いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

f:id:markrock:20190212213710j:image
いしうらまさゆき へのお便り、ライブ・原稿のご依頼等はこちらへ↓
markfolky@yahoo.co.jp

f:id:markrock:20190212212337j:image
[NEW!!]極北ラジオ石浦昌之の「哲学するタネ」が書籍化されました。 『哲学するタネ【東洋思想編】――高校倫理が教える70章』(石浦昌之 著)2018年9月発売!! ●石浦昌之著 ●定価:本体2500円+税 ●A5判(並製)384頁
詳細はココをクリック
注文はココをクリック

【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
ココをクリック

 ありがとう、大滝詠一!! / 今年最後のFDR日記

markrock2013-12-31



雨はこわれたピアノさ
心は乱れたメロディー…


まさか年の瀬にこんなニュースが舞い込んでくるなんて…大滝詠一氏死去の報。もう絶対にリンゴは食べないよ。どうしても冷静になれないけれど、なれるはずがないんだけれど、今はただただ感謝の気持ちが浮かんでくる。大滝詠一の音楽は自分にとってそれこそ禁断の果実、ふくよかな音楽遺産を継承するための知恵の実だったんだという気さえしてきていて…

思い返せば1994年頃ですか、ツタヤ占有前の日本に上陸していたブロックバスター・ビデオ(東京・多摩近郊)でレンタルした『ロング・バケイション』がはじまりかな。まだまだCDは高いものだった。カセットテープに録音して、夢中になって聴いたよね。録音すると密度が厚すぎて音が飛んじゃう。はっぴいえんどフィル・スペクターもウォール・オブ・サウンドも知らなかったけれど、POPSの金字塔、みたいなコピーだけに惹かれてただ。伸びやかな歌声やクリアな音像も新鮮だったけれど、何より、情けない男の子、って風情の歌い手像が当時の自分にはピッタリだった気がする。相当感情移入していたな。そしてジャケットを含めてトータルで味わえる作品、イマジネーションをかき立てる作品だったように思う。


そうこうすると、1995年3月24日ですよ。怒濤の再発があって。これって自分のため?みたいに錯覚した。しかも高校生に優しい1500円でしょう。もしかすると1994年の時点でそんな広告戦略に無意識的に取り込まれていたのかもしれないけれど…そしてあの分厚いセルフ・ライナーノーツに出会うんですね。自分の音楽をあれほど説明した人はいなかった。いまだに1995年の再発CDを出して見てみると、ライナーノーツがボロボロなんだよね。学校から帰って、おやつをパクつきながら、コーラとか飲みながら、毎日読んでいたんだよね、たぶん。そして、その頃カセットで聴き続けていた『コンプリートイーチ・タイム』がスリムケース仕様で売られているのをレコード店で発見。消費税もあって中途半端な値段だった気がするけど、3000円超はやっぱり高校生には高かったんですよ。しばらくして決死の覚悟でお金をかき集めイザ買おうとしたら、店頭で「廃盤」だと告げられて…初めて「廃盤」という言葉を聴きました。それから私はCDやレコードといったブツに執着するようになったわけで、レコード集めも大滝さんから始まった、と思うとやっぱり罪作りなお人でしたね…


今考えると、インターネット勃興期のAmi-go Gara-ge(http://www.fussa45.net/)とか、その後のはっぴいえんど再ブームのあの辺りまでが大滝さんを取り巻く環境としては第二の全盛期だった気がする。ファンの熱気も含めて。それが団塊世代フェイドアウトとともに沈静化してしまったというか。近年はリマスターや自身の活動の総括(つじつま合わせ!?)ばかりで、ファンはちょっと淋しい気持ちも持っていたはず。たぶん音楽でやりたいことをやり尽くしちゃったんじゃないかな、とは思ったけれど。そして完璧主義な人だからこそ、オールディーズ・サーキットを回るような老醜をさらしたくはない、と思ったのかも。ニック・ロウか!ってなタイトルの”恋する二人”が2003年に出たときに、あの伸びやかな歌声もオケに埋もれるように聴こえて、あれ?と思ったことがあった。だからご本人も、もういいかな、と言う所があったんじゃないかな?勝手なファンの詮索で恐縮なのですが…竹内まりやさんとの共演もあったけれど、シナトラみたいなそんな道が年齢的には合っていた。そう思うと、ジョンとポールで言うなら、大滝さんの方が実はジョン的、ロック時代を遡った音楽から年齢相応の音を見出していった細野さんがポール的だったのかもしれない。


