/ What A Wonderful World ( RCA / 1970 )
しばらくの夏休みでありまして。今日聴いているのはサッチモことルイ・アームストロング。トム・ウェイツをはじめ、この声に憧れを持つ人は多いはず。トランペッターとして、よりもヴォーカリストとして魅力のある人だ。ジョニー・キャッシュ・ショウにゲスト出演したDVDを見ていて、晩年のやせ衰えた姿と声量に涙が出たけれど、優れた楽器を思わせるその表現力に、レイ・チャールズの晩年をなぜか重ね合わせてしまった。この人のブルーノートは出そうと思って出るものじゃないと思う。
さて、今持っているのはCDだけれど、” What A Wonderful World”を含む最晩年の1970年のレコーディング。珍しいのはロック世代の楽曲を取り上げていること。ニーナ・シモンもジャズ畑でありながら、ロックやフォークの名曲をレコーディングしたけれど、そんな感触があった。
ニルスンが歌い、真夜中のカーボーイで使われた、フレディ・ニール作“Everybody’s Talkin’”、公民権運動のアンセム”We Shall Overcome”で驚いていると、ジョン・レノンの”Give Peace A Chance”もあって。政治の季節を思う。そのほか、レオン・トーマスがゲスト参加した”The Creator Has A Master Plan (Peace)”など、ソウルと呼応したニュアンスを感じさせるものもある。