/ Same ( BIGPINK / 1968 )
リビー・タイタス、幻のソロ作がとうとうCD化されるというニュースを聞いたのは数ヶ月前だっただろうか。無名シンガー・ソングライターやスワンプロック、レアサイケの再発で注目を集める韓国ビッグピンクのリリースだと知って納得したけれど、ファン垂涎のレア盤がCD化され、牙城が崩れていくのを見るたびに、前回の話じゃないけれど、アナログ回帰するファンも多いだろうなと思う。CDじゃなんか雰囲気は出ないんだよね。気分としか言いようがないけれど。
名匠フィル・ラモーンのプロデュース、ザ・バンドのロビー・ロバートソンやポール・サイモン、カーリー・サイモンの参加で注目を集めた1977年作が日本では定番アイテム化しているから、ファーストを初めて知って高円寺のレコ屋で見た時は驚いたものだ。6800円だったけれど…ウッドストックに生を受けたリビーだが、現在はスティーリー・ダンのドナルド・フェイゲン夫人。かつてはザ・バンドのドラマー、リヴォン・ヘルム夫人だった。リヴォンとの間にできたエイミー・ヘルムはリヴォンとの活動や、自身のバンド、オラベルでCDをリリースしている。ちなみにオラベルはかなりゴスペル色の強いルーツ・ロック・バンドだ。さらに言うとリヴォンもドナルド・フェイゲンはウッドストック在住で、リヴォン・ヘルム・バンドのギグではドナルドがキーボードを弾くこともある。
さて、リビーのファーストだけれど、元々線の細いタイプのボーカリストだから、期待以上ではないかもしれない。アレンジもストリングスが入ったりする60年代的仕上がりだし。でも、ジョン・セバスチャン(ラヴィン・スプーンフル)の”Younger Generation”や”Coconut Grove”みたいな浮遊感のある曲との相性は抜群だった。ウィスパーな”You Didn’t Have To Be So Nice”も最高だったし!やっぱり素敵な音ではあるかな。
子供向けの曲を集めた『In Harmony』では、その頃深い仲だったドクター・ジョンとの共作が収められていて、子供だったエイミー・ヘルムの声も入っている。では今から久々にリビーが自演した“Love Has No Pride”を聴いてみようかな。