*[日本のフォーク・ロック] HOLD UP
/ 島まで10マイル( King / 1978 )
あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。うーん。ナイアガラ・ショックからなかなか立ち直れないままにいるけれど。あれ以来全てのアルバムを聴き続けているけれど、その音楽愛に再び打ちのめされている。音楽や芸能を愛し続けることでしか恩返しはできないのかな、と思ってみたり。
昨年CD化されたナイアガラ関連盤HOLD UP。なかなか出来が良かったのだけれど、私がナイアガラに全てをさらわれた1995年頃にはなぜかいわゆる「正史」から抹殺されていたような…「Record Collecting Guide」の時点ではちゃんと掲載されていたんですが。単にCD化されていなかったからなのか、ロンバケの習作となった当時の提供曲(あまり取り沙汰されない)同様、単純に出来に満足していなかったからなのか、それとも大滝&細野(本作に二人ともゲスト参加しています)そしておそらく加藤和彦なんぞに影響を受けつつも、後世から見ると『ロング・バケイション』の世界を先取りするものだったからなのか(考え過ぎかな)…経済的な植民地主義だと思いますが、当時のエコノミック・アニマルの金銭的余裕に基づくトロピカル志向も相俟り、70年代後半から人々はつかの間の「ロング・バケイション」に思いを馳せるようになっていたのだった…1981年作(厳密には1980年?)のロンバケはそう考えると、ご本人も、そして時代も、「満を持して」の作だったのですね。
さてHOLD UPだが、商業的成功とは裏腹に後に活躍したメンバーを多く含んでいた点ではっぴいえんど的なバンドだった。安藤芳彦(パラシュート、AB’s)、戸田吉則(SPY)、藤田義治(あんぜんバンド)、横沢龍太郎(チャクラ)、そして清水信之(紀の国屋バンド、アレンジャー)もメンバーだった時期があるという。ホーンセクションにはホーン・スペクトラムが参加、2曲のアレンジでは細野晴臣が加わり、マリンバ、スティール・ドラム、シンセを演奏している。大滝詠一は”東京”あーぱー”ジルバ”にコーラス参加。しっかりソロで歌っている部分もある。エコー少なめの声とスタジオお祭り騒ぎ的な雰囲気が70年代のナイアガラを思わせてとても良い。
ところでHOLD UPとともにプロデューサーに名前を連ねている仲田佳彦はランプ・ポストの中田佳彦(作曲家中田喜直の甥)なのでしょうか。おそらくそうなんでしょうね。そうすると細野・大滝の参加も合点がいきます。