いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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 Stephen Bishop

markrock2010-10-11

/ Sleeping With Girls ( BIG PINK / 1985 )


韓国ビッグピンクのリイシューでこんなものが出た。SSWやソフロ、スワンプだけでなく、AOR系も押さえてくれるんだな、というビッシュことスティーヴン・ビショップ。フィリピンでのみ1985年にリリースされたという激レア盤。個人的にも長年探していたけれど、手に入らなかったもの。一部はライノのベスト盤で聴けたけれども。なぜここへ来て再発にOKが出たのか不思議。


さて、聴いてみると、ライノからのベスト盤『BEST OF BISH』に入っていた楽曲の出来がやはり際だっている。タヴァレスをゲストに迎えたスウィート・ソウル”Fallin’”とか、フィル・コリンズ&マリリン・マーティンに提供した全米No.1ヒット”Separate Lives”の自演(コレは1994年の『Blue Guitars』収録ヴァージョンの方が出来がよいけれど)、そしてトッツィーのサントラからのヒット”It Might Be You”とかね。”It Might Be You”、デイヴ・グルーシン作曲ながら最大のヒットになってしまったのは皮肉という他ない。


そうそう、オールディーズ大好きな彼らしい、”Rhythm Of The Rain”エイティーズ・アレンジメントなロマンティック・カバーも既にベスト盤で聴けたけれど素晴らしい。


タイトル曲なんかは『Bowling In Paris』(1989)に再録される。エリック・クラプトン(ギター)、スティング(ベース、コーラス)、フィル・コリンズ(ドラムス)、そしてビッシュという夢のような4人で演奏される”Hall Light”も含めて、再録の方がこなれている感はある。カウントまで入っている”Hall Light”はちゃんとミックスしてないデモみたいに聴こえた。演奏はむちゃくちゃ熱いけどね!そういえば、『Bowling In Paris』、これまた大好きなアルバムで。エイティーズ・スムース・AORの傑作でしょう。深夜のFMで聴く感じ、タイムスリップしちゃうんだよなぁ。この時代、音楽のマジックがまだまだあったんだ。ノスタルジックになってしまう。


ビッシュと言えば、クラプトン、フィルとの親交の深さは知られたところ。知名度で言えばスティーヴンが劣るけれど、80年代にお互いが参加し合った3人のアルバムの至る所でその友情を感じとることが出来る。フィルがプロデュースしたクラプトンの『August』に収録されていた”Holy Mother”はクラプトンとビッシュの共作。自殺したザ・バンドのリチャード・マニュエルに捧げた1曲だったけれど、ビッシュらしい優しいメロディに感動したものだった。


ビッシュの代表曲“On And On”はいまだにデパートのミューザクでも聴ける名曲だけれど、アイデアとして借用されたんでしょう。”いとしのエリー”の大サビにもなっている(サビまではマリーナ・ショウの”You Taught Me How To Speak In Love”の雰囲気を借用してます)。


そもそもこの人、アート・ガーファンクル経由で知った。『Careless』に入っている”The Same Old Tears On A New Background ”の自演を聴いたときは時が止まりましたよ!いつか”Rock And Roll Slave”をカバーしたいと思っている。数年前にメールをしたら、返事をくれたことがあった。なんか、とてもナイーブで優しい文面だったのを覚えている。来日公演も2度観に行った。1度は10年くらい前に故ケニー・ランキンとのジョイントで。2度目は友人にチケットを有り難く頂いて、渋谷duoの公演に。コレはDVDにもなっている。腕利きを配したアルバムはいずれも作り込まれているけれど、ライブ自体はアコギの弾き語りを中心にしたとてもシンプルなモノ。でも、なぜかメロウな歌声が滑り出すと、忘れかけた恋愛を思い出して…甘酸っぱいミスター・ロマンティックとはこの人のことだ。