/ John Lennon’s Jukebox ( Virgin EMI / 2004 )
生誕70周年のジョン・レノン及び赤青盤リマスターが出るビートルズ関連の新譜が畳かけるように出てますね。しかし、ジョージ・ハリスン生き写しの息子ダーニ・ハリスンがベン・ハーパーらと組んだトリオFistful Of Mercyまで出てくるとは!こいつはかなり良くてビックリ。
さて、9月に惜しまれながら閉館したジョン・レノン・ミュージアムだけれど、企画展で気になったのはジョン・レノン・ジュークボックスってやつ。ジョン・レノンが1965年に購入したスイス製のジュークボックスで、そこには1965年のツアーに持って行った40枚のシングル盤が含まれていたという。これが1989年にオークションに登場して世に出た。
もちろん、1965年時点であるから、ジョンのオールタイム・ベストというわけではない。オールタイム・ベストなら、ニルスン、ビリー・スワン、ハリケーン・スミスにラズベリーズなんてのも入ったかな?しかし、このジュークボックスの発見、ビートルズ研究には相当の参考になったようだ。個人的にもむちゃくちゃ興味を持ってしまった。
で、その40枚のうち、34枚のA面と7枚のB面を収めた2枚組CD(一部再レコーディング音源も含む編集盤)も一緒に展示されていて、そんなものがあるなら直ぐさま手に入れようと思ったのだけれど、これがまた廃盤になっていて…飾っといて廃盤はないだろうと思う。それ以後かなり探したけれど、欲しいと思えば思うほど無いもので、持っている曲も多かったのから、地味に集めようかななんて思っていたところ、CD2枚分と高かったもののe-bayで発見。新品と書いてあったけれど、明らかに中古だったのにはビックリしたけれど、中身に免じて許そう。
予想通り、かなり黒っぽい音を好んでいたことが伺える。”My Girl”もオーティス・レディング版になっていたりと。でも、黒っぽい中にも甘さがあるソウルを好んでいたんだなあ、と改めて。ビートルズやソロ時代も一貫して、大好きだったリズム&ブルーズやロックンロールを愚直に演奏していたジョン。自分を救ってくれた音楽に一生を捧げるつもりだったんだろうな。
ラリー・ウィリアムス、バディ・ホリー、ジーン・ヴィンセント、リトル・リチャード、チャック・ベリーなんてところはポール・マッカートニーとも共通する好み。アルバム『ROCK’N’ROLL』でカバーしていた”Slippin’ And Slidin’”はリトル・リチャード版とバディ・ホリー版を両方収録。よっぽど好きだったんでしょう。アイズリー・ブラザーズ(”Twist and Shout”)なんてところはジョンの涙ぐましいシャウトを重ねて聴く。スモーキー・ロビンソンやゲイリーU.S.ボンズ、バレット・ストロング、ジョージも大好きで”(I Got My Mind)Set On You”をカバーしたジェイムス・レイといったところは、とってもポップで甘いソウルで、ビートルズの感性が良く理解できる。ディランやドノヴァン、アニマルズは判るとしても、ラヴィン・スプーンフル、ポール・リヴィア&ザ・レイダースといった同世代のバンドにも注目していたってのは面白い。ポールの”Good Day Sunshine”へのスプーンフルの影響は有名だけど。
フォンテラ・バスなんてのは正直初めて聴いたけれど、意外な良さ。アメリカでなくイギリスって所もあるのか、簡単に手に入らない音もあるけれど(意外な黒さなんだけど、イギリスの俳優、デレク・マーティンの音みたいに!)、そう言う時、このセレクションは助かる。
ちなみに言い忘れたが、この2枚組は同名のドキュメンタリー番組のサントラという体裁。番組はココで見られます。
http://video.google.com/videoplay?docid=-7532896021332831792#
さて、コレを聴いていたら、以前入手した名ブート盤『The Songs We Were Singing』を思い出した。4枚に亘って、ビートルズの4人が影響を受けてきた楽曲を117曲を収めたモノ。いまだに良く聴く。ビートルズの土台を聴くことは、彼らのアイディアと創造性について再考することにもなりうるし、小難しいことを抜きにして単純にハッピーにもなれる。