/ Ray Of Hope(レイ・オブ・ホープ)( MOON / 2011 )
当たり前のように注文してしまった新譜。初回版はJOY1.5という、名作ライブ盤の続編の番外編?というような7曲入りライブ・ディスクも付いていた。コレが滅法良い。昔ちっこいシングルCDを買って集めたヒトも多いであろうカップリング収録曲(”砂の女”、”こぬか雨”、”二人の夏”なんかのカバー)と1985年のライブ音源が入っている。
本編は1曲目から何とも金太郎飴的な達郎サウンドが続いている。”MY MORNING PRAYER”ってのも”RIDE ON TIME”かと思ったよ。確かタイアップだったから、そんな注文があったのかも。ここまでのベテランともなると、方法論もそうそう変わらないのかな。同じ機材で往時と同じ音を出せるのが凄い、というレベルの楽曲もある。それなりに追いかけていたヒトではあるけれど、なぜだろう。今回は先行シングルを買ったりしなかった。有線なんかで聴いた事はあるかもしれないけれど、そこまで印象的でもなくて。特に保守的で歌謡性の高いバラード群は楽曲的にはワンパターンかな。最近の竹内まりや作品もそうだけど、なんか聴いた事あるような曲ばかりで。ある種双生児的でもある大滝詠一も相当にポップスの王道を進んで石を打っていくタイプだったけれど、今聴くと相当遊びや予定調和を壊すようなロックな音作りをしている。新旧似た楽曲にもそれなりに進化が見られたし。そこが刺激的でもあった。大滝は作品製作をやめてしまったけれど、山下との違いはそこにあるかなと思える。
あと、80年代から聴かれるコンピューター・プログラミングだけど。これが近年の彼の音作りの特徴にもなっているんだが、コレ、良いかな?もちろん、聴き尽くしてきた音だし、個人的にも愛着はあるんだけれど、今の時代だから、生バンドっぽい音で聴きたいよね。それが本当の意味で出来る人が少ないんだから。だから、意外だったフュージョンっぽいブルーズ・セッション”俺の空”は、歌詞のチープさに反して、伊藤広規、難波弘之という古くからの相方と共に、生の迫力があり満足のいく音だった。まあ、好みも多分にあるだろうけれど!
とはいえ、音楽界の“最良の”良心ですよ。”僕らの夏の夢”ってバラードは沁みた。甘酸っぱいシャッフルに載せた”HAPPY GATHERING DAY”も好みかな。ラストのカバー”バラ色の人生〜ラヴィアンローズ”(オンスト乗りのアカペラで最高!)以外は作詩・作曲・山下達郎というシンガーソングライター作品になっている。