いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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永遠のロンバケと、ブランディンと

*[コラム] 永遠のロンバケと、ブランディンと

 

緊急事態宣言またですかっていう。笑うしかないくらいの状況。偉そうなことを言えるほどの者ではありませんが、どっから連れて来たんだろ、みたいな、身近な社会じゃ見かけないレベルで呂律の回っていない方とかアナウンサーとかに国や自治体のかじ取りをさせてしまっている私たちの責任は重い。それでも彼らの方がマシとか言っている人もいるガラパゴスなこの国が津々浦々変わるまでに、あと20年はかかるだろう。考え方は色々あるんでしょうけれど、真面目にやってる人が馬鹿を見るような社会であってはいけないとつくづく思う。

 

さて新年度前後、職場が変わったりバタバタしていたけれど、レコ欲はいぜん衰えず。そういえば先日、ご近所で家族ぐるみのお付き合いをしているお友達に湘南・茅ヶ崎に連れて行ってもらいまして。烏帽子岩を眺めつつ、もの凄い自然のエネルギーを受け取れる土地だなと思った。そしてあのブランディンにも連れて行って頂けました。サザンオールスターズの名付け親でもあり、レコードいっぱいの宮治淳一さんのお店。室内の景色がほとんど我が家と一緒(笑)ということで、妙に落ち着いたし、コーヒーも大変美味しかった。たまたま前の職場で後ろに座ってた方が奥様の宮治ひろみさんと郷里で同級生でいらっしゃったという偶然もあったので、そんな話も。

 

宮治さんによれば、アトランティックに比べてワーナーの方が権利関係にしっかりしている分、権利者へのコンタクトが複雑で再発できないシングル・オンリー盤が多いんだとか。コレは非常に納得した。『ワーナー・ポップ・ロック・ナゲッツシリーズはそういう意味でも労作だったのではないだろうか。レコードに狂って行きつくとこまで行くと、最後はやっぱりシングルに行きますよね。ワーナー70年代のあの深緑のアメ盤45回転シングルを見つけると、それだけで色めき立ってしまう。で、2ドルで送られてくる客寄せサンプラーだったあのロス・リーダース(以前ブログに書きました→https://merurido.jp/magazine.php?magid=00023&msgid=00023-1428131789)の話にもなった。もしかしたらアラン・ゴードンの『The Extragordonary Band』がお店にあるかな…と思い尋ねてみたら、探してもらったけれど、残念ながら無かった。タイガー・リリーからリリースされた盤で、カットされたシングルは2枚手に入ったけれど、アルバムは難攻不落でいまだ。今度来る時までに…とおっしゃっていたので、また再訪したいと思う。

 

で、お店にディスプレイされていたのが、ちょうど40周年盤がリリースされる大滝詠一『ロング・バケイション』。昨日のNHK-BSプレミアムの特番でもブランディンが一瞬映っていたような。ただ、あの特番は食い足りなかったですね(笑)ロンバケのレコーディング隊を可能な限り集めた演奏は圧巻だったけれど。細野さんと大滝さんの違いは、大滝さんの方が日本の昭和歌謡的文脈の語りに容易に取り込まれちゃう所。洋邦のバランスが少しでも邦のコブシに寄ると途端にあのメロディがダサくなるという…そのバランスをマインド含めて歌い継げているのは鈴木雅之とか山下達郎ぐらいなのかも。ただ、松本隆さんの話にもあったように、山下達郎も売れ、細野もYMOで売れ、今度は自分もっ…てな所で松本さんにコンタクトを取ったわけだから、ある種下世話な日本的文脈に取り込まれる覚悟はあったということになる。

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番組最後に細野さんが寄せた、「新曲を楽しみにしてる」ってなコメント、これが一番グッと来た。ちなみにレココレ4月号ロンバケ特集では、その細野さんのバックを務める高田漣さんのコメントが一番グッと来た。で、その大本命のロンバケ40周年記念ボックスで一番グッと来たのは…未発表音源以上に大滝さんが話す肉声でした。値段もアレでしたが、それに相応しい圧巻の情報量。4CD + Blu-ray + アナログレコード[2枚組] + カセットテープ + 豪華ブックレット + 復刻イラストブック + ナイアガラ福袋って…私ですら冥途の土産に思えました。お友達に頂いたTシャツとともに、今年の夏を乗り切れれば。