いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

f:id:markrock:20190212213710j:image
いしうらまさゆき へのお便り、ライブ・原稿のご依頼等はこちらへ↓
markfolky@yahoo.co.jp

f:id:markrock:20190212212337j:image
[NEW!!]極北ラジオ石浦昌之の「哲学するタネ」が書籍化されました。 『哲学するタネ【東洋思想編】――高校倫理が教える70章』(石浦昌之 著)2018年9月発売!! ●石浦昌之著 ●定価:本体2500円+税 ●A5判(並製)384頁
詳細はココをクリック
注文はココをクリック

【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
ココをクリック

あなあくやまい 

markrock2012-10-12

/ 雨お通り( Darjeeling Record DJLN-909 / 2012 )

コレ、雑誌『インディーズ・イシュー』で確か読んで記憶に残っていた。バンド名を見れば『風のくあるてつと』所収の松本隆の未発表詩のタイトルを持ってきていて。それだけでも はっぴいえんど の影響大と分かるけれど、聴いてみると影響大どころじゃないことがよくわかった。まんまそのもの、ですね。現代版とかあったけれど、そこには全く現代の感覚は無い。かなりのレトロ仕様。しかししかし、なんとクリエイトしたバンドメンバーが20代半ばの若者達!というのだから、これは驚くほかないでしょう。


はっぴいえんど でも特にファーストゆでめんの暗い雰囲気を再現しようとしたのだろうか。ジャケットも70年代の自主レコードみたいな感じで。はっぴいらしさは鈴木茂を意識した闇を切り裂くギターの音が似ているから。あと、全員が全員ボーカルが極めて弱いんだが、それもまた失礼ながら はっぴいえんど っぽくって。ちゃんと細野役みたいな吉田純一によるタイトル曲”雨お通り”があったり、はっぴいを通り越してタイトルからして枯れた大滝になっちゃった”木の葉のスケッチ””ならぬ枯れ色のスケッチ”みたいな曲もあったりとほほえましい。ディスクユニオン限定のライブの音を聴いたら、シュガーベイブはっぴいえんどが演ったみたいな”Downtown”があったり、はっぴいえんど や各人のソロ、それにナイアガラやはちみつぱいが好きだってことがタイトル一つ見てもよく分かる。


とはいえ、大滝の分母分子論じゃないけど、バッファロースプリングフィールドをはじめとした芳醇な洋楽ロックの絶大な影響下に はっぴいえんど があったわけで、そこに日本語で歌うオリジナリティやその新しい世界に果敢に挑戦する原初的な衝動が存在したのだ。だから、はっぴいえんどの影響下ではっぴいえんどを作る、となると、どうしてもその原初衝動やオリジナリティが薄まってしまうのは否めない。はっぴいえんど があの独自の音楽を作り出した衝動と同じものを、はっぴいえんどが影響を受けた洋楽ロックを元に一から作り上げることは、現代でも可能だと思うのだが。まあ、あまりに60年代ロックや はっぴいえんど 原理主義的な考え方かもしれないけれど…


そんなわけで、「あなあくやまい」と聴いてもはっぴいえんどを思い出さないような作品もこれからリリースされることを願って…これから成長を楽しみに待ちたいバンド!!

http://www.anaakuyamai.jp/音源情報/

(追記2012.10.20)
アップ後、なんとメンバー本人から内容について怒りのメールが!コレは物書きとしては本望なんだけど、ちょっと寂しい気もしたな。批評不在の時代に入ったことを実感したというか。音楽雑誌の衰退でまともな音楽評論は表舞台から消えてしまい、雑文書きのライターはヨイショ記事(ほぼプロモーション資料通り!)を書いてお金をもらうという構造、全部が全部ではないにしろ、ね。ミュージシャンもそれが当たり前だと思っているから、批判的と読める記事を書かれると評論家は要らないだとか大騒ぎするという。第一こちらもお金払ってCD買ってレビューしてるんだから、言う権利はあるでしょう。誰から頼まれて書いているわけでもない、ただの音楽狂の日記なんだから。お金を払う価値があるか、ないか、をレビューする権利ってもんくらいあるでしょう。リスナーを馬鹿にしちゃいけません。お客さん一人一人が評論家なんですよ。ただ、面白いと思ったから取り上げたのは事実。毎月100枚くらい聴いて面白いものをとつとつと取り上げているわけだから。けなそうなんて意図はないってコトです。