/ Prodigal son ( Topic / 2007 )
英国フォークの名門レーベル、トピックからのリリース。マーティン・シンプソン2007年の最高傑作。彼は1953年生まれ。1976年にソロデビューを果たし、スティーライ・スパンのサポートで名をあげた。それから幾星霜。2008年にBBCラジオ2フォーク・アウォードを受賞し、やっとのことでギタリストとしてのみならずシンガー・ソングライターとしての才能も公に認められるところとなったわけだ。
それにしても美しい音色のアクースティック・ギター。ヴォリュームを上げて、スピーカーに耳を澄ますと、それだけで別世界に連れていかれてしまう。曲ごとのチューニング(オープン系が多い)も明記されていて、ギター弾きなら注目だろう。トラッド風味ながら、レッドベターの”Duncan & Brady”のような伝承バラッド、そして、ファーストアルバムの再録でもあるランディ・ニューマンの”Louisiana 1927”(カトリーナ被災が念頭にあったのだろう。バック・ボーカルはジャクソン・ブラウン!)が入っていたりと、アメリカーナ風味も魅力。
ケイト・ラスビーがうっすらとバック・ボーカルを添える自伝的な”Never Any Good”が白眉。