/ same ( Sony / 1983 )
土曜日に吉祥寺MANDARA-2にてなぎら健壱さんのライブに行ってきた。当日ライブがあることに気がついて、これは行かねばと思い立ったもので。毎月定例のマンダラ・ライブなわけだけど、これだけファンなのについぞ足を運んだことがなかった。高田渡さんのライブも同様の理由で。いつでも行けるでしょって気持ちが、良くないんですねえ。
さて、超満員の客席。なぎらさんとそのバンド、オウンリスクのメンバーが出てきても騒がない観客、そしてなにげなく演奏が始まるという、なんだかお客さんも判ってる感じが良い。運良く前の席が空いて、目の前で見られたんだけど、ファンになった15,6年前と全く代わらぬお姿。カウボーイ・ハットにジーンズ、ウェスタンブーツという出で立ちで、肩には江戸前ならではの「なぎら」と刺繍が入ったド派手なストラップを掛けている。伸びやかな歌声で届けられる正統派のホンキー・トンク・カントリーといったサウンドは実に心地良い。そしてトークは一級品ですな。もはや落語の域。テレビじゃ言えないようなことを言ってくれるから、やはりライブに来たくなってしまうんだろう。常連さんの気持ちが分かった。”葛飾にバッタを見た”とか”悲惨な戦い”のワンフレーズもトークの流れで聴かせてくれたり、ね。
渡さん追悼のために作った曲とか、最近シングルでリリースされた東スポ賛歌2曲、『ぶらり途中下車』のエンディング・テーマ2曲なんかも聴かせてくれて。さらに、懐かしい所では“ガソリンとマッチ”とか”昭和の銀次”なんかが最高だった!
終演後に、坂崎さんの番組(『BSフォークソング大全集』)でファンになったことを告げると、実はあれは第2弾で、WOWOWでやったのが最初、とか教えてもらえて。あと、フォークマン・ブラザーズも好きだったといってそのCDを差し出すと、「俺もCDは持ってない」とおっしゃっていた。「(自分の)40周年(ライブ)は行った?」なんて聞かれたけれど、40周年の時は坂田修さんも登場し、フォークマン再結成も演られたそうで、これは流石に行きたかったな…。
ちなみに『フォークマン・ブラザーズ』だけど、フォークの名曲のタイトルをつなぎ合わせた”フォークソング’70”にはじまり、なぎらと坂田扮するフォーク・デュオがいかにもギョーカイ人なディレクターに売り込みに行っては断られるさまを1968年〜1983年まで描いている。それだけで日本のポピュラー音楽の流行(メッセージ・フォーク〜カレッジ・フォーク〜四畳半フォーク〜ニューミュージック〜パンク・ニューウェーブ)とそれに翻弄されるミュージシャン像を実に端的に表現していて面白い。80年代ならではのパロディ感覚を備えた怪作だと思う。ラストの”風がブギウギ”がまた良いんだ。
またライブに行こう。