/ 灯ともし頃( 東芝EMI / 1976 )
ウーマン・イン・ブラックの訃報。突然で、しかも淋しいニュースとして報じられるとき、それはしみじみこたえる。彼女、母の母校の先輩でもあった。
彼女のオリジナルアルバムは音蔵シリーズで17年前にCD化されたけれど、それ以来廃盤になってしまっている。2枚組ベストの『DARKNESS』シリーズはなんとか入手可能な状態にあるけれど。
ファースト『浅川マキの世界』、セカンド『浅川マキⅡ』、『MY MAN』など好きなアルバムは数多くあるけれど、個人的に推したいのは1976年の7枚目『灯ともし頃』。その理由はロックやソウルを感じさせるバッキングにある。西荻窪のアケタの店でレコーディングされた本作、バイバイ・セッション・バンドのベース吉田建にオルガンでは坂本龍一、ドラムスにはつのだ・ひろが参加。ジャズメンでは向井滋春(トロンボーン)と近藤俊則(トランペット)の顔が見える。生っぽいライブ感も魅力。
何と言っても一番良いのはM-3”それはスポットライトではない”。もちろん原曲は”It’s Not The Spotlight”。作ったバリー・ゴールドバーグやジェリー・ゴフィン自身のヴァージョンもあるこの曲、日本語でカバーされるこのヴァージョンでは、サビでつのだ・ひろが英詩で黒い喉を披露。ザ・バンドみたいな感触があるのだ。同じくカバーだとフェイシズ(ロニー・レイン)のM-5”Just Another Honky”もあってこれまた良い感じ。その他にオリジナルでもM-4”夜”(向井のソロに注目)をはじめ聴き応えがある。
ご冥福をお祈りします。