でも近年情熱を注いでいたラジオ番組は凄かった。ポピュラー音楽研究をやっている人達と交流していた時に、結構みんなアメリカン・ポップス伝」とかみんな聴いていたよね。研究者も一目も二目も置いていた。近年の番組も含めていつか活字化してほしいと思う。類書はありそうで、ない。アメリカン・ポップスに骨抜きになった人だから、ラジオ・レコードという旧来メディアの時代を責任持って見届けようとしたのではないかとも思う。でもできることなら、日本の文化芸能にも精通していたあの膨大な学識を、体系的にまとめて欲しかったなという気がする…


昨日も夜遅くまで友人と大滝詠一の話をしていた。先月は念願のブラックボックスを中古で買った。瑞穂町にいつか行こう、逢えるかもなんてミーハーな話をいつも友人としていたんだけれど…


はっぴいえんど『風街ろまん』のジャケットはこれからも空白のままだ。大滝さん、今まで本当にありがとう!!


                                                                                                                                                                                                                            • -

年の暮れ。寒いですね。個人的な話ですが、この文章を書いている我が家のレコード部屋は暖房器具ナシ…もう修行僧のような気分でレコードに向き合っております。一昨日は年末最後のフラッシュ・ディスク・ランチ詣でを。椿さんに「買い出しですか?」と言われちゃいましたが…なかなか来られなかった分フィーバーしてしまう。300は過去最高か!と思えてしまう量&充実度…本当に凄いお店です。


いくつか紹介すると…800コーナーではグレン・キャンベル&ディラード兄弟のプレイヤーとしての覆面仕事であるthe folkswingers『12 Strings Guitar! / Folk Blues & Blue Grass』(1963)、エレクトラからの定番『Judy Henske』(1963)、最近集めているブラック・オーク・アーカンサス(はじめてファーストを買ったのもFDRだったはず)のアトコからの『Keep The Faith』(1972)、いまだに活動してるんですね。そして、チップス・モーマンが手がけたThe Gentrysの『Keep On Dancing』(1965)もたしか再発編集盤しか持っていなかったのでオリジナルは嬉しかった。ベイ・シティ・ローラーズがタイトル曲を後にカバーしている。ソニー&シェールもレッキング・クルーの音とシェールの声が大好きなので、見つける度に手に取っているけれど『The Case You’re In Love』(1967)を。300に華やかなジャケのOST『Good Times』(1967)もあって買ってみた。あとはベルから出ていた『R.P.M.』(Revolution Per Minute)のサントラ。バリー・デヴォーゾン&ペリー・ボトキンJr.のプロデュース&作曲で、歌姫メラニーがボーカルを取る曲もあった。この時代のサントラはまだまだ貴重なテイクがあるはずだし、DVDやビデオになってないものも多いので、研究が必要です。


そうそう、本丸はアンドウェラ『World’s End』(1970)のダンヒルからのUSオリジナル!これはレギュラー・コーナーでしたが、こんな凄いブツがあのレコードのヤマに忍び込まれているなんて…コレは本当に嬉しかったな。


さて、あとは300コーナー。イギリスものではThe Moody Blues『In Search Of The Lost Chord』(1968)、The Hollies『A Crazy Steal』(1977)、ニュー・シーカーズ『Beautiful People』(1971)、ジョン・リーズ率いるBJHの素晴らしい来日公演を思い出しつつ、バークレイ・ジェイムス・ハーヴェスト『Time Honoured Ghosts』(1975)、日本盤しか持ってなかったポールの『Ram』(1971)、フリートウッド・マック『Future Games』(1971)なんかを。70〜80年代の盤ではヴィニ・ポンシア・プロデュースでエリー・グリニッジの参加がシックスティーズ・リヴァイヴァルな雰囲気のエレン・フォーリー『Another Breath』(1983)、ハル・マーチの息子スティーヴ・マーチの『Lucky』(1977)はジム・グレイディらしき作曲クレジット有り、フロー&エディが手がけたGood Rats『From Rats To Riches’』(1978)、イアン・タイソン80年代のソロ『Old Corrals & Sagebrush』、知らなかったマッスルショールズ録音の女性SSWジョーン・キャロル・バトラーのCapitol盤『Joan Carol Butler』(1976)、ロイ・ブキャナンがブッカーT&ザ・MGズの”Green Onions”を演っている『Loading Zone』(1977)(スタンリー・クラーク・プロデュース)、昔一枚買った記憶のあるビリー・ファルコンの『Billy Falcon’s Burning Rose』(1977)、ガーヴィッツはのちAOR化するベイカー・ガーヴィッツ・アーミーの『Elysian Encounter』(1975)、アウトロウズ『Lady In Waiting』(1975)、こんなの出てたんだ、というアンディ・プラットの『Motives』(1979)、トミー・ロウ『Beginnings』(1971)なんかを。レターメンの『Now And Forever』(1974) はカーペンターズのカバーやランディ・エデルマン、ラザラス時代のビル・ヒューズ、なんていうライターが素敵で。ブラザーズ・ジョンソンの定番『Winners』(1981)やブレンダ・ラッセルの必殺”Piano In The Dark”や湾岸戦争でオリータ・アダムス版注目されたタイトル曲を収めた『Get Here』(1988)もUSアナログ盤で聴きたかった。ポール・デイヴィスと自身の共同プロデュースとなったエルトン・ジョン・バンドのドラマー、ナイジェル・オルソンの1978年の同名盤『Nigel Olsson』も嬉しかったな。


ジャズやボーカルの300ではエラ・フィッツジェラルド『Sings Sweet Songs For Swingers』(1959)、ジュリー・アンドリュースがライナーを寄せたキャロル・バーネット『Sings…The World Listens』ハリー・ベラフォンテ『Calypso』(1956)、ジューン・クリスティ『Recalls Those Kenton Days』(1959)、ダイナ・ワシントン『Late Late Show』(1963)、ジョニー・マシス『Love Is Blue』(1968)を。


最後に100で感動したのはベアズヴィルのイメージがあるアメリカン・ドリーム出身、ニック・ジェイムソンの1986年のソロ『A Crowd Of One』。ニックは今は声優としてスター・ウォーズシリーズはじめハリウッドで地位を確立しているみたい。70年代のソロも持っていたけれど、これは知らなかった。モータウンからリリースされたブラコン風ポップロック盤でフィル・コリンズ的な大衆性もある。うーん、これ聴いてたら、この時代のブラコン盤っていまいちばん興味もたれてないけど、色々買ってみようかな、と思ってみたり。ヒップホップ以前にはまだソウルのマナーが一応あったんだよね。あとはこれも全く知らなかったLisa Badeの『Suspicion』(1982)。デヴィッド・カーシェンバウムのプロデュースで、ミック・ロンソン、ワディ・ワクテル、ピーター・バラカンの弟シェイン・フォンテイン、そしてスワンプの世界では一目置かれるダニエル・ムーアが参加している。ムーアやワディ・ワクテルはデュエットしている楽曲もあり、珍しかった。まだまだ知らない盤が沢山あるんですね…フラッシュ椿さん、素晴らしい音楽との出会いを来年もまた、宜しくお願いいたします…今年は芽瑠璃堂さんとご縁があり、ブログを書かせてもらうことになったり、嬉しい一年でした。記事を読んで下さった皆様に感謝いたします。来年も身を削ってレコードを聴き続けるつもりです。新しいアルバムもまた作ろうかなどと思っておりますので、いずれもご愛顧のほど何卒宜しくお願いいたします!