/ フォーク パルチザン 瓶の中の球体( Off note ON-45 / 2003 )
CDショップのWAVEが自己破産申請というニュース。音楽にまつわるニュースが悲しいニュースになるのは慣れている。近年も力強い歌声を聴かせてくれていたジョー山中はショックだったけれど。音楽メディアの大型メガショップももはや淘汰されてきた感がある。元気はないけれどタワレコとHMVはなんとか生き残っているけれど、HMVは渋谷店も潰れたしね。かつてWAVEとかヴァージン・メガストアとか、どこまで行っても続くCD棚に興奮したものだ。それまでは身近な人が海外に行ったとき、よく輸入盤CD探しを頼んでいた。CSNの4枚組ボックスなんぞは、わざわざアメリカに行って買ってきた。アマゾンもなかったし。
さて、中村とうようの突然の死を迎えたミュージック・マガジンですが、尖った増刊が出ていた。『プロテスト・ソング・クロニクル 反原発から反差別まで』ってやつ。このタイミングで出すのは、流石と言うか、マジかい、というか。音楽と政治との関わりというと、プロテスト・ソングという言葉が生まれたであろう1960年代を思い出すわけだけれど、そうしたベトナム反戦を背景としたプロテスト・フォークに留まらず、原発・核兵器廃絶、反戦・平和、国家的暴力、人種差別、性差別・同性愛差別糾弾、自然破壊(環境問題)といったテーマに分けて、ジャンル・新旧を問わず曲を集めているのが面白いと思った。その曲に対する思いが強すぎて、独断的解釈になっているものや、足りない評論もあるけれど、音楽の力を信じている書き手達を心強く思った。このタイムリーさを私は良しとする。
さて、今日紹介するのはプロテスト・フォークの新録カバーを2枚組37曲にコンパイルした2003年作。どういう経緯で作られたのか、全く知らないし、発売当時に話題になっていた記憶もない。インディーズ作だからか?最近手に入れた。
正直あんまり期待していなかったのだが、ひがしのひとし(ソルティ・シュガーが歌った”ハナゲの伸長度に関する社会科学的考察”もセルフカバーしている)やオクノ修、中川五郎(ピート・シーガーのカバー”腰まで泥まみれ”のセルフカバーを演る)、渡辺勝、古川豪といったベテランが参加し、割と原型に忠実な作りで好感が持てた。
まさにプロテスト・フォークという楽曲が集まっているので、この本の(一部の)サウンドトラックとして楽しんでいる。こちらは発売年次からして9.11とイラク戦争が念頭にあったんだろう。
[1]
(1)勝利を我らに(instrumental)
(2)小川のほとり
(3)この足の鎖
(4)くらしはだんだんつらくなり
(5)朝日楼
(6)アイ・シャル・ビー・リリースト
(7)ポートランド タウン
(8)学校で何を習ったの?
(9)もう戦争には行かない
(10)虹の民
(11)とってもへんな夢
(12)明日なき世界
(13)ティーチ ユア チルドレン
(14)腰まで泥まみれ
(15)絶望と希望(テロと報復と)
(16)神が味方
(17)戦争の親玉
(18)シーベック シーモア(instrumental)
(19)ハレルヤ
(20)友よ(instrumental)
[2]
(1)花はどこへ行った(instrumental)
(2)ハナゲの伸長度に関する社会科学的考察
(3)イムジン河
(4)思い出しておくれ
(5)グッバイ フレンド
(6)リリー マルレーン
(7)大砲ソング(instrumental)
(8)しゃれこうべと大砲
(9)アメイジング・グレイス
(10)平和に生きる権利(instrumental)
(11)ドナドナ
(12)拝啓大統領様
(13)500マイル
(14)今日は帰れない(パルチザンの唄)
(15)さらば恋人よ(イタリア パルチザンの唄)
(16)パルチザン
(17)鳥の歌(instrumental)