j:image
[NEW!!]2022年12月23日発売、バディ・ホリー・アンド・ザ・クリケッツ 『ザ・バディ・ホリー・ストーリー』(オールデイズレコード)のライナーノーツ寄稿しました。
購入はココをクリック
f:id:markrock:20221230235618j:image

Bob Gibson

markrock2013-01-28

/ Yes I See ( Elektra / 1961 )


今日見つけたボブ・ギブソン『Yes I See』を。この人の名前を知ったのは、愛聴していたサイモン&ガーファンクルのファーストに収録されていた”You Can Tell The World”のオリジナルというハナシを聴いたとき。ボブ・ギブソン&ハミルトン・キャンプというコンビは確かに、サイモン&ガーファンクルを唸らせたであろう、好フォーク・デュオなのであった。


1970年にはキャピトルから、ロジャー・マッギン、クリス・ヒルマン、デヴィッド・クロスビーなどバーズ勢にママパパのデニー・ドーハティ、サイラス・ファーラー、バーニ・リードン、スパンキー・マクファーランド、リック・ロバーツなんかが参加した『Bob Gibsonをリリースしていて、ロック世代のミュージシャンから尊敬を集めていたことが良くわかる。ちなみにその盤、ボブが初めて経験したマルチ・トラック・レコーディングだったらしい(その辺もフォーク・ミュージシャンの彼らしい)。


モダンジャズみたいな雰囲気のジャケットのデビュー盤『Offbeat Folk Songs』は1956年にリヴァーサイドからリリースされている。1931年生まれということだから、25歳でデビューしたということだ。1956年と言えば、エルヴィス・プレスリーのデビューLPがリリースされた年。ロックンロールが生まれた時代から、フォークは既に完成された音楽だった。


さて本題の『Yes I See』、本当に良くできている。ボブ自身もフェイヴァリットに挙げているらしいけれど。何と言っても”You Can Tell The World”が入っているのが嬉しい。気張って歌うボブの感じをポール・サイモンは真似ていたんだろうな、って微笑ましく思えてしまう。ハミルトン・キャンプとのデュオで歌っていたヴァージョン、つまりポール・サイモンやロジャー・マッギンが聴いていたはずのヴァージョンは、探しているけれどなぜか全盛期の音源では残っていないみたいだ。1986年に出たGibson & Camp...Revisited』というライブ・アルバムでは再演しているのでその音源から推し量ることはできる。

とはいえやっぱり全盛期の雰囲気は1961年の名ライブ盤Gibson & Camp at the Gate of Horn』で味わうべきだろう。サイモン&ガーファンクルのファーストの雰囲気はここから来ているのだ、と知ることができる